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別紙

戦略的創造研究推進事業における平成26年度の研究提案募集の概要

1.事業の趣旨

本事業は、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生み出す、新たな科学知識に基づく革新的技術のシーズを創出することを目的とした基礎研究を推進します。

2.事業の概要

国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズなどを踏まえ、「戦略目標」を国(文部科学省)が設定し、そのもとに推進すべき研究領域と研究領域の責任者である研究総括(プログラムオフィサー)をJSTが定めます。研究総括は、戦略目標の達成へ向けて、科学技術イノベーションを生み出す革新的技術シーズの創出を目指した基礎研究を推進します。

本事業のうち、「CREST」と「さきがけ」では、研究総括が研究領域をバーチャル・ネットワーク型研究所として運営します。研究領域ごとに研究提案を募集し、研究総括が領域アドバイザーらの協力を得ながら選考します。研究領域のもとで、選定された研究代表者が研究チームを編成し(CREST)、または研究者が個人で(さきがけ)、研究を推進します。

図

図1 研究の実施体制(CRESTの場合)

図

図2 研究の実施体制(さきがけの場合)

3.各研究タイプの概要と特徴

(1)「CREST」の概要と特徴

(2)「さきがけ」の概要と特徴

4.各研究タイプの研究費や研究期間など

原則として下記の通りですが、各研究領域の運営方針により異なる場合があります。

研究タイプ 研究期間内の研究費総額 研究期間
CREST 1.5~5億円 5年半以内
さきがけ 3~4千万円 3年半以内

5.研究提案を募集する研究領域と募集期間

平成26年度に研究提案を募集する研究領域と募集期間は、以下の通りです。

なお、「CREST」と「さきがけ」の両方に研究提案者として応募することはできません。(すべての研究領域の中から、研究提案者として1件のみ。)

○CREST 募集期間:平成26年4月16日(水)~6月10日(火)正午

戦略目標 研究領域とその概要 研究総括 研究領域
発足年度
社会における支配原理・法則が明確でない諸現象を数学的に記述・解明するモデルの構築 『現代の数理科学と連携するモデリング手法の構築』
【概要】
数学者と応用分野の研究者が相互に連携する研究チームを構成して、現時点で解決が困難な社会的課題に取り組むとともに、そのプロセスの中で数学自体の発展をも目指します。
坪井 俊
(東京大学 大学院数理科学研究科 研究科長/教授)
平成26年度
人間と機械の創造的協働を実現する知的情報処理技術の開発 『人間と調和した創造的協働を実現する知的情報処理システムの構築』
【概要】
人間と機械の協働により新たな知を創出し、人・集団の知的活動の質向上を実現する知的情報処理システムを目指した研究開発を推進します。
萩田 紀博
(株式会社国際電気通信基礎技術研究所 取締役/社会メディア総合研究所 所長)
生体制御の機能解明に資する統合1細胞解析基盤技術の創出 『統合1細胞解析のための革新的技術基盤』
【概要】
1細胞中の生体分子を定量的かつ網羅的に測定する方法論的技術的基盤の構築を目指します。特に、生体組織中の個々の細胞における生体分子の網羅的時間的変化や相互作用を定量的に記述するために必要となる技術や方法論を創出し基盤化することを目的とします。
菅野 純夫
(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
二次元機能性原子・分子薄膜による革新的部素材・デバイスの創製と応用展開 『二次元機能性原子・分子薄膜の創製と利用に資する基盤技術の創出』
【概要】
次世代省エネルギー部素材・デバイスの構成要素としての二次元機能性原子・分子薄膜(原子・分子の二次元的構造、あるいはそれと等価な二次元的電子状態を表面・界面等に有する機能性を持った薄膜物質)に着目し、原子・分子薄膜の二次元的構造並びに有限薄膜系におけるエッジ(端)構造等の創製、新規な機能発現に関する現象の解明、新機能・新原理・新構造に基づくデバイスの創出等に資する研究開発を基礎基盤的アプローチから進めることにより、新たな価値の創造や新たな市場の創出等に繋げる道筋を示していくことを目的とします。
黒部 篤
(株式会社東芝 研究開発センター 理事)
再生可能エネルギーの輸送・貯蔵・利用に向けた革新的エネルギーキャリア利用基盤技術の創出 『再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
再生可能エネルギーを安定的・効率的に利用する水素エネルギー社会の実現に向け、再生可能エネルギーを化学エネルギーの貯蔵・輸送の担体となるエネルギーキャリアに効率的に変換し、さらに、エネルギーキャリアから電気エネルギー、水素、動力などを取り出して利用する基礎的・基盤的技術の創出を目指します。
江口 浩一
(京都大学 大学院工学研究科 教授)
平成25年度
情報デバイスの超低消費電力化や多機能化の実現に向けた、素材技術・デバイス技術・ナノシステム最適化技術等の融合による革新的基盤技術の創成 『素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
材料・電子デバイス・システム最適化の研究を連携・融合することにより、情報処理エネルギー効率の劇的な向上や新機能の実現を可能にする研究開発を進め、真に実用化しイノベーションにつなげる道筋を示していくことを目指します。
桜井 貴康
(東京大学 生産技術研究所 教授)

