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別紙

「植物資源由来生分解性樹脂」の開発結果について

委託開発プログラムオフィサー

吉村 進

本新技術の開発結果は、下記のとおりであり、成功と判断することが適当である。

本新技術は、植物油脂を原料として微生物で発酵生産するポリ(3−ヒドロキシブチレート-co-3−ヒドロキシヘキサノエート)化合物(以下PHBH)の製造に関するものである。従来技術では、PHBHのように植物資源由来で軟質性と耐熱性を兼ね備えた生分解性樹脂はいまだ実用化されておらず、硬質で耐熱性が低いポリ乳酸が限定された用途に使用されているのみであった。

本新技術の特徴は遺伝子組換え法による発酵生産技術の応用であり、合成段階まで微生物により発酵、生産し水系精製するクリーンなプロセスという特徴がある。本新技術によって生産されるPHBHは、良好な生分解性、柔軟性、耐熱性を持つ点で先行の生分解性樹脂に対し差別化が可能で、農業マルチフィルムを含む軟質フィルム用途などへの適用が期待されている。

本開発で構築した年産1,000トン規模の実証生産設備による検討を続けた結果、成否の認定基準である、生分解性PHBHの培養生産性、PHBHの連続運転における培養後収率についてはそれぞれ4〜6日間程度の連続運転で目標とする生産性、収率を達成した。また農業用マルチフィルムとしての性能についてもグリーンプラ(GP:生分解性プラスチック)識別表示可能な配合で既存の石油由来生分解性フィルムと同等以上の物性が得られている。

以上の開発実施結果により、植物性油脂を原料として微生物からPHBHを大量生産する実証試験設備による連続生産性および、製造した樹脂を用いてGP配合で設計した生分解性農業用マルチフィルムの性能の双方をほぼ満足させる結果を得ていることから、成否認定基準における技術要因を満足しうる見通しが立ったと考えられ、本開発を成功終了とすることが適当であると考える。