科学技術振興機構報 第107号
平成16年9月1日
東京都千代田区四番町5−3
独立行政法人科学技術振興機構
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

プレベンチャー事業にて
21世紀の化学物質の多様化・複雑化の進行に対応すべく
生体成分の分析の容易化・迅速化を狙いとした新しい分析手法を確立

−医療分野や環境分野及び生体や薬品の研究分野で用いる新しい生体成分分析装置として 製品化し、製品の製造・販売を行う大学発ベンチャー企業を設立−

 独立行政法人 科学技術振興機構(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行う研究成果最適移転事業 成果育成プログラムC(プレベンチャー)を実施してきました。
 この度、プレベンチャー事業において平成13年度より開始した研究開発課題「ダイヤモンド電極を用いる高感度生体成分分析装置」の研究開発チーム[リーダー:藤嶋昭、東京大学・名誉教授、(兼任)神奈川科学技術アカデミー・理事長、サブリーダー:堀熙一]は、医療分野や環境分野及び生体や薬品の研究分野で生体成分に関わる化学物質や薬品の新しい分析手法を確立し、一部の用途に特化して製品化しました。
 これらのプレベンチャー事業の成果を引き継ぎ、これらの製品を製造・販売し、また更なる用途拡大を計るべく研究開発の推進を行うことを事業目的に、チームメンバーと協力支援者らの共同出資による大学発ベンチャー企業、株式会社エフケム(fchem Co.)[代表取締役:藤井利宣、本社:東京都目黒区碑文谷、資本金:2350万円]を平成16年9月1日に設立しました。
 プレベンチャー事業の代表的な成果(製品化)は次の通りです。
 まず医療分野では尿路結石症の臨床検査や研究用途を狙いに、尿中のシュウ酸とクエン酸を同時に測定できる新しい化学発光分析法を確立し、「尿中シュウ酸・クエン酸分析装置」として製品化しました。従来の分析では一般にシュウ酸はキャピラリー電気泳動法、クエン酸は酵素法と別々の分析装置で行っており、分析に専門知識が必要であり、また分析に長時間(1週間程)要していましたが、新しい方法では酵素などの試薬が不要のため、高度な専門知識、分析技術を必要とせず、日常検査を可能にする簡単に操作が出来る装置です。そのためその場で測定結果が得られるので検査や研究の迅速化が図れます。同時に尿検査に必要な24時間蓄尿容器もより便利性の高いものを開発し製品化しました。
 次に環境分野では環境中に分散している重金属類の分析、特に現場での分析が可能な小型で可搬性のある物を狙いに製品化しました。そのうちの1つは「水道水中鉛分析装置」です。水道水中の鉛については配管に未だ鉛管が多く使用されているため、それが溶出することが問題となっており管理が必要です。尚、従来の分析法としてはフレーム原子吸光法やICP質量分析法が用いられ、いずれも高価な大型の装置ですが、新しい分析法は特殊な電気化学検出法を開発し、極めて小型で現場での分析、特に連続分析も可能な装置です。今後土壌や食品中の鉛の分析へと用途を拡大できます。
 この他「食品中カドミウム分析システム」の製品化も行いました。食品としては玄米を対象として製品化を行いましたが、今後玄米以外の多くの食品(大豆、野菜、魚など)でのカドミウム規制が広がると考えられ、それに対応するための用途開拓(研究開発)が重要となります。この他生体や薬品の研究分野向けとして「回転電極(導電性ダイヤモンド電極)装置」及び「電解発光(ダイヤモンド電極とルテニウム錯体による)分析装置」を製品化しました。これらの製品はいずれも「新しい分析法であり、それに適した生体成分や薬品については今後実際の研究の中で明らかにし、データーの蓄積を行っていきます。
 起業化初期の1〜3年間は新しい分析法や診断法として市場での定着が課題であり、そのためには使用実績の積上げや実際のニーズに基づく製品の改良、新しい用途開拓などに注力した企業活動を行い、5年〜10年後には「生体成分分析装置」の専門メーカーとして売上30億円以上、従業員100人以上の優良企業へと成長を見込んでいます。

 今回の株式会社エフケム設立により、当事業によって創設したベンチャー企業数は21社となりました。

 なお、本件についてのお問い合わせは、企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室
(電話03−5214−0016)の斉藤 隆行(さいとう たかゆき)までご連絡下さい。
企業概要(要約)
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