(副研究総括)
横山 直樹
(株式会社富士通研究所 フェロー)
疾患実態を反映する生体内化合物を基軸とした創薬基盤技術の創出 『疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出』
【概要】
創薬・診断・予防といった医療応用を見据え、生体内化合物の動態解析を出発点とした、疾患を反映する代謝産物などの探索およびその情報に基づく疾患制御標的分子の分析を加速する技術の創出を目的とします。さらに、これらを基盤としてヒトの疾患制御の概念実証を行うことにより成果の医療応用を目指します。
清水 孝雄
(国立国際医療研究センター 研究所 研究所長)
選択的物質貯蔵・輸送・分離・変換等を実現する物質中の微細な空間空隙構造制御技術による新機能材料の創製 『超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製』
【概要】
21世紀の人類社会が直面する環境・資源・エネルギー・医療・健康などの諸課題を解決するために、空間空隙を有する物質の次元、形状、大きさ、組成、規則性、結晶性、および界面を高度設計する超空間制御技術を構築し、既存材料・技術では到達困難な革新的機能素材などの創製を目的とします。
瀬戸山 亨
(三菱化学株式会社 フェロー・執行役員/株式会社三菱化学科学技術研究センター 瀬戸山研究室 室長)
分野を超えたビッグデータ利活用により新たな知識や洞察を得るための革新的な情報技術及びそれらを支える数理的手法の創出・高度化・体系化 『科学的発見・社会的課題解決に向けた各分野のビッグデータ利活用推進のための次世代アプリケーション技術の創出・高度化』
【概要】
情報科学・数理科学分野とビッグデータの利活用により大きな社会的インパクトを生むようなさまざまな研究分野(アプリケーション分野)との協働により研究を進め、科学的発見および社会的・経済的な挑戦的課題の解決や革新的価値創造のために、個々の研究者や組織のみでは集積することが困難な大規模かつ多様な関連データを相互に関連付けて高度な統合的分析処理を行うことにより、これらのビッグデータに隠されている革新的知見や価値を抽出し創成することを実証的に研究開発します。そのために必要な次世代アプリケーション技術を実証的に創出・高度化することを目指します。
田中 譲
(北海道大学 大学院情報科学研究科 特任教授)
『ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
ビッグデータの複数ドメインに共通する本質的課題を解決し、さまざまな分野のビッグデータの統合解析を可能にする次世代基盤技術の創出・高度化・体系化を目指します。
喜連川 優
(国立情報学研究所 所長/東京大学 生産技術研究所 教授)

