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別紙1

SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)
課題「レジリエントな防災・減災機能の強化」新規採択研究開発課題および研究責任者

研究開発項目 研究開発課題(※1) 研究責任者 概要
①津波予測技術の研究開発 津波被害軽減のための基盤的研究 青井 真
(独立行政法人 防災科学技術研究所 観測・予測研究領域 地震・火山防災研究ユニット 地震・火山観測データセンター長)
適切な津波予測に基づき避難行動を促すことで津波到来までの猶予時間を最大限活用して被害軽減に資することを目指し、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)などの観測データから遡上を津波検知後数分以内に推定するための技術、防護施設の倒壊等を考慮した高精細津波遡上シミュレータ、可視化手法、余震や連動性地震を適切に評価するための海底地殻変動観測システムを開発する。
②豪雨・竜巻予測技術の研究開発 マルチパラメータフェーズドアレイレーダ等の開発・活用による豪雨・竜巻予測情報の高度化と利活用に関する研究 高橋 暢宏
(独立行政法人 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 センシングシステム研究室 室長)
ゲリラ豪雨や竜巻などの局地的な気象災害は急激に発達する積乱雲からもたらされるが、既存の観測技術では積乱雲の発達に即した高頻度・高密度な観測が難しく、それが早期予測を困難にしている。本研究開発課題では世界初となるマルチパラメータフェーズドアレイレーダ(MP−PAR)等を開発して積乱雲の高精度・高速3次元観測を可能にし、それらによる予測技術の高度化とともに、交通機関や自治体等の利活用に向けた研究開発を行う。
③大規模実証実験等に基づく液状化対策技術の研究開発 大規模実証実験等に基づく液状化対策技術の研究開発 菅野 高弘
(独立行政法人 港湾空港技術研究所 特別研究官)
生活や生産活動を阻害することなく既存施設に適用可能な地盤調査技術、液状化診断技術、液状化対策技術を開発し、実務へ反映させ、効率的な対策や緊急・復旧活動支援を可能にする。調査診断対策技術の開発は、事業継続中の沿岸コンビナート地帯を対象として実施し、耐震化を促す。同時に、道路網寸断のリスクとなる橋梁基礎の強靭化を目指した対策技術の確立と普及に努める。各技術の開発においては、大規模実証実験、数値解析、被災分析等を駆使して、実効性の高い成果を目指す。
④ICTを活用した情報共有システム及び災害対応機関における利活用技術の研究開発 府省庁連携防災情報共有システムとその利活用技術の研究開発 臼田 裕一郎
(独立行政法人 防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット 副ユニット長/自然災害情報室 室長)
国全体で状況認識を統一し、的確な災害対応を行うために、各府省庁、関係機関、自治体などが運用する災害関連情報システム間を連結し、情報を多対多で相互に共有して、統合的な利活用を実現する中核的役割となる「府省庁連携防災情報共有システム」と、災害派遣医療チームの派遣判断等の保健医療支援及びため池決壊による氾濫予測等のため池災害への対応をパイロットケースとした「共有された情報の利活用技術」の研究開発を行う。
⑤災害情報収集システム及びリアルタイム被害推定システムの研究開発 リアルタイム被害推定・災害情報収集・分析・利活用システム開発 藤原 広行
(独立行政法人 防災科学技術研究所 社会防災システム研究領域 領域長)
災害発生時の迅速な初動体制の確立や災害対応に資するため、地震、津波、豪雨等を対象に被害全体をリアルタイムに推定、状況を把握することで概観でき、かつ詳細な推定により町丁目単位でも利用可能な、高精度なリアルタイム被害推定・状況把握システムを構築する。衛星データやソーシャルメディアなどの各種情報分析により確定的な災害状況把握を可能とするシステム、およびそれら情報を利活用するためのシステムを開発する。
⑥災害情報の配信技術の研究開発 災害情報の配信技術の研究開発 熊谷 博
