JST(理事長 濵口 道成)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、革新的な有機EL発光材料を開発する株式会社Kyulux(本社:福岡市西区、代表取締役社長 安達 淳治、以下「Kyulux」という)からの第三者割当増資注1)の引き受けを実施しました。
Kyuluxは、JSTの戦略的創造研究推進事業 CREST「有機半導体レーザーの構築とデバイス物理の解明」(研究代表者:安達 千波矢(九州大学 未来化学創造センター 教授(当時))、研究期間:平成14年~平成19年)における研究開発成果をもとに、平成27年3月に代表取締役社長 安達 淳治らが設立したベンチャー企業で、JSTは平成28年2月にSUCCESSにて第三者割当増資の引き受けを実施し、支援を開始していました※。今回の出資は、上記企業の事業化促進に向けた追加出資となります。
Kyuluxは、新しい有機発光材料であるTADF(熱活性化遅延蛍光)材料注2)を用いることで、これまでの有機発光材料が同時に解決することの難しかった色純度、発光効率、コストの問題を同時に改善する技術を有しています。九州大学とKyuluxは、さらにこの技術を進化させ、TADF材料と他の蛍光材料を最適に組み合わせ無限の分子設計の自由度を最大限生かすことで、高効率、低コストに加え、高純度の発色を実現する究極の発光技術Hyperfluorescence™の実現を可能としました。Hyperfluorescence™は次世代の有機ELディスプレイを実現する画期的な技術として、世界のディスプレイメーカーから注目されています。
当面は既存の有機ELディスプレイ向け発光材料を提供し、将来的には印刷方式に対応した材料開発やディスプレイ以外のアプリケーションへの展開も図っていく予定です。
SUCCESSでは今後も、JSTの研究開発成果を実用化しようとするイノベーティブなベンチャー企業に対して、成長資金の供給や関係機関のネットワークを活用したサポートを提供することにより、実用化を通じた先端技術の社会への還元を進めていきます。
(ホームページURL:https://www.jst.go.jp/entre/)
※平成28年2月25日プレスリリース「究極の有機EL発光材料を福岡から世界へ向けて実用化開発へ~九州大学の研究成果を活用したベンチャー「Kyulux」、総額15億円の出資を得て本格稼働~」
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20160225/index.html