(副研究総括)
柴山 悦哉(東京大学 情報基盤センター 教授)
先制医療や個々人にとって最適な診断・治療法の実現に向けた生体における動的恒常性の維持・変容機構の統合的解明と複雑な生体反応を理解・制御するための技術の創出 『生体恒常性維持・変容・破綻機構のネットワーク的理解に基づく最適医療実現のための技術創出』
【概要】
個体の生から死に至る過程を、神経、免疫、内分泌、循環などの高次ネットワークによる動的な恒常性維持機構からとらえ、生活習慣病をはじめとする多くの疾患を「動的恒常性からの逸脱あるいは破綻」として理解し、これを未然に察知し予測的に制御する技術の開発を目指します。
永井 良三
(自治医科大学 学長)
平成24年度
多様な疾病の新治療・予防法開発、食品安全性向上、環境改善等の産業利用に資する次世代構造生命科学による生命反応・相互作用分子機構の解明と予測をする技術の創出 『ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術』
【概要】
最先端の構造解析手法をシームレスにつなげ、原子レベルから細胞・組織レベルまでの階層構造ダイナミクスの解明と予測をするための普遍的原理を導出し、ライフサイエンスの革新につながる「構造生命科学」と先端基盤技術の創出を目指します。
田中 啓二
(東京都医学総合研究所 所長)
環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計『分子技術』の構築 『新機能創出を目指した分子技術の構築』
【概要】
革新的かつ精密でオンリー・ワンの新物質・新材料・新デバイス・新プロセスの創出につながる分子技術を構築し、将来を見据えた社会ニーズと分子技術との間をシームレスに結び付けることを目指します。
山本 尚
(中部大学 教授/シカゴ大学 名誉教授)
生命現象の統合的理解や安全で有効性の高い治療の実現等に向けたin silico/in vitro での細胞動態の再現化による細胞と細胞集団を自在に操る技術体系の創出 『生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出』
【概要】
ゲノムやたんぱく質・脂質をはじめとする生体高分子が織り成す生命現象を無細胞系、細胞、細胞集団のレベルで観察・実験・計測し、この生命体の動的システムを時空間の視点で統合的に理解することを目指します。同時に、これらの研究を基盤として、生命現象を自在に操る技術の創出を追求します。
山本 雅
(沖縄科学技術大学院大学 細胞シグナルユニット 教授)
平成23年度

○さきがけ 募集期間:平成26年4月16日(水)~6月3日(火)正午

戦略目標 研究領域とその概要 研究総括 研究領域
発足年度
社会における支配原理・法則が明確でない諸現象を数学的に記述・解明するモデルの構築 『社会的課題の解決に向けた数学と諸分野の協働』
【概要】
社会的課題の解決に向けて数学の力を最大限発揮するとともに、課題に取り組むプロセスの中で数学自体の発展をも目指します。
國府 寛司
(京都大学 大学院理学研究科 教授)
平成26年度
分野を超えたビッグデータ利活用により新たな知識や洞察を得るための革新的な情報技術及びそれらを支える数理的手法の創出・高度化・体系化
人間と機械の創造的協働を実現する知的情報処理技術の開発 『社会と調和した情報基盤技術の構築』
【概要】
より良い社会の実現を目的とする情報基盤の要素技術の研究と、それらの技術を対象とする社会と調和させるために必要な制度や運用体制、ビジネスモデルまでも含めた総合的な議論と実践を行う場を提供します。
安浦 寛人
(九州大学 副学長/大学院システム情報科学府 教授)
分野を超えたビッグデータ利活用により新たな知識や洞察を得るための革新的な情報技術及びそれらを支える数理的手法の創出・高度化・体系化
生体制御の機能解明に資する統合1細胞解析基盤技術の創出 『統合1細胞解析のための革新的技術基盤』
【概要】
従来型のバイオテクノロジーのみならず、ナノテクノロジー、化学、工学、材料科学、光科学、情報学、ケミカルバイオロジーなどの関連分野間の融合研究をこれまで以上に推進し、唯一無二の技術開発に挑戦する若手個人研究者を結集することで、1細胞解析技術の新たな核となる革新的シーズの創出を目指します。
浜地 格
(京都大学 大学院工学研究科 教授)
再生可能エネルギーの輸送・貯蔵・利用に向けた革新的エネルギーキャリア利用基盤技術の創出 『再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
再生可能エネルギーを安定的・効率的に利用する水素エネルギー社会の実現に向け、再生可能エネルギーを化学エネルギーの貯蔵・輸送の担体となるエネルギーキャリアに効率的に変換し、さらに、エネルギーキャリアから電気エネルギー、水素、動力などを取り出して利用する基礎的・基盤的技術の創出を目指します。
江口 浩一
(京都大学 大学院工学研究科 教授)
平成25年度
情報デバイスの超低消費電力化や多機能化の実現に向けた、素材技術・デバイス技術・ナノシステム最適化技術等の融合による革新的基盤技術の創成 『素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
材料・電子デバイス・システム最適化の研究を連携・融合することにより、情報処理エネルギー効率の劇的な向上や新機能の実現を可能にする研究開発を進め、真に実用化しイノベーションにつなげる道筋を示していくことを目指します。
桜井 貴康
(東京大学 生産技術研究所 教授)
(副研究総括)
横山 直樹
(株式会社富士通研究所 フェロー)
選択的物質貯蔵・輸送・分離・変換等を実現する物質中の微細な空間空隙構造制御技術による新機能材料の創製 『超空間制御と革新的機能創成』
【概要】
環境・エネルギーや医療・健康をはじめとする社会的ニーズに応えるべく、「時代を創る」新物質・材料の創製に向けて、物質中の空間空隙を高度に設計・制御する「超空間制御技術」を確立し、従来の空間利用の常識を超える革新的機能の創出を目指します。
黒田 一幸
(早稲田大学 理工学術院 教授)
分野を超えたビッグデータ利活用により新たな知識や洞察を得るための革新的な情報技術及びそれらを支える数理的手法の創出・高度化・体系化 『ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化』(※CREST・さきがけ複合領域)
【概要】
ビッグデータの複数ドメインに共通する本質的課題を解決し、さまざまな分野のビッグデータの統合解析を可能にする次世代基盤技術の創出・高度化・体系化を目指します。
喜連川 優
(国立情報学研究所 所長/東京大学 生産技術研究所 教授)