(情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター 副センター長)
災害時の過酷な環境下にあっても、住民等および災害対策関係機関間における通信の確保に資する「通信・放送の多様な情報メディア群を活用した災害情報配信」、「情報弱者等にも対応した災害情報コンテンツの自動生成」、「被災地域の災害対策本部等と被災現場間の通信の確保」などの技術を開発し、実証実験を通じて国内外への普及を目指す。
⑦地域連携による地域災害対応アプリケーション技術の研究開発 地域協働と情報連携による地域密着型減災シンクタンク構想 金田 義行
(名古屋大学 減災連携研究センター 特任教授)
災害対応力強化のため、地域の協働・連携を促進し、自発的減災行動の誘発や迅速な災害復旧に資する「減災情報システム」を開発する。同時に、減災アドバイザリー機能を有し研究・人材育成の核となる「地域密着型減災シンクタンク」を構築する。日本の産業重要拠点である西三河地域での3年次の社会実証実験と5年次の実装を経て、本研究「中核機関」としてシステムを他地域へ展開する。
巨大都市・大規模ターミナル駅周辺地域における複合災害への対応支援アプリケーションの開発 久田 嘉章
(工学院大学 建築学部 まちづくり学科 教授)
巨大都市では震災による直接被害、延焼火災や大群集のパニックなどの2次災害、さらには水害の同時発生などの複合災害への対応が必要である。本研究では大規模ターミナル駅である新宿駅と北千住駅の周辺エリアをテストフィールドとして、地元大学が拠点となり自治体・事業者・住民と連携して、平常時には災害リテラシーと対応力向上に努め、災害時には適切な対応行動を行うことを可能とするアプリケーション技術を開発する。
津波避難訓練および支援ツールの開発研究 矢守 克也
(京都大学 防災研究所 教授)
最も効果的な津波被害軽減策とされる住民の避難対策に焦点を絞り、地域住民がリアルな状況設定と適切な関連情報のもとで避難を行うための訓練パッケージを開発する。具体的には、近年新たな手法として開発された「個別訓練タイムトライアル」の手法を、より簡易かつ大規模に利用可能なスマートフォンのアプリとして再構築し、かつ、訓練時だけでなく緊急時の避難支援機能も有するツールとして開発・実装する。
知見の構造化によるWebアプリ「災害対応チュートリアル」 田村 圭子
(新潟大学 危機管理本部 危機管理室 教授)
過去の災害対応知の整理は進み、計画等に反映され対策に生かされている。しかし「業務」「資源」「情報」3側面を構造解析し、具体的に落としこまなければ、対応者には実現が不可能である。3側面の業務関数モデルを明確にし「いまやるべき重要業務の明確化」「人的物的資源の先読み」「業務実施期間の見積り」等を、対応者が業務実施前にシミュレーションできるアプリケーション技術を開発する。
被災者のヘルスリテラシー向上を目的とした地域の医療防災ネットワークの構築 ―避難所・病院・自治体・薬局をつなぐ新たな試み― 池内 淳子
(摂南大学 理工学部建築学科 准教授)
災害時に、住民が避難所において医薬品情報を収集し、自治体で集約する『医薬品供給ネットワークシステム』を開発する。また、災害時でもこのネットワークを支えるために、地域の医療拠点(病院)の対応力向上方策を開発する。地域での防災訓練などで住民と共に開発システムの検証を行う活動を通じて、避難所・病院・自治体・薬局をつなぐ医療防災ネットワークを構築し、被災者のヘルスリテラシー向上を目指す。
地域防災の持続的向上可視化アプリケーションの技術開発 大佛 俊泰
(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 情報環境学専攻 教授)
地域住民等が避難の開始、経路、手段などについて日頃から自分で試し、状況をリアルにイメージすることのできる先進的なシミュレーション技術を核とした地域防災支援アプリケーションを開発する。これにより、地域の安全性について継続的に関心を持ち、状況に即したとっさの行動がとれるようになる。また、避難行動ルールを取り決める合意形成ツールとして広く活用されるよう、シナリオ設定やデータ仕様の標準化を図る。

※1 研究題目は応募時点のもので、今後変更する可能性があります。