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平成29年8月29日

京都大学
早稲田大学
岡山大学
金沢大学
科学技術振興機構(JST)
内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)

複雑な配管内の情報を正確な地図として自動生成するヘビ型ロボットを開発

~ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジによるタフなヘビ型ロボットの開発~

ポイント

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラム・マネージャー:東北大学 大学院情報科学研究科 田所 諭(タドコロ サトシ) 教授)における研究開発課題「タフな索状ロボットおよび極限ヒューマンインタフェースのための極限制御システムの開発」(研究開発課題責任者:京都大学 大学院工学研究科 松野 文俊(マツノ フミトシ) 教授)において、松野 文俊 教授、早稲田大学 理工学術院創造理工学研究科 奥乃 博(オクノ ヒロシ) 教授、岡山大学 大学院自然科学研究科 亀川 哲志(カメガワ テツシ) 講師、金沢大学 理工研究域機械工学系 鈴木 陽介(スズキ ヨウスケ) 助教らは、プラント設備の配管内の日常点検や緊急時の点検を目的としたヘビ型ロボット(図1)を開発し、複雑な配管内を走破し、配管内の状況を正確に提供することに成功しました。

本成果は、以下の事業・研究プロジェクトによって得られました。

内閣府 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
http://www.jst.go.jp/impact/

プログラム・マネージャー 田所 諭
研究開発プログラム タフ・ロボティクス・チャレンジ
研究開発課題 タフな索状ロボットおよび極限ヒューマンインタフェースのための極限制御システムの開発
研究開発課題責任者 松野 文俊
研究期間 平成26年度~平成30年度

本研究開発課題では、狭隘で複雑な環境への検査点検ソリューションを提供することを目的にヘビ型ロボットの開発に取り組んでいます。

<田所 諭 ImPACT プログラム・マネージャーのコメント>

PM

 ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジは、災害の予防・緊急対応・復旧、人命救助、人道貢献のためのロボットに必要不可欠な、「タフで、へこたれない」さまざまな技術を創りだし、防災における社会的イノベーションとともに、新事業創出による産業的イノベーションを興すことを目的とし、プロジェクト研究開発を推進しています。

ロボットは配管内の点検に広く使用されていますが、曲管、異形管、バルブなどの狭窄部、鉛直や急勾配での移動は困難でした。また、移動しながらの3次元マッピングは、配管が複雑な場合には十分な精度が得られないことが大きな問題でした。本研究は、新しい索状(ヘビ型)ロボットを開発し、全身の圧力センサーを使ったつっぱり動作や捻転動作によって複雑な場所での移動を可能にするとともに、音響センサー、関節センサー、ロボットの多関節モデルを併用することによって精度良く配管内の3次元マップを作成することを可能としたもので、ImPACT-TRCが目指している大きな非連続イノベーションを実現するコア技術になると期待されます。今後、プラントの配管、ダクトなど、さまざまな環境での適用試験を進め、厳しい現場での実用性を高め、災害予防に貢献していきたいと考えています。

<研究開発の背景と経緯>

ヘビ型ロボットは、脚型ロボットや車輪型ロボットでは進入できない空間かつファイバースコープでは到達できない場所へのアプローチを実現し、狭隘で複雑な環境への検査点検ソリューションを提供することを目的に開発がなされています。その適用の1つとして、プラント設備の配管内外の日常点検や緊急時の点検を行うことが期待されています。

これまでに配管内を走破するロボットは開発されてきましたが、オペレーターに提供される情報が限られており、曲管などを含む複雑配管内でロボットを操作するのは困難でした。これは、オペレーターはヘビ型ロボットの先頭に搭載されたカメラからの映像をもとにマニュアルで操作する必要があり、ヘビ型ロボットの配管内での状況を十分に把握できないことに原因がありました。

また、これまでのヘビ型ロボットでは、移動が可能な場面であっても、配管内の情報を正確に収集することは困難でした。これについては、配管内をロボットが移動すると配管内の汚れの状態が変化し、カメラで取得したテキスチャ注3)が毎回変化することが多く、また、垂直の配管を上っている最中に滑り落ち、ロボットの位置が分からなくなるなど、従来の画像とオドメトリ注4)によるビジュアルSLAM(自己位置決定と配管地図の同時生成)が使用できないことに原因がありました。

本研究開発チームは、ImPACT タフ・ロボティクス・チャレンジの共同研究開発の1つのテーマとして、これらの課題を解決するためにヘビ型ロボットとそのインタフェースの開発を進めてきました。このたび本研究開発の要素技術を統合化し、複雑な配管内を走破し、配管内の状況を正確に提供することに成功しました。

<研究開発内容(本研究開発の意義)>

上述の課題を解決するため、以下の機能を備えた新たなヘビ型ロボットとそのインタフェースを開発しました。

(1) 皮膚型の触覚センサーを搭載したヘビ型ロボットシステムの開発(岡山大・亀川、金沢大・鈴木、京大・松野)

ヘビ型ロボットの表面に巻き付けて装着できる皮膚型の触覚センサーである全周圧力センサーを新たに開発しました。20個の関節を持ち、各関節のモーターを駆動させることでさまざまな移動方式を実現できるヘビ型ロボットのリンクに全周圧力センサーを搭載しました。これにより、オペレーターから直接見ることのできない狭い隙間や配管の中にヘビ型ロボットが進入するときも、適切な力で配管に突っ張っているかどうかや、前進を妨げる障害物や配管の曲がりを把握することができるようになりました。また、曲管部の形状に合わせてヘビ型ロボットの螺旋形状を曲げた状態で捻転動作により移動を行う曲螺旋捻転運動を新たに開発しました。これらにより、従来はオペレーターにとって操作が非常に困難であった曲管部のヘビ型ロボットによる走破が可能になりました。

(2) センサー情報を融合し自己位置決定と配管地図を同時生成する統合型SLAMの開発(早稲田大・奥乃、京大・糸山、岡山大・亀川、京大・松野)

まず、管の入り口にスピーカーを設置し、ヘビ型ロボットのしっぽ部分にはマイクと姿勢を計測できる慣性センサーを装着します。搭載されたマイクを用いて設置されたスピーカーからの音の再生・到達時間の差による配管内のロボットの距離の推定を行います。この音響システムによる配管内距離情報、慣性センサーからの進行方向情報、多関節モデルによる姿勢推定を組み合わせた統合型SLAMを開発しました。これにより、従来の手法では困難であった配管内でのヘビ型ロボットの現在位置・姿勢の推定と配管地図の同時生成が可能になりました。その精度として、水平管・垂直管・曲管を含む長さ6mの200Aの配管で距離推定誤差7%以内を達成、配管地図精度は体積率で68%以上を達成しました。

(3) 接触・音響・慣性・画像センサー・多関節モデルによる点検用インタフェースを高度化(京大・松野、早稲田大・奥乃、京大・糸山、金沢大・鈴木、岡山大・亀川)

ヘビ型ロボットのリンクには全周圧力センサーが、しっぽには音響・慣性センサーが、先頭にはライトと画像センサーが搭載されています。また、ヘビ型ロボットの各関節には角度センサーが配置されており各関節の角度情報も得ることができます。(2)の項目で開発した統合型SLAMを用いて、ヘビ型ロボットの先頭に搭載されたカメラにより撮影された写真を配管地図上にマッピングする技術を開発しました。また、ヘビ型ロボットの運動により激しく回転してしまうカメラ映像の安定化・配管内におけるヘビ型ロボットの形状の提示・配管へのヘビ型ロボットの突っ張り力の提示など情報の可視化技術を開発しました。これにより、配管内点検時にヘビ型ロボットの状態や配管内部の様子を確認しながら遠隔操縦することが可能になり、オペレーターの負担の軽減化を達成しました。また、配管全体の状況の把握、点検箇所の記録・確認が可能になり、収集情報の記録と利活用が容易になりました。

<今後の展開>

プラント設備等の実環境で運用するために、

を進めています。これらの技術の導入により、プラントの配管設備の日常点検だけでなく、災害発生時の初動点検での運用も期待できると考えられます。

<参考図>

図1 皮膚型の触覚センサーを搭載したヘビ型ロボット

図1 皮膚型の触覚センサーを搭載したヘビ型ロボット

図2 マイクロフォンと慣性センサーを搭載したヘビ型ロボット

図2 マイクロフォンと慣性センサーを搭載したヘビ型ロボット

図3 水平管から曲管を経て垂直管の
          内側を走破するヘビ型ロボット

図3 水平管から曲管を経て垂直管の
内側を走破するヘビ型ロボット

図4 配管内点検用遠隔操作インタフェース

図4 配管内点検用遠隔操作インタフェース

<用語解説>

注1) 慣性センサー
正確には慣性計測装置(英語:nertial easurement nit、略称:IMU)であり、物体の運動を司る3軸の角度(姿勢)と加速度を検出する装置。
注2) SLAM
自己位置決定と配管地図の同時生成(imultaneous ocalization nd apping)。
注3) テキスチャ
視覚的な色や明るさの均質さ。
注4) オドメトリ
移動ロボットの車輪や関節の回転速度から移動速度を求め,それを積分して位置と姿勢を求める自己位置推定法。

<お問い合わせ先>

<研究に関すること>

松野 文俊(マツノ フミトシ)
京都大学 大学院工学研究科 教授
Tel: 075-383-3593
E-mail:

亀川 哲志(カメガワ テツシ)
岡山大学 大学院自然科学研究科 講師
Tel: 086-251-8023
E-mail:

奥乃 博(オクノ ヒロシ)
早稲田大学 理工学術院創造理工学研究科 教授
Tel: 03-6233-7801
E-mail:

糸山 克寿(イトヤマ カツトシ)
京都大学 大学院情報学研究科 助教
Tel: 075-753-5376
E-mail:

鈴木 陽介(スズキ ヨウスケ)
金沢大学 理工研究域機械工学系 助教
Tel: 076-234-4696
E-mail:

<ImPACTの事業に関すること>

内閣府 革新的研究開発推進プログラム担当室
〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
Tel: 03-6257-1339

<ImPACTプログラム内容およびプログラム・マネージャー(PM)に関すること>

科学技術振興機構 革新的研究開発推進室
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel: 03-6380-9012 Fax:03-6380-8263
E-mail:

<報道担当>

京都大学 総務部 広報課 国際広報室
菊地 乃依瑠
〒606-8501 京都市左京区吉田本町36番地1 時計台1階
Tel: 075-753-5729 Fax:075-753-2094
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早稲田大学 広報室 広報課
〒169-8050 東京都新宿区戸塚町1-104
Tel : 03-3202-5454 Fax:03-3202-9435
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岡山大学 総務・企画部 広報・情報戦略室
松本 尊道
〒700-8530 岡山市北区津島中1-1-1
Tel: 086-251-7292 Fax:086-251-7294
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金沢大学 総務部広報室
井村 彩沙
〒920-1192 金沢市角間町
Tel: 076-264-5024 Fax:076-234-4015
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科学技術振興機構 広報課
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