(副研究総括)
柴山 悦哉(東京大学 情報基盤センター 教授)
先制医療や個々人にとって最適な診断・治療法の実現に向けた生体における動的恒常性の維持・変容機構の統合的解明と複雑な生体反応を理解・制御するための技術の創出 『生体における動的恒常性維持・変容機構の解明と制御』
【概要】
生体を1つの恒常性維持機構としてとらえ、その維持機構の時間的変化や破綻機構を解明するとともに、多臓器間ネットワークを体系的にとらえ、生命体を統合的に理解することにより、対症療法でない、診断・治療法の開発や年齢・ライフステージに応じた最適な医療の実現を目指します。
春日 雅人
(国立国際医療研究センター 総長)
平成24年度
多様な疾病の新治療・予防法開発、食品安全性向上、環境改善等の産業利用に資する次世代構造生命科学による生命反応・相互作用分子機構の解明と予測をする技術の創出 『ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術』
【概要】
最先端の構造解析手法をシームレスにつなげ、原子レベルから細胞・組織レベルまでの階層構造ダイナミクスの解明と予測をするための普遍的原理を導出し、ライフサイエンスの革新につながる「構造生命科学」と先端基盤技術の創出を目指します。
若槻 壮市
(米国SLAC国立加速器研究所 教授/スタンフォード大学 医学部 教授)
環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計『分子技術』の構築 『分子技術と新機能創出』
【概要】
分子を基盤とする新材料・新デバイス・新プロセスなどの創出のため、分子の働き・振舞いを自在に制御する「分子技術」を開拓・確立し、分子材料に関する日本の学問と産業力のさらなる発展と新たな展開を強力に推進すること、さらに社会の持続的発展に貢献することを目指します。
加藤 隆史
(東京大学 大学院工学系研究科 教授)

6.研究提案の受付方法

平成26年度の応募は「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」により受け付けます。

府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト

URL:http://www.e-rad.go.jp/

7.研究提案募集に関するお問い合わせ先

研究提案募集ホームページのお問い合わせフォームをご利用ください。

URL:http://www.senryaku.jst.go.jp/teian.html

科学技術振興機構 戦略研究推進部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
募集専用Tel:03-3512-3530 E-mail: