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参考

SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
課題「革新的燃焼技術」の概要

1.研究開発の意義・目標など

日本の自動車産業は、GDPおよび雇用を支える基幹産業の一翼を担っており、幅広い裾野産業と人材を保有している。今後もその競争力を維持・強化させることは、わが国における重要な課題である。また今後30年以上、自動車の動力源の過半数は内燃機関が使われ、世界の石油エネルギーの約50%を自動車が消費するものとされている。低炭素社会の実現のために内燃機関を高効率化することは、世界的な課題である。

現在世界中で、内燃機関の熱効率を高めるための基礎から応用に渡る多様な研究開発が展開されている。しかし内燃機関は、科学的に未解明な現象が多く含まれる複雑かつ高度な技術である。そのため、その最大熱効率は現状40%程度で、ここ10年の間でもわずかしか向上していない。

そこで、SIP「革新的燃焼技術」では、乗用車用のガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンを対象とし、最大の正味熱効率50%という世界のトレンドを上回る野心的な目標のもと、基礎基盤研究から一貫して出口を見据えた研究開発を行う。具体的には、(1)高い熱効率を生み出し二酸化炭素を大幅に低減する燃焼の研究開発、(2)内燃機関の燃焼を自在に制御する研究開発、および(3)諸損失を低減する研究開発を行う。あわせて、世界トップレベルの内燃機関研究者の育成を図るために、持続的な産学連携体制の構築を推進する。

2.応募者の要件

国内の研究機関注1)に所属して、自らの研究開発構想に基づき、最適な実施体制により、研究開発期間中、研究責任者として研究開発を推進できる研究者。

注1)「国内の研究機関」 : 国内に法人格を持つ大学、独立行政法人、国公立試験研究機関、特別認可法人、公益法人、企業などのうち、研究開発を実施している機関。ただし、チームを編成して提案するリーダー大学については、国内に法人格を持つ大学、独立行政法人、国公立試験研究機関のうち、研究開発を実施している機関。

3.研究開発体制および研究開発費の規模

研究開発体制 研究開発費の規模
(1件あたり)
チーム ガソリン燃焼チーム 3~5億円/年程度
ディーゼル燃焼チーム 3~5億円/年程度
制御チーム 2~4億円/年程度
損失低減チーム 2~4億円/年程度
革新的要素技術 1,000万円/年