戦略的創造研究推進事業HOME評価CREST・さきがけの研究領域評価戦略的創造研究推進事業における平成19年度研究領域評価結果について > (参考)戦略目標及び研究領域

(参考)

戦略目標及び研究領域

【チーム型(CREST)】

戦略目標
『教育における課題を踏まえた、人の生涯に亘る学習メカニズムの脳科学等による解明』

1.名称

教育における課題を踏まえた、人の生涯に亘る学習メカニズムの脳科学等による解明

2.具体的な達成目標

 教育における課題に対して、脳科学をはじめ関係する諸科学による貢献を目指すという観点からの対話・交流を進めつつ、以下の項目の中で特に社会的要請の強いものを対象に研究を実施する。
 なお、ここで言う「教育」とは、人の胎児期を含む生涯を通じた教育、即ち、乳幼児教育、小・中・高等学校教育、高等教育、高齢者教育、また、職業人を対象とした新たなスキル習得等のための能力開発や再教育、さらにはリハビリテーション、語学教育、芸術教育、体育等を包含した広義の概念として取り扱うものである。

・胎児期・乳児期・幼児期における脳機能発達の解明。特に環境が及ぼす影響、シナプス過剰形成と刈り込み、可塑性と臨界期・感受期、機能統合、言語発達、髄鞘化と機能発達の関係等の解明
・児童期・青年期における、教育・学習の方法、記憶や注意のメカニズム、学習の意欲や動機付け、創造性等に関する脳機能、共感性、学習・行動の障害と脳機能の発達の関係等の解明
・成人期における、能力開発・再教育の方法と脳機能との発達の関係の解明、及びストレスが脳機能に与える影響の解明
・高齢期における、健やかな脳機能の保持及び損傷を受けた脳機能の回復メカニズムの解明
・上記のための研究・計測方法論の開発

 なお、将来的には、これらの研究の成果を踏まえた脳機能と学習メカニズムの関係に関する知見の蓄積により、育児や学習指導に関する重要な考え方を確立するとともに、教育における課題を踏まえつつ、成果を育児や教育の現場をはじめとする様々な場に提供することを目指す。

3.目標設定の背景及び社会経済上の要請

 ITをはじめとする科学技術の加速度的な発達による生活様式の変化やコンピュータ上でのバーチャル体験の普及、少子高齢化や食生活の変化等、現代社会における生活環境や社会環境は大きく変容してきている。このような環境の急激な変化を踏まえ、社会経済の発展基盤である人の知性と感性が健やかに育まれ、人が本来有する能力と個性が適切に発揮できるように、新たな視点からの研究が必要である。
 また、これまでは、例えば言語獲得の臨界期・感受期に関連した教育・学習の時期に関する課題や、学習・行動障害のような教育の現場において生じている問題に対して、児童心理学や教育心理学の知見及び教育現場において蓄積された知見を活かすことによる取組みがなされてきた。一方で脳科学からの知見の蓄積が進んできていることから、その蓄積に基づいて、教育関係者が長い経験によって得た暗黙知を顕在知とすることにより、育児や学習指導に関する重要な考え方が得られると強く期待されている。
 このように新たな知識が急速に蓄積されつつある脳に関する研究を、認知科学、心理学、社会学、医学及び教育に関する研究と架橋・融合し、従来の脳科学や教育学とも異なる新分野の研究として実施することにより、将来に向けて、教育の改善に繋がる可能性が考えられている。

4.目標設定の科学的裏付け

 脳の発生初期の神経細胞分化や回路形成メカニズムに関する研究は、分子生物学的手法が非常に有効なこともあり、我が国でもこの領域の研究は著しく進展し、既に多くの知見が得られている。また、近年、人を対象とした脳機能の非侵襲計測が可能となり、分子生物学、医学、行動学、心理学、工学等を基盤とした脳に関する研究の進展と相まって、脳科学は飛躍的な発展を遂げており、教育学、社会学、医学、言語学等の広範な分野に亘る研究を架橋・融合した研究を進めることが可能な環境が整備されつつある。
 また、OECD(経済協力開発機構)のCERI(教育研究革新センター)においても、1999年より「学習科学と脳研究(Learning sciences and brain research)」に関するプロジェクトを開始しており、2002年4月から着手した第II期プロジェクトでは、幅広い分野の専門家により、①脳の発達と生涯に亘る学習(日本による調整)、②脳の発達と算術能力(英国による調整)、③脳の発達と読み書き能力(米国による調整)に関する研究ネットワークが構築されている。

5.重点研究期間

 平成15年度から平成17年度までに研究体制を順次整備しつつ、1研究課題につき概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果を挙げている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)

研究領域
「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」(平成15年度発足)

