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別紙1

SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
課題「革新的燃焼技術」新規採択 研究責任者および研究開発課題名

種別 研究開発課題名 研究責任者 概要
ガソリン燃焼チーム 高効率ガソリンエンジンのためのスーパーリーンバーン研究開発 飯田 訓正
(慶應義塾大学 理工学部 教授)
スーパーリーンバーン技術の実現に向けた研究開発を行う。具体的には、①超希薄・高流動条件下で着火可能な点火システム、②タンブル流最適化による火炎伝播促進、③壁面熱伝達機構の解明に基づく冷却損失低減、④化学反応論的アプローチによるノッキング制御コンセプト創出の研究開発に取り組む。
ディーゼル燃焼チーム 乗用車用ディーゼルエンジンにおける高度燃焼制御 石山 拓二
(京都大学 エネルギー科学研究科 教授)
燃料と空気の高度混合制御により、燃焼の高速化と冷却損失・放射騒音の抑制を両立する新燃焼法を開発する。そのために、①噴射による混合気制御法の提案、②後燃え現象の解明と低減、③噴霧制御による冷却損失抑制、④超高圧噴射によるPCCI燃焼制御、⑤燃焼とエンジン構造による放射音制御の研究開発を行う。
(PCCI:予混合圧縮自着火燃焼。希薄で均一度の高い混合気を作ってから着火させる方式)
制御チーム 革新的燃焼技術を具現化するモデリングと制御 金子 成彦
(東京大学 大学院工学系研究科(工学部) 教授)
高度燃焼制御システムの構築を目指して、制御対象のモデリングと制御系設計開発支援ツールの開発を行う。具体的には、全体モデリングに必要な、①高速3D計算コアソフトの開発、②着火・燃焼・排気サブモデル群の開発、およびコントローラー設計に必要な、③高いロバスト性を有する制御方式の開発、④制御モデルの定数最適化を行うツールの開発を行う。
損失低減チーム 排気エネルギーの有効利用と機械摩擦損失の低減に関する研究開発 大聖 泰弘
(早稲田大学 理工学術院(環境・エネルギー研究科・環境総合研究センター) 教授)
排気エネルギーと機械摩擦の損失低減に取り組む。具体的には、排気エネルギーの有効利用として①ターボ過給システムの高効率化と②排気熱を利用した供給燃料の改質、機械損失の低減として③ピストン・シリンダ系やクランク・軸受系で発生する摩擦損失の評価・低減技術の開発を行う。
革新的要素技術(編入予定:ガソリン燃焼チーム) 誘電体バリア放電を用いた予混合気の燃焼促進法の開発 高橋 栄一
((独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 上級主任研究員)
ガソリン予混合気に誘電体バリア放電で形成した非熱プラズマを照射することで、超希薄・希釈燃焼における燃焼を促進する技術を開発する。
革新的要素技術(編入予定:ガソリン燃焼チーム) 組成制御による超希薄燃焼の火炎伝播安定化技術の開発 中原 真也
(愛媛大学 理工学研究科(工学系) 准教授)
超希薄化にともなうサイクル変動や失火などの不整燃焼を抑制するために、燃焼特性に優れた水素、EGRガスである二酸化炭素、および酸素濃度に着目した混合気組成の制御による火炎伝播安定化技術を開発する。
革新的要素技術(編入予定:ガソリン燃焼チーム) 正味熱効率50%実現に向けた乱流燃焼の計算科学的アプローチ 芳松 克則
(名古屋大学 エコトピア科学研究所 准教授)
規範的な乱流希薄燃焼を対象に、燃焼効率向上のため流れの燃焼への影響に焦点を当てる。計算流体力学の手法を用いて、乱流燃焼現象を解明し、その物理に基づく正味熱効率50%を実現する制御手法を開発する。
革新的要素技術(編入予定:損失低減チーム) 熱的・機械的に高耐久な実用熱電排熱発電システム開発 向後 保雄
(東京理科大学 基礎工学部 材料工学科 教授)
熱電発電方式による排熱再資源化を行うため、耐振動性、燃焼ガス系ヒートサイクルへの耐久性を有した、熱・機械的特性を大幅に向上させたMgSi高耐久発電モジュールを開発する。
革新的要素技術(編入予定:損失低減チーム) モノリス構造を利用したナノブラシの階層化による革新的高度潤滑 辻井 敬亘
(京都大学 化学研究所 教授)
高耐荷重と極低摩擦性を両立し得る高いポテンシャルを有する濃厚ポリマーブラシ(ナノブラシ)を対象に、広範囲なスケールでの階層構造化とトライボロジー特性の相関解明を基軸として、新規のエンジン潤滑システムを開発する。
革新的要素技術(編入予定:全4チーム) 量子論からの積み上げによる実エンジン壁面の熱損失・反応影響評価シミュレータの開発と革新的燃焼技術開発への応用 宮本 明
(東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授)
1,000万倍の高速計算を可能とする量子分子動力学法を基礎にしたマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータを用いて、燃焼効率を含め機械システムの最適化に取り組む。

研究開発課題名は応募時点のもので、今後変更する可能性があります。