参考

戦略目標及び研究領域

【チーム型研究(CREST)】
戦略目標
『環境にやさしい社会の実現』
 地球上の人口は現在約58億人であり、1970年を境に増加は減速しつつあるものの、依然として年率1.5%で増加しており、2025年には83億人、2050年には98億人に達すると予想されている。
 今後人類が、真に豊かで快適な生活を実現し、維持していくためには、地球規模での無制限な開発や化石燃料の過剰使用等による環境の破壊を来すことなく、必要な食料及びエネルギーを確保するとともに、種々の人間活動やその結果生じる廃棄物等の生態系への影響を極力低減していくことが重要である。近年顕在化してきた内分泌かく乱物質の問題については、科学的に不明な点が数多く残されており、早急に知見を集積し、必要な対策を立てていくことが重要である。
 このためには、地球規模の諸現象の解明とその予測を行うとともに、これらを基礎として人間の諸活動の環境への影響を正確に把握することや、環境保全関連技術の確立、内分泌かく乱物質の生体への影響の把握が不可欠であり、それらを踏まえて環境にやさしい社会を構築していくことが必要である。
 したがって、戦略目標を、地球変動のメカニズムの解明とその予測、環境への影響の把握、環境保全関連技術の確立、内分泌かく乱物質の生体への影響メカニズムの解明等により人間の諸活動の環境への負荷の低減を目指す「環境にやさしい社会の実現」とする。
 
研究領域
「地球変動のメカニズム」(平成9年度発足)
 地球環境に関して、地球規模の諸現象の解明とその予測に必要となる研究を対象とする。
 具体的には、地球規模での気候変動、水循環、地球温暖化、大気組成の変動、生態系の変動および地球内部変動についてのメカニズムに関し、これらを明らかにするためのプロセスの研究およびそのモデルの研究などが対象となる。
 
戦略目標
『技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現』
 21世紀は、世界各国で高齢化が進み、特に我が国においては世界に例を見ない速度で高齢化社会を迎えることが予測されている。このような状況はかつて経験したことがないものであり、高齢化社会にどのように対応していくかという問題は、人類の直面する大きな課題である。このような中、大胆な技術革新に取り組むことにより、21世紀に向け、豊かで活力のある高齢化社会を実現することが大変重要である。
 このためには、高齢化社会に対応し個人の特徴に応じた革新的医療を実現することを目指して、オーダーメイド医療、再生医療等の実現に不可欠な発生・分化・再生のメカニズムを解明することや、豊かで健康な食生活と安心して暮らせる生活環境の実現を目指して、植物の持つ多様な機能を解明し、その機能を制御・利用すること等が必要である。
 したがって、戦略目標を、豊かで活力のある高齢化社会の構築を目指す「技術革新による活力に満ちた高齢化社会の実現」とする。
 
研究領域
「植物の機能と制御」(平成12年度発足)
 植物の持つ多様な機能発現機構をマクロ的(生態学的)およびミクロ的(分子科学的)に、両面より解明することにより、その機能を人為的に制御する技術を早急に確立し、人類の生活基盤である食料、衣料、居住環境の安定的な提供、改善へと繋げる研究を対象としている。
 具体的には、植物ゲノムの解析並びに遺伝情報の解明、植物と環境との相互作用や環境ストレス下での植物遺伝情報の発現、さらには分子育種や生理機能の制御等を通じて、食料生産の増大及び質の向上、創薬への応用、パルプや建築材、繊維等の工業製品、その他未利用植物資源の利用、地球環境の保全や災害防止などに至る様々な植物の利活用を目指している。
 
「生物の発生・分化・再生」(平成12年度発足)
 生物の発生・分化の過程を通して分子・細胞・器官等さまざまなレベルでみられる分子機構、生物の巨視的な姿、形を形成を支配する法則、及び失われた組織や細胞の復元・再生過程にみられる生物自身が示す調整性やその分子生物学的メカニズムに関する研究、さらには器官形成の研究等を対象とする。

 ・ 発生・分化・再生過程における形質発現プログラムの解析
 ・ 細胞の個性と多様性の分子機構の解明
 ・ 幹細胞の増殖・分化に関わるプロセスの解析
 ・ 器官形成・組織形成やそのメカニズムの解明   等

遺伝学・分子細胞生物学・遺伝子工学等のさまざまなアプローチを駆使して研究を進める。
 
戦略目標
『脳機能の解明』
 脳は多くの画期的な発見が行われる可能性を秘めている研究対象であり、21世紀に残された数少ない巨大フロンティアのひとつである。また、脳科学の進歩は、人間たる所以の根元である脳を知ることにつながり、脳を知ることは即ち人間を理解することにつながる。また、脳科学研究の成果は、脳の老化の防止、アルツハイマー病等脳・神経系の困難な病気の克服、脳の原理を生かしたコンピュータやロボットの開発による新技術・新産業の創出につながる。このような意味で脳科学の推進を図り、脳機能の理解を行うことは、正に人類的課題となってきている。
 したがって、第二の戦略目標を、人間の理解の基礎として脳の働きを知るとともに新技術・新産業の創出にも繋がることを念頭においた「脳機能の解明」とする。
 なお、この脳機能の解明を行うためには、脳の働きの理解を目指す「脳を知る」、脳の老化、疾病のメカニズムの理解と制御を目指す「脳を守る」、脳型の情報処理システムの理解と構築を目指す「脳を創る」といった研究領域において、明確な研究目標を設定し、計画的に取り組むことが必要である。
 
研究領域
「脳を守る」(平成9年度発足)
 この研究領域は、脳機能の解明のうち、脳の老化、疾病のメカニズムの理解と制御を目標とする研究を対象とする領域である。
具体的には、「脳の発達障害の制御」「脳の老化の制御」「神経・精神障害の機構の解明」、「神経・精神障害の修復法の開発」を目標とする。
「脳を知る」(平成10年度発足)
 この研究領域は、脳機能の解明のうち、人間たる所以の根元である脳の働きの理解を目標とする研究を対象とする領域である。
具体的には、「脳の発生分化機構」「神経回路網の構造、機能と形成機構」 「脳の高次機能(記憶、学習、意識、情動、認識と生体リズム等)」「コミュニケーションの脳機能」の解明を目標とする。
「脳を創る」(平成9年度発足)
 この研究領域は、脳機能の解明のうち、脳型情報処理システムの構築を目標とする研究を対象とする領域である。
具体的には、「脳型デバイス・アーキテクチャ(学習、連想記憶など)」「情報生成処理(認知認識、運動計画、試行、言語、評価、記憶など)システム」の構築を目標とする。
 

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This page updated on June 28, 2005

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