 本研究領域は、脳を育み、ヒトの一生を通しての学習を促進するという視点に、社会的な観点も融合した新たな視点から、健康で活力にあふれた脳を発達、成長させ、さらに維持するメカニズムの解明をめざす研究を対象とするものです。
 最近の脳研究は、「複雑な脳が1個の受精卵から如何に形成され、高次機能を発揮するようになるのか?」という古くからの疑問に対して、初期の遺伝情報によるメカニズムをかなり明らかにするとともに、そのようにして形成された神経回路網は環境からの入力や脳自身の活動によって精緻化や改変を受けることを明らかにしてきました。さらに、この活動依存的変化のメカニズムは学習のメカニズムと共通することも示唆しています。このような知見は主に実験動物で得られてきましたが、最近、ヒト脳機能の非侵襲的計測技術の発展によって、ヒトの脳機能の発達や入力依存的変化の研究が可能となり、ヒトにおいても発達や学習メカニズムを解明できるとの期待が高まっています。
 本研究領域は、このような現状認識にたって、ヒトの感覚・運動・認知・行動系を含めた学習に関与する脳機能やヒトに特有な言語などの高次脳機能の発達メカニズムの解明、さらに精神・神経の障害からの機能回復の機序解明を目指しています。また、そのようなメカニズムの基礎にある発達脳における神経回路網可塑性に関する実験動物を使った研究も進めます。動物実験においては、その知見がヒトに適応可能な研究、特定の手法のみならず種々の手法を多元的に併用した融合的研究、或いはシステム的見地からの研究を推進します。
 以上、脳機能発達と学習メカニズムに関する独創的、先進的研究がこの領域で進展し、その結果、教育や生涯学習における諸課題解決に対する示唆を提供することによって、研究成果を社会に還元することを目指しています。

戦略目標
『情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理の実現に向けた技術基盤の構築 』

1.名称

情報通信技術に革新をもたらす量子情報処理の実現に向けた技術基盤の構築

2.具体的な達成目標

 量子力学的もつれ効果を活用することにより超高速計算や大容量通信を行うことを可能とする量子情報処理の実現を目指し、光子、電子スピン、核スピン等を用いた量子情報処理素子の研究開発を行うとともに、アルゴリズムや回路、システムも含めた包括的な研究開発を同時並行的に行い、競争的環境下において実施することにより、最も有効なアプローチを抽出し、量子情報処理技術の実現を支える技術基盤を構築すること。

・量子情報処理技術の実現に向けた量子デバイスの研究開発(高性能化・多量子ビット化、長寿命化・安定化)
・量子情報処理技術の実現に向けたアルゴリズム、システム等の研究開発

3.目標設定の背景及び社会経済上の要請

・「量子重ね合わせ」現象を利用して多数の計算を同時に行い、全体として超高速の計算を実現する量子情報処理技術の確立は長期的課題ではあるが、その実現のあかつきには、情報通信分野における大きな革新をもたらすものである。具体的には、現在のスーパーコンピュータで何年〜何十年もかかる医薬品や高機能ナノ材料などの構造・性能のシミュレーション、通信のセキュリティの究極的な確保、複雑な暗号を解読するような膨大な計算を瞬時に完了することができると言われている。
・本技術の研究開発については、長期的課題であるものの、現在欧米豪の三極で既に大規模プロジェクトが立ち上がり、競争が激化している。我が国においてもこれらの国に遅れをとることなく組織的に取り組まなければ、海外に基本特許等を押さえられるなど、本分野における国際競争力の弱体化といった弊害が想定される。
・量子情報処理技術の実現に向けた取組みについては、現段階では非常に基礎的な段階であり、不確定な要素も多いが、量子コンピュータの開発に必要な要素技術の開発により、新たなIT関連市場の創出も見込まれる。
・以上のことから、我が国においても、本技術の開発について早期に国家的に取り組む必要がある。

4.目標設定の科学的裏付け

・量子情報処理技術の実現に向けた取組みとしては、構成単位となる量子ビットを実現するデバイスの開発が行われており、現段階では、単量子ビットを実現する素子から多量子ビットを実現する素子の開発にまで至っており、この素子を用いた量子もつれ合いの解明が行われつつある。
・量子デバイスを用いた量子情報処理技術の実現のためには、デバイスの多量子ビット化及び長寿命化とともに、演算を行うための新しいアルゴリズムの開発が必要であり、これらを組み合わせ、基本的な論理演算を行う素子を実現することが当面の目標とされている。
・上記のように、量子デバイスの開発については、基礎的な段階とはいえども方向性が見えてきた段階であり、今後、集中的・戦略的に取り組むことにより、大きなブレイクスルーが期待される。
・量子情報処理実現のための基盤技術の開発は、本分野において国際的なイニシアティブを取ることにつながることから、国際的にも競争が激化しており、海外においては国家的な取組みがなされようとしている段階である。
・我が国においては、各研究機関において独自に取組みが行われている状況であり、こうした状況を踏まえると、我が国としても、国家として戦略的に取り組む必要がある。
・また、本分野では長期間にわたる研究開発を必要とすること、また、本分野の研究開発が現在若手の研究者を中心として実施されていることから、次代を担うべき若手研究者を活用して研究開発を実施していくことが重要な鍵となる。
・以上のことから、複数のアプローチを同時並行的に競争的環境下で進めることにより、最も有用なアプローチを抽出し、世界に先駆けて量子情報処理の基盤技術を確立することが肝要である。さらに、若手研究者の活用にも重点を置く必要がある。

