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平成29年7月28日

金沢工業大学
小松精練株式会社
科学技術振興機構

日本初、炭素繊維の製品規格化
耐震補強材料『カボコーマ・ストランドロッド』の 国内標準(JIS)化が認定へ

~新素材「カーボンファイバー」が建築分野で活躍、今後の新市場創造に期待!~

小松精練株式会社(本社:石川県能美市 社長:池田 哲夫)が国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)のセンター・オブ・イノベーション(COI)注1)プログラムの支援を受け、金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター(ICC)との共同により開発した炭素繊維複合材が、日本ではじめて耐震補強材として国内標準(日本工業規格:JIS)化される見込みとなりました。小松精練(株)がCOIプログラムの成果として製品化した熱可塑性炭素繊維複合材「CABKOMA(カボコーマ)ストランドロッド」が正式に耐震補強材として、1年後の2018年をめどに日本の工業規格の1つに加わる予定です。 JIS化されることにより、「カボコーマ・ストランドロッド」が耐震補強の新たな素材として市場を生み出し、普及が進んでゆくものと期待されます。

<背景・経緯>

カボコーマ・ストランドロッドによる施工(イメージ) カボコーマ・ストランドロッドによる施工(イメージ)

■「カボコーマ・ストランドロッド」の特長

「カボコーマ・ストランドロッド」は日本の伝統産業である組紐の技術と、現代の炭素繊維の技術を融合した強さとしなやかさを有するロープ状の材料です。熱可塑性炭素繊維複合材「カボコーマ・ストランドロッド」は引張強度が高く、繊細かつ強靭な構造体です。それをねじってロープ状にした「ストランドロッド」は、外層を合成繊維や無機繊維でカバーリングし、熱可塑性樹脂を含浸させた熱可塑性炭素繊維複合材です。

〈主な特長〉

  • 軽量(比重は鉄の1/4)
  • 引張に強い
  • 錆びない
  • 耐久性に優れる
  • 結露しない
  • 作業現場への運搬が容易
カボコーマ・ストランドロッド カボコーマ・ストランドロッド
ロッドの構造ロッドの構造

■耐震補強に利用する利点

「カボコーマ・ストランドロッド」には、従来工法(鉄筋ブレース)にはみられない以下のような優れた特徴があると判断されており、JIS化される見込みです。まさに、従来の鉄筋ブレースのデメリットを解消するコスト競争力ある有望な耐震補強材といえます。

〈利点・在来工法(鉄筋ブレース)との違い〉

  • 軽量でロッドを巻いた状態で搬入ができ、輸送コストを大幅に減らせる。
  • 長さに制限が無く、長くてもたわみが少ない。
  • 柔軟性があり、配置の自由度が高い。
  • 強度が高く、棒鋼より細くでき、建造物への負担が小さい。
  • 錆びず結露もしないため、経年劣化に強く耐久性に優れる。
  • 剛性が鉄より低く、木材により近く、木材を傷つけず腐食させにくい。
カボコーマ・ストランドロッド 約200m巻カボコーマ・ストランドロッド
約200m巻

■代表的施工例

1.ファブリック・ラボラトリー「fa-bo」

ファブリック・ラボラトリー「fa-bo」

世界的建築家 隈 研吾氏の設計による小松精練旧本社棟の改築工事に、耐震補強材として「カボコーマ・ストランドロッド」が、世界で初めて用いられています。

2.重要文化財「善光寺 経蔵」保存修理工事

重要文化財「善光寺 経蔵」保存修理工事 1
重要文化財「善光寺 経蔵」保存修理工事 2

2017年1月に行われた善光寺経蔵(きょうぞう)保存修理において「カボコーマ・ストランドロッド」が重要文化財の耐震工法において世界で初めて採用されました。

■今後の展開

「カボコーマ・ストランドロッド」は、以下のとおりJIS規格として標準化される見込みです。今後は耐震補強工法に用いられる補強材として、新たな市場を開拓し、普及が進むよう積極展開してまいります。

〈JIS規格〉

・登録区分:K 化学

JIS

<開発参画機関概要>

■小松精練株式会社

会社名 小松精練株式会社
本社 石川県能美市浜町ヌ167番地
設立 1943年(昭和18年)10月
代表取締役社長 池田 哲夫
資本金 46億8,042万円
売上高 358億7,200万円(平成29年3月期 連結)
従業員数 1,289名(平成29年3月31日 連結)
URL http://www.komatsuseiren.co.jp/
図

■金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター(ICC)

機関名 金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター
住所 石川県白山市八束穂2-2
開所 2014年(平成26年)6月
所長 鵜澤 潔
所員数 36名(平成29年6月)
URL http://www.icc-kit.jp/

<用語解説>

注1) センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム
科学技術振興機構(JST)による公募型研究開発プログラムの1つです。将来社会に潜在する課題とあるべき社会の姿、暮らしの在り方を見据えたビジョンに基づき、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを創出すると共にイノベーションプラットフォームを整備する事を目的として、ビジョンごとに組織されたビジョナリーチームの評価・支援の下、産学連携による研究開発に取り組んでいます。  金沢工業大学は、ビジョン3「活気あふれる持続可能な社会の構築」(ビジョナリーリーダー 佐藤 順一・日本工学会 会長)として採択された7つの拠点の内の1つで、「革新材料による次世代インフラシステムの構築拠点」(プロジェクトリーダー 池端 正一、研究リーダー 鵜澤 潔)の中核機関です。

<お問い合わせ先>

<CABKOMAに関するお問い合わせ先>

小松精練株式会社 広報課
〒929-0124 石川県能美市浜町ヌ167番地
Tel:0761-55-8070 Fax:0761-55-8101
小松精練 PR事務局(株式会社イニシャル内) 担当:山田・河野・三浦
Tel:03-6821-5730 Fax:03-5572-6065
E-mail:

<COI拠点に関するお問い合わせ先>

金沢工業大学 革新複合材料研究開発センター(ICC)
COI研究推進機構 機構運営グループ 担当:斉藤・髙田・樋口
〒924-0838 石川県白山市八束穂2-2
Tel:076-276-3100 Fax:076-276-3101
E-mail:

<JST事業に関すること>

科学技術振興機構 イノベーション拠点推進部 COIグループ
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
Tel:03-5214-7997
E-mail:

<報道担当>

科学技術振興機構 広報課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
Tel:03-5214-8404 Fax:03-5214-8432
E-mail: