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科学技術振興機構報 第1026号

平成26年4月28日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

フィリピン台風30号に対する「国際緊急共同研究・調査支援プログラム
(J−RAPID)」新規課題の決定について

JST(理事長 中村 道治)は、フィリピン科学技術省(DOST)注1)と協力して、平成25年11月に発生し、フィリピンなどに大きな被害をもたらした台風第30号注2)に関連する11件の研究・調査課題を決定しました(別紙)。これは「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J−RAPID)注3)」の一環として行われるものです。

今回、台風発生の数週間後からDOSTと調整を始め、平成26年2月17日に共同研究や調査課題の募集を開始しました。3月28日の締め切りまでに、日本とフィリピンの大学、研究機関から25件の応募があり、11件の研究・調査課題の支援を決定しました。支援期間は半年〜1年で1課題あたり300万円程度を支援します。

JSTは、平成23年に東日本大震災が発生した際に、至急取り組む必要がある研究や調査、特に海外研究者と協働して行われる国際共同研究・調査を支援するためのプログラムとしてJ−RAPIDを立ち上げ、地震・津波防災、建築・土木、原子力・放射線安全などの分野でアメリカやフランスを含む4ヵ国とそれぞれ協力する課題(33件)を支援しました。

その後、平成23年11月にタイで発生した洪水ではタイ国家科学技術開発庁(NSTDA)注4)と協力し、2件の日タイ共同研究・調査を支援しました。

J−RAPIDを発動するのは、世界的に稀有な災害で、社会的・経済的影響が大きく、緊急の取り組みが必要とJSTが判断した場合とし、主として以下のいずれかの緊急性を有する研究・調査を支援対象とします。

これまでに実施されたJ−RAPID課題はそれぞれ、観測データの提供や災害復旧対策 の提言、研究ネットワークの形成など、本格研究や調査、災害復興、防災対策に貢献しています。

例えば、谷口 栄一 京都大学 教授は東日本大震災の後、アメリカの研究者とともに、震災時における実際の救援物資配送データを収集しました。同時に、救援物資配送に携わった官庁、民間物流事業者、荷主をインタビューし、配送での問題点や成功点を抽出しその原因を分析することによって、将来起こりうる災害時の救援物資配送の改善を目指しました。日米の研究者が協力し対象者の記憶が鮮明なうちにインタビューを実施することによって極めて有効な情報収集と分析を行うことに成功しました(参考1)。

JSTは今後も必要に応じ迅速にJ−RAPIDを発動し、科学技術的に貴重な情報の確保、災害からの速やかな復旧、将来の防災力の向上などに資する研究調査活動を支援します。

注1) フィリピン科学技術省(DOST)
フィリピンの科学技術振興を担当する包括的な省。技術立国を目指し、国の発展に資する科学技術政策の策定、実行、研究開発への民間セクターの誘導などを実施している。
URL:http://www.dost.gov.ph/
注2) 平成25年台風第30号
平成25年11月にトラック諸島近海で発生した台風(アジア名Haiyan「ハイエン」、フィリピン名Yolanda「ヨランダ」)。観測された最大風速は87.5メートル、最大瞬間風速105メートルは観測史上最大規模。この台風によるフィリピンでの死者は6,000人以上と甚大な被害をもたらした。
注3) 国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J−RAPID)
日本あるいは国際的に重要性を持つ緊急対応が必要な事象に対し、海外の研究資金配分機関や研究機関と協働して行われる国際共同研究・調査を支援するプログラム。
URL:http://www.jst.go.jp/inter/sicp/country/j-rapid.html
注4) タイ国家科学技術開発庁(NSTDA)
科学技術環境省が所管する庁で、1991年に設立された。タイの科学技術の産業利用を図るための包括的な組織であり、公的機関および民間の両方の産業技術開発を、資金、研究者、施設、情報など多面的に支援している。
URL:http://www.nstda.or.th/eng/

<添付資料>

別紙  :フィリピン台風30号に対する「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J−RAPID)」採択課題 一覧

参考1:J−RAPID 東日本大震災関連の研究・調査事例

参考2:フィリピン台風30号に対する「国際緊急共同研究・調査支援プログラム(J−RAPID)」課題の採択に関して

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 国際科学技術部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
村上 隆志(ムラカミ タカシ)、中島 英夫(ナカジマ ヒデオ)
Tel:03-5214-7375 Fax:03-5214-7379
E-mail:

(英文)
“JST to fund 12 Japan-Philippine Urgent Collaborative Projects regarding "Typhoon Yolanda" within the J-RAPID Program”