5.重点研究期間

 平成15年度から平成17年度までの3年間にわたり、新規研究課題の募集を実施し、研究期間は1研究課題につき概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果を挙げている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)

研究領域
「量子情報処理システムの実現を目指した新技術の創出」(平成15年度発足)

 本研究領域は、ミクロの世界で観測される量子力学的現象を制御し、記憶、演算などの情報処理を行うシステムへ展開していくための基盤となる新しい技術の創出を目指す研究を対象とするものです。
 この領域では量子情報処理のハードウェアの構成方法に関する実験的、理論的研究が切望されています。
 本領域で目指すものは光・電子・原子・原子核など様々な系の量子効果に基づく基本的なデバイスや多量子ビット化の技術、量子情報の伝送技術や中継技術であり、さらにそれらの基盤となる要素研究、例えば量子もつれ現象の制御・観測に関する研究等に関するシミュレーションを含めた研究です。
 具体的には、イオントラップ、冷却原子、半導体中の電子スピンもしくは原子核スピン、ジョセフソン接合素子、NMR、線形光学系などを用いた量子コンピュータ技術、また、原子集団や量子テレポーテーションを用いた量子中継技術、単一光子やエンタングル光子対を用いた量子暗号技術などを目指しています。

戦略目標
『技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現』

 21世紀は、世界各国で高齢化が進み、特に我が国においては世界に例を見ない速度で高齢化社会を迎えることが予測されている。このような状況はかつて経験したことがないものであり、高齢化社会にどのように対応していくかという問題は、人類の直面する大きな課題である。このような中、大胆な技術革新に取り組むことにより、21世紀に向け、豊かで活力のある高齢化社会を実現することが大変重要である。
 このためには、高齢化社会に対応し個人の特徴に応じた革新的医療を実現することを目指して、オーダーメイド医療、再生医療等の実現に不可欠な発生・分化・再生のメカニズムを解明することや、豊かで健康な食生活と安心して暮らせる生活環境の実現を目指して、植物の持つ多様な機能を解明し、その機能を制御・利用すること等が必要である。
 したがって、戦略目標を、豊かで活力のある高齢化社会の構築を目指す「技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現」とする。

研究領域
「生物の発生・分化・再生」(平成12年度発足)

 生物の発生・分化の過程を通して分子・細胞・器官等さまざまなレベルでみられる分子機構、生物の巨視的な姿、形を形成を支配する法則、及び失われた組織や細胞の復元・再生過程にみられる生物自身が示す調整性やその分子生物学的メカニズムに関する研究、さらには器官形成の研究等を対象とする。

・発生・分化・再生過程における形質発現プログラムの解析
・細胞の個性と多様性の分子機構の解明
・幹細胞の増殖・分化に関わるプロセスの解析
・器官形成・組織形成やそのメカニズムの解明   等

 遺伝学・分子細胞生物学・遺伝子工学等のさまざまなアプローチを駆使して研究を進める。

研究領域
「植物の機能と制御」(平成12年度発足)

 植物の持つ多様な機能発現機構をマクロ的(生態学的)およびミクロ的(分子科学的)に、両面より解明することにより、その機能を人為的に制御する技術を早急に確立し、人類の生活基盤である食料、衣料、居住環境の安定的な提供、改善へと繋げる研究を対象としている。
 具体的には、植物ゲノムの解析並びに遺伝情報の解明、植物と環境との相互作用や環境ストレス下での植物遺伝情報の発現、さらには分子育種や生理機能の制御等を通じて、食料生産の増大及び質の向上、創薬への応用、パルプや建築材、繊維等の工業製品、その他未利用植物資源の利用、地球環境の保全や災害防止などに至る様々な植物の利活用を目指している。

戦略目標
『情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 2010年に訪れると予想されている現方式のシリコン集積回路の微細加工限界(ムーアの法則の限界)を越えた、次世代の情報処理・通信を担う新たな情報処理・通信用デバイス・材料・システム開発をめざす。この際、シリコン基板及び非シリコン基板の双方の取組みを実施する。
 また、これらデバイス・材料・システムを活用するためのインターフェースとしても有用な各種センシング技術(最先端的計測法・先端センサー素子とセンサー管理システムの開発等)による健康・環境計測法の実現を目指す。
 これらの目標達成のため、革新的な物性を有する物質創成からデバイス・システム開発までの総合的な推進を目指す。
 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・現在の半導体よりも演算速度を2桁向上するとともに、消費電力を2桁以上低減する情報通信用デバイスの探索。
・革新的なナノ素材とナノプロセスの開拓、新機能・新特性を持つ超集積素子の実現及び、医療応用・障害克服などに貢献するための集積システムの生体親和性の飛躍的向上。
・革新機能を付与した単一分子の合成及び高度集積化法の開拓等、機能分子を望むように集積して回路を形成する技術の確立及び分子デバイスシステムへ応用
・ナノメモリーの原理・素材・方式の解明を通じ、現在のハードディスクの記録密度の1000倍程度の記録密度を目指す。
・固体量子ビット素子、超伝導系量子磁束素子、相関電子素子、相関光子素子、スピン制御素子、ナノチューブ・ナノワイヤ素子等、新原理素子の探索及び技術的な壁の打破
・大容量・超高速の光通信技術に必要な光発生、光変調、光スイッチ、光増幅、光検出、光メモリ、表示などへの革新につながるナノ構造フォトニクスや材料の開発を通じた次世代光技術の創製
・バイオ分子の自己組織化を利用したナノスケールの新素子、新材料の創製を通じた高集積バイオチップの開発
・半導体、酸化物や磁性体中の電子の持つもう1つの自由度であるスピンを電子デバイスにおける新しい自由度として積極的に活用した、新しいナノ構造を利用したスピンエレクトロニクス材料の探索・創製
・超分子を用いたバイオナノ超分子センサー、導電性超分子スイッチング素子、ナノマシンなどの分子デバイス、ナノ材料の開発
・フラーレンの集積化、ナノデバイスへの応用に不可欠なCNT超微細加工技術、コンポジット材料開発
・フラーレン、ナノチューブに次ぐ新たなナノ集合体材料の創製と開発を通じたクラスター・ナノ粒子集合体をベースにした素子の実用化
・従来は全く異なる物質・材料として扱われてきた有機物質と無機物質とをナノスケールで融合させた構造を持つ全く新しい物質・材料群による素子の開発

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。
 具体的には、
①半導体を用いた高速・高集積・低消費電力デバイス技術に関し、国際競争力を確保することに加え、
②全く新しい原理を用いた次世代のデバイス・材料の礎を確立することが長期的展望にたった我が国の国際的な技術競争力の確保にとり必要不可欠である。
 また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが必須である。
 なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、情報通信分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「次世代情報通信システム用ナノデバイス・材料」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

目標設定の科学的な裏付け

 情報通信分野における我が国の技術競争力は、欧米に比べて全体的に低下傾向にある。これまで大きな役割を果たしてきた民間の研究開発については、その投資額の日米格差が急速に拡大しており、内容的にも製品開発に重点を移しつつあるため、我が国の競争力強化に向け、リスクの高い研究開発等について国の役割が一層重要となっている。
 特に、次世代情報通信システム用ナノデバイス材料においては、2010年に訪れると予想されている現方式のシリコン集積回路の微細加工限界(ムーアの法則の限界)を越えた、次世代の情報処理・通信を担う多様な新原理デバイス・材料・システムの構築に向け、現在、各国が世界標準の獲得競争のまっただ中にある。我が国として、次世代情報通信用デバイス開発において、世界を凌駕するための取り組みを緊急に準備することが必要であるが、この際、シリコン基板及び非シリコン基板の双方について産業化を見据えながら段階的な目標設定も行いつつ、戦略的に取り組むことが必要である。
 ソフトウエア無線等の新規通信方式への転換につれて、通信システムの急速な高速・大容量化が今後とも予想されているが、半導体の集積化・高機能化はムーアの予測に従い、3年で4倍のペースで進んでおり、2005年には素子の最小寸法が100nmを切り、ナノデバイス時代に突入することとなる。このため、大容量、高演算速度、省エネルギー、高セキュリティーその他の画期的な機能を有する新原理デバイス・材料・システムの開発が急がれている。
 具体的には、

・現在の延長の技術においては、高速化限界、セキュリティー問題、消費電力等の課題の克服に加え、量子効果等により現れる素子の動作や製造技術上の物理的な限界、製造 コスト等の問題を回避するための革新的なナノ素材やプロセスの開発、量子ドット、量子細線、ナノチューブ等を取り込んだスイッチ素子の開発が求められる。
・現在使われているLSIメモリ、磁気ディスク、光ディスクの性能限界の壁をうち破るとともに、強誘電体メモリーなどの次世代メモリーの開発が求められている。
・更に、現在の方式の集積回路とは全く異なる新たな原理に基づくデバイスとして、単一分子素子、各種固体Qビット素子、超伝導系新量子磁束素子、スピンエレクトロニクス等の技術開発も次世代の世界標準獲得の観点から積極的に取り組むべき重要な課題である。
・加えて、このようなデバイスやシステムの開発に際しては、革新的な物性、機能を有する新物質創製が必須であり、超分子、カーボンナノチューブ、フラーレン、クラスター・ナノ粒子をはじめとした積極的開発が必要である。

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果を上げている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)
(以下、平成15年度に追加)
 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。
(以下、平成16年度に追加)
 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

研究領域
「超高速・超省電力高性能ナノデバイス・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、従来のデバイス・システムに対して、ナノスケールの超微細構造形成技術や革新的ナノプロセス、および超集積化技術を活用することにより、これまでの情報処理や通信システムの性能を飛躍的に高めるデバイス・システムの創製に係わる研究を対象とするものです。
 具体的には、情報伝達の超高速化や広帯域化と超省電力化に向けた新規デバイスの構造・材料に係わる研究、極微デバイスが直面する限界に挑戦する革新的なナノ素材やナノプロセスの研究、極微デバイスにおける物理機構の解明と制御に係わる研究、超微細構造の活用により従来の光デバイスの性能を凌駕する新しいナノ構造フォトニクスデバイスの創製に係わる研究、および、これらの関連研究等が含まれます。

研究領域
「新しい物理現象や動作原理に基づくナノデバイス・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、量子系の新しい物理現象や動作原理、および、それを用いて新しいデバイス・システム等を実現するための研究を対象とするものです。
 具体的には、ナノスケールにおいてはじめて現われる電子系やスピン系の物理的特性を応用して演算、記憶等のアクティブな情報処理機能をもつ新しいデバイスの実現、ナノスケールの局所的特性を対象として電気、機械、光等の物理的手法や動作原理を用いてセンシング、操作、制御等を行うデバイスや新たな情報処理システムの創製を目指す研究等が含まれます。また、既存技術の限界を打破する新しい技術領域の創出に発展する新しい物理現象の発現のためのナノデバイスに係わる構造研究、現在まだ対象とするものの性質の研究にとどまっている現象をデバイスに結びつける研究等も含まれます。

研究領域
「高度情報処理・通信の実現に向けたナノファクトリーとプロセス観測」(平成14年度発足)

 この研究領域は、高度情報処理・通信に資するナノデバイス等の実現に向けた新しいプロセシング技術、ナノ構造体の機能を観察・計測・評価する新しい計測評価技術等に係わる研究を対象とするものです。
 具体的には、新たなプロセシング技術の確立に向けた、ナノ構造を作り出す光・X線・電子ビーム・イオンビーム等の新たな活用に係わる研究、分子・原子を制御することにより結晶・組織等をナノレベルで形成する技術に係わる研究、および、構築されたナノ構造体の機能を計測・評価、検証する技術に係わる研究等が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

研究領域
「高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用」(平成14年度発足)

 この研究領域は、バルクとは異なるナノ構造体において、微細な構造・組織等を制御することにより、高度情報処理・通信の実現に向けたこれまでにない特徴的な物性・高機能・新機能を有する材料等の創製や、その利用を図る研究を対象とするものです。
 具体的には、既にバルクとして存在している物質の「ナノ化」、すなわち薄膜・微粒子等の極微細構造はもちろん、ナノ粒子やクラスター原子・分子、分子性物質等、無機物質・有機物質さらにそのハイブリッド系を制御し、これまでにない機能・物性等を有する革新的新材料の創製を目指す研究、フラーレン・カーボンナノチューブ等の新機能性材料の創製やナノデバイス・システムへの利用を目指す研究等が対象となります。なお、本研究領域は戦略目標「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

戦略目標
『非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 DNA、タンパク質などの生体分子の動作原理等を活用した各種の機能性材料、生体適合性材料、バイオデバイス、システム等の開発及び、ナノマシンテクノロジー技術を活用した細胞手術、遺伝子治療システム、バイオアクチュエーター等の開発に向けた技術の確立を目指す。
 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・人間の五感に匹敵する又は五感を超える感度を持つ高感度な外場応答材などによるインテリジェントなセンサ技術の開発及び、情報処理機能を持つ使い易いマンマシンインターフェースとして、高感度かつ知的なセンサの開発
・ドラッグデリバリーの標的精度を単一細胞レベルにまで高めるとともに、細胞・遺伝子治療の要素技術の開発を通じた、ナノテクノロジーを設計基盤とする安全・無痛・高効率医療効果を得るトータルなシステムの提案
・タンパク質分子やその複合体が関与する生体内反応を手本に、分子構造及び分子間相互作用の柔軟な変化を利用した、素子自体が状況を判断して最適な動作をするナノソフトマシンの開発
・遺伝情報に基づいて生体が行うようなプログラムに基づく自己組織化現象によるナノ構造制御の物質・材料構築技術の探索を通じた、生体を超える分子モーター、分子デバイス、五感センサ、脳型デバイス等の人工生体情報材料の開発

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。
 具体的には、
①新たな医療システムとして期待の高い極小システムの構築が急がれる一方、
②ライフサイエンスとナノテクノロジー、電子技術などとの融合等が、次代の科学技術革命を拓くものとしての期待が高い。
 また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが必須である。
 なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、ナノテクノロジー・材料分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「医療用極小システム・材料、生物のメカニズムを活用し制御するナノバイオロジー」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

目標設定の科学的な裏付け

 創薬、再生医療等の医療への応用が期待されるライフサイエンス分野において、ゲノム技術の活用、疾病予防・治療技術開発、生物機能を高度に活用した物質生産、食料科学・技術開発等に加えて、新たな技術や手法の開発が求められており、そのためにナノテクノロジーの利用が不可欠である。
 このようなナノバイオテクノロジーは、米国においては、2000年からCornell大学を拠点として、Nanobiotechnology Centerプロジェクトを開始している他、英国でも、オックスフォード大学、グラスゴー大学を中心としたナノバイオテクノロジーへの総合的な取り組みが開始されている等、昨今、欧米における取り組みの強化が目立つ分野である。ナノバイオテクノロジーについては、バイオテクノロジーと物理、ナノテクノロジー、電子技術などの融合が次代の科学技術革命を拓くものとして期待が高く、我が国においてもこのような新たな分野において、世界のトップを目指すべく、緊急かつ戦略的な取り組みを開始すべき領域である。
 具体的には、

・高感度かつ知的なセンサーに関しては、情報を検知するセンサーについての開発は進んでいるところであるが、さらに多様な情報を超高感度で検知し、情報を処理伝達できる知的センター及び材料の開発が重要度を増している。
・IT化医療に関しては、個々のDNA分子に対して自由に人工操作を加えるトップダウン型ナノテクノロジー的方法の開発が急務であるとともに、ドラッグデリバリーシステムとしては、高度なターゲット制度、放出医薬のモニター方法、ナノマニピュレータの開発が待たれている。
・ナノソフトマシンについては、既に個々のタンパク質の動態を観察、操作し、分析するための1分子テクノロジーはほぼ確立しているが、これを発展させ、細胞内での個々の生体分子複合体レベルでの機能解明と相互の分子の作用ネットワークのメカニズムの解明及びその医療応用等への取り組みが求められている。
・プログラム自己組織化については、最近では複数の分子種を構造制御しながら配列しようとする研究がなされているところであるが、人工分子を機能デバイスとして発展させていくためにより高密度に集積するとともに、集積した機能物質を利用したセンサー、メモリー等の開発等が求められる。

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果をあげている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)
(以下、平成15年度に追加)
 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。
(以下、平成16年度に追加)
 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

研究領域
「医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、医療への応用に向け、ナノスケールでの生体反応・情報制御技術、バイオ素子・システム等の創製、および、それに用いる化学・生物系ナノ構造体に係わる研究を対象とするものです。
 具体的には、超高感度に物質濃度や温度・圧力等を測定するバイオ素子・システムや、生体情報や生体反応を計測・制御するバイオ素子・システム等の創製に係わる研究、バイオ素子・システム等の創製に必要となる化学・生物系ナノ構造体や材料に係わる研究、バイオ素子・システムを診断・治療等医療に応用する研究やドラッグデリバリーシステム等が含まれます。

研究領域
「ソフトナノマシン等の高次機能構造体の構築と利用」(平成14年度発足)

 この研究領域は、ナノレベルでの分子構造や分子間相互作用の変化等を利用して働くソフトナノマシン等の高次機能構造体の構築と利用に係わる研究等を対象とするものです。
 具体的には、生体に学ぶソフトナノマシンの動作機構の解析・制御およびその原理を活用したソフトナノマシンの構築、利用に関する研究、タンパク質や合成分子等の高次機能構造体によるソフトナノマシンの高効率エネルギー変換、エネルギー供給、情報の変換、伝達に係わる研究等も含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

研究領域
「医療に向けた自己組織化等の分子配列制御による機能性材料・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、将来の高度医療を率引する革新的な機能特性をもつ材料・システムの創製を目指し、自己組織化などの分子の秩序配列を利用したナノレベルでの構造制御により、ナノ構造体を構築する技術を開発する研究を対象とするものです。
 具体的には、生体適合材料等の機能性材料・システムの創製を目指し、自己組織化等を利用した超微細構造の形成・制御技術・プロセス技術や評価技術に係わる研究、分子認識機構および情報伝達機構の解明と構造設計技術に係わる研究、自己組織性を有する無機・有機ナノ組織体の設計と高性能材料等の創製に係わる研究、生体機能発現の場である溶液あるいは界面での構造制御と機能発現機構の研究等が対象になります。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製」にも資するものとなります。

戦略目標
『環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製』

具体的な達成目標

 原子・分子レベルで物質の組織・構造の制御等を行い、機能触媒及び循環可能な新材料等の環境保全材料並びに、高効率エネルギー変換システム等のエネルギー利用高度化材料の開発を目指す。この際、原子・分子レベルでの組織・構造の制御から求める材料開発までを総合的に推進する。
 このため、2010年代に実用化・産業化を図るべく、以下のような成果等を目指す。

・太陽電池、熱電変換素子、超伝導電力貯蔵・超長距離送電、燃料電池、水素貯蔵用材料のナノ組織制御による画期的な高性能化
・環境に余分な負荷を与えず、資源を無駄なく利用し、エネルギー効率を極限まで高めた、高速・高効率・高選択的物質変換プロセスと循環型エネルギーシステムを実現するためのナノ構造制御触媒の設計指針の確立及び調製技術の開発
・ナノスケールオーダーの口径の微小な空間を持つ物質の微細構造を制御した、新たな触媒、分離膜、物質担体、光デバイス、電子デバイス等の創製
・熱効率70%を可能とする超高効率ガスタービン材、片手でも持ち上がる自動車ボディー材、その他金属・セラミックス・高分子及びカーボンナノチューブ等の新素材を複合した新機能を持つコンポジット材料の開発
・高機能・多機能化のためのナノ組織の設計の実現及び、地球温暖化防止・省エネルギーなどの環境材料、高度情報通信社会実現のための磁性材料等の革新的な金属材料の創製

目標設定の背景及び社会経済上の要請

 経済のグローバル化と国際競争の激化等に伴う産業競争力の低下、雇用創出力の停滞といった現下の経済社会の課題を科学技術、産業技術の革新により克服し、我が国の産業競争力を強化し、経済社会の発展の礎を着実に築くことが不可欠である。このような革新的な科学技術、産業技術の発展の鍵を握るものとして、ナノレベルで制御された物質創製、観測・評価等の技術であるナノテクノロジーが、近年急速に注目されている。
 具体的には、多機能、多段階に機能する触媒、エネルギー貯蔵・変換効率の飛躍的に向上した材料開発等が特に求められる。
 また、これらの実用化・産業化の目標を達成するためには、ナノレベルでの計測・評価、加工、数値解析・シミュレーションなどの基盤技術開発や、革新的な物性、機能を有する新物質創製への取組みが必須である。
 なお、総合科学技術会議分野別推進戦略(平成13年9月)においても、環境・エネルギー分野においては、国家的・社会的課題の克服のため、「環境保全・エネルギー利用高度化材料」が5つの重点領域の1つとして位置づけられているところである。

目標設定の科学的な裏付け

 将来の我が国経済社会の持続的な発展のため、リデュース、リユース、リサイクルを実現し、かつ廃棄物の適正処分や自然循環機能の活用等を図ることにより、天然資源の消費が抑制され、環境負荷が可能な限り低減される循環型社会の構築を図ることが必要である。物質・材料技術は、このような資源循環型技術の中でも主要な役割を担う技術の1つである。
 また、エネルギー分野においても、エネルギーインフラを高度化していくために必要な研究開発として、燃料電池、太陽光発電のためのエネルギー変換材料、エネルギー機器・インフラ等各種材料の開発が求められているところである。
 産業界においてもその取り組みの強化が図られている環境保全・エネルギー利用高度化材料については、既存の材料分野を越えた多機能・多段階に機能する触媒等の環境保全材料、革新的にエネルギー変換効率を向上させた燃料電池材料等のエネルギー利用高度化材料をはじめとした各種のナノ構造制御材料開発により積極的な取り組みを行うことが必要不可欠。
 具体的には、

・エネルギー貯蔵・変換材料については、既に、太陽電池、2次電池、水素吸蔵材料等様々な材料や製品が作られているが、エネルギー変換効率が未だ不十分であることから、ナノ組織制御材料により効率向上を目指すことが必要である。
・高効率生産、環境浄化、エネルギー変換用などの触媒は現在までにおいても、多大な進化を遂げてきているが、ナノ構造を完全に制御した触媒により、必要な機能を単一の触媒上に付与する技術開発、多段階の合成プロセスについて、次々に機能する触媒開発、光機能触媒開発等への取り組みが求められている。
・複合剤の研究は、金属系、セラミックス系、高分子系等既に様々な分野で進められているが、製造コスト、特性劣化の問題等により、製品としては、スポーツ用材料といった比較的小型の製品に限られている。発電用ガスタービン等、大型構造部材への応用のためにナノ複合化が急務である。

