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研究領域「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」
事後評価

1.総合所見

・研究領域のねらいは、現在および将来にわたって必要不可欠な情報処理全般にわたる研究の推進であり、時宜を得た設定であった。研究課題の選考に関しては、5つの基本方針が示され、これに従って課題が選択され、選択方針は妥当であった。採択された課題は、基礎研究及び情報関連領域のベース強化という大きな観点で設定された。

・研究の推進のために、強力な領域アドバイザー陣が構成され、大きな効果を発揮した。発足当時から企業経験のある4名を入れたことは適切な措置であったと考えられる。また途中から産業界の現役のアドバイザーを追加したことも、産業界からの視点を意識した施策で評価できる。

・研究成果については、新規性、独創性に富むものが多く見られ、情報科学技術の基盤技術として将来の可能性を与えるものである。国際標準規格を提案するなど、情報関連領域のベースを強化する非常によい成果であったと考えられる。領域の成果は研究発表だけではなく、特許も積極的に出願し、登録にむけて審査請求も進めている。ただ基礎研究分野の課題が多いので、研究成果の社会的及び経済的な効果・効用については、中長期的に考える必要がある。今後、本領域で実施された研究が核になった新たな研究領域の創生やグループ形成が必要と思われる。この点については、プロジェクト終了後の追跡調査が必要である。

・研究総括は、研究者の自由度を最大限に尊重したマネジメントにより、個性を充分に活かし、従来の枠を超えた多様な成果が生まれたと考えられる。研究費の配分に関しては、研究課題の進捗状況、研究者のニーズを反映した効率的かつ柔軟な配分が実施され、研究推進の円滑化と効率化を促進したものと考えられ、研究総括のマネジメントを評価したい。

2.研究領域のねらいと研究課題の選考

・研究領域のねらいは、現在および将来にわたって必要不可欠な情報処理システムの実現であり適切であったと考えられる。

・研究課題の選考方針について5つの基本方針が提示され、この方針に従って課題が選択された。選考方針は妥当である。

・領域アドバイザーの構成に関しては、発足当時から企業経験のある4名を入れたことは適切な措置であったと考えられる。また途中から産業界の現役のアドバイザーを追加したことも、たえず産業界からの視点を意識した施策で評価したい。このような強力なアドバーザー陣により、各課題に対して学術的視点とともに産業的視点でのアドバイスが行われ、課題の発展に貢献したものと考えられる。また中間評価を反映した外部評価委員の強化も研究の進展に大きな貢献をした。

・採択された課題は、基礎研究及び情報関連領域のベース強化という大きな観点で設定されている。研究は、ハードウェア、ソフトウェアの両面にわたっており、元々広範囲な研究領域であるので、その成果の判断は今後の中長期的な視点が必要と考える。

3.研究領域のマネジメント

・マネジメントに関しては、今後必要となる情報科学技術の中で、大きな影響をもたらす可能性のあるものを選択し、育てるという基本方針の下に実施された。世界的レベルでの競争、進歩の激しい分野であることから、絶えず外部状況も意識したマネジメントが要求された。研究総括は、研究進捗状況の把握はもとより、熱心な議論、研究機関の現地訪問を実施し領域の推進に取りくみ、広範囲の研究をうまく統括した。5回の領域シンポジウムを開催し、研究成果を広く公開し、議論する機会を設けた。このように異なる分野での研究交流の機会を設けることにより、高いレベルの研究者間の相乗効果も十分あったのではないかと思わる。
 このように研究領域の運営に関して、基本方針の下、適切な運営が行われたと考えるが、広い研究領域だけに課題間の連携はかなり難しかったのではないかと推察される。

・研究費の配分に関しては、研究課題の進捗状況、研究者のニーズを反映した効率的かつ柔軟な配分が実施され、研究推進の円滑化と効率化を促進したものと考えられる。

4.研究成果

・課題担当者の自由度を最大限に尊重したマネジメントにより、個性を充分に活かし、従来の枠を超えた多様な成果が生まれたと考えられる。国際標準規格を提案するなど、情報関連領域のベースを強化する非常によい成果であったと考えられる。ただ基礎研究分野の課題が多いので、研究成果の社会的及び経済的な効果・効用については、中長期的に考える必要がある。今後、本領域で実施された研究が核になった新たな研究領域の創生やグループ形成が必要と思われる。この点については、プロジェクト終了後の追跡調査が必要であろう。

・研究成果は、国内外の学会で発表され学術的には高い評価を受けたものが多く、科学技術の進歩に十分貢献したと考える。今後、ただ情報システムについては、国際的なプレゼンスを高める努力をもう少ししてもよかった。

・産業界のアドバイザーなどの協力により、積極的な産業界向けの情報発信や成果利用の働きかけが実施された。

・領域の成果は研究発表だけではなく、特許も積極的に出願し、登録にむけて審査請求も進めており、今後の社会的及び経済的な効果・効用も大きいと考えられる。
産業界での利用については、技術の内容、完成度だけではなく普及のための戦略が必要で、かつタイムリーな実行が必要である。産業界との連携はもとより、デファクト化への戦略を練る必要がある。

5.その他

 11テーマで50億円以上費やしたプロジェクトであり、費用対効果という観点で、中長期的な評価も必要であろう。研究領域の推進に際して、多数の若手研究者が雇用されたと思われるが、これらの若手の研究者が今後、どのように成長していくのか、しっかり把握する必要がある。CRESTだけの課題ではないが、JSTは、人材育成の方法などもきっちり方針を持って行う必要がある。

6.評価

(1) 研究領域としての戦略目標の達成に資する成果

(1-1) 研究領域としてのねらいに対する成果の達成度
特に優れた成果が得られた。

(1-2) 科学技術の進歩に資する研究成果
十分な成果が得られた。

(1-3) 社会的及び経済的な効果・効用に資する研究成果
十分な成果が得られた。

(1-4)戦略目標の達成に資する成果
十分な成果が得られた。

(2) 研究領域としての研究マネジメントの状況
特に優れたマネジメントが行われた。

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