重点研究期間

 ナノテクノロジー分野については、競争が激しく多くの研究領域を推進する必要があるため初年度のみの公募とし、次年度以降には新たに同じ研究領域での公募は行わない。1研究課題は概ね5年の研究を実施する。(なお、優れた研究成果をあげている研究課題については、厳正な評価を実施した上で、研究期間の延長を可能とする。)
(以下、平成15年度に追加)
 基本的には、初年度(平成14年度)のみの公募としていたが、特に緊急性の高い研究課題については、限定的に2年度目についても少数の課題に限り公募する。
(以下、平成16年度に追加)
 研究課題の公募は平成14、15年度のみとしていたが、ナノ構造材料・ナノデバイスにおける新しい機能・プロセスを実現するためのナノモデル化・シミュレーション技術に開発を目指す研究課題を平成16年度に公募することとし、同様に重要課題は以後公募できる。

研究領域
「環境保全のためのナノ構造制御触媒と新材料の創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、これまでになく高効率・高選択的にかつ環境負荷を低く化学物質等を合成あるいは処理することが可能な新触媒・新材料・システム、環境負荷の低い新材料等を創製し、環境改善・環境保全に資する研究を対象とします。
 具体的には、環境負荷の高い合成プロセスをナノ構造制御触媒等により低環境負荷型に代替する技術に係わる研究、高効率分離・吸着機能・高立体選択的表面・触媒等の高機能・新機能を有するナノ構造材料等の創製に係わる研究、すなわちグリーンナノケミストリーに加え、排ガス・排水中に含まれる化学物質、環境中に存在する化学物質等を高効率・高選択的に分離・除去、分解、無害化するナノ構造制御触媒の開発に係わる研究、これらを組み込んだシステムの創製に係わる研究、ナノ空間機能を反応場として活用したナノリアクター等の創製を目指す研究、環境負荷の低いナノ制御構造材料に係わる研究等が含まれます。

研究領域
「エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、ナノテクノロジーを活用した高効率のエネルギー変換・貯蔵技術、環境調和型の省エネルギー・新エネルギー技術を創製し、環境改善・環境保全に資する研究、および、ナノオーダーで構造・組織等を制御することにより、省エネルギーを達成し、エネルギーの高度利用に資するこれまでにない高度な物性を有する機能材料・構造材料・システム等を創製する研究等を対象とするものです。
 具体的には、エネルギー効率の極めて高い、高効率・高選択的物質変換プロセスや循環型エネルギーシステムを実現するためのナノ機能材料・システム、熱電変換素子等の創製を目指す研究、新しい太陽電池・燃料電池あるいは熱線反射材料・セルフクリーニング材料等の環境調和型の新エネルギー・省エネルギーに係わるナノ機能材料・システム等の創製を目指す研究、エネルギーの高度利用に資するナノオーダーで材料組成・組織構造・表面界面等を制御した高機能ナノ構造材料の創製に係わる研究、および、これらの構築に必要となるプロセス技術や評価技術に係わる研究等が含まれます。なお、本研究領域は戦略目標「情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製」および「非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製」にも資するものとなります。

【個人型(さきがけ)】

戦略目標
『情報処理・通信における集積・機能限界の克服実現のためのナノデバイス・材料・システムの創製』
『非侵襲性医療システムの実現のためのナノバイオテクノロジーを活用した機能性材料・システムの創製』
『環境負荷を最大限に低減する環境保全・エネルギー高度利用の実現のためのナノ材料・システムの創製』

 (内容省略:前述のとおり)

研究領域
「情報、バイオ、環境とナノテクノロジーの融合による革新的技術の創製」(平成14年度発足)

 この研究領域は、情報通信、バイオ、環境に係わるナノテクノロジー分野において、個人の独創的な発想に基づくこれまでにない新技術、新物質、新システム等の創製を目指した新しいルートを切り拓く挑戦的な研究を対象とするものです。
 具体的には、ナノスケールにおける物理現象に係わる研究、化学や生物系新材料の機構・機能等に係わる研究、センシング、操作、制御等の技術の基盤となる研究、既存技術の限界に挑戦する新しい情報通信、バイオ、環境の技術の創出に向けた研究、現在まだ原理の解明等の段階にとどまっている現象を次世代のデバイスやシステムのコンセプトに結びつける研究等が含まれます。

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