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平成25年3月28日

公益社団法人 日本分析化学会

独立行政法人 科学技術振興機構

放射能分析用牛肉認証標準物質(フレーク状)を作製
—食品の放射能分析の信頼性の向上に貢献—

食品の放射性物質の基準値について、平成24年4月1日より新たな基準値が定められ、より微弱な放射能を正確に定量することが必要となった食品について、その放射能の正確な分析に寄与すべく、JST 先端計測分析技術・機器開発プログラムの一環として、公益社団法人 日本分析化学会は、放射能分析の妥当性確認や測定器の精度管理に使用できる放射能分析用牛肉認証標準物質(フレーク)を開発し、頒布を開始します。

東日本大震災より2年が経過しましたが、福島第一原子力発電所事故に伴い飛散した放射性物質の影響は国民生活の様々な側面に大きな影響を与えており、土壌などの環境試料や食品中の放射性物質の量を正確かつ迅速に測定する技術の開発は、放射線計測分野に求められている火急の使命となってきました。

厚生労働省では2011年3月17日から、食品に含まれる放射性物質について暫定規制値を定め、この値を上回る食品を規制しています。2012年4月1日からは、食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の指標にも準拠した新たなより厳しい基準値が適用されました。

分析の信頼性を確保するには、類似の組成を持ち計量トレーサビリティが保証された認証標準物質を分析し、認証値と比較することが有効です。このため日本分析化学会では、2011年度からの標準物質委員会での議論や震災対応ワーキンググループの方針等を踏まえ、原発事故対応支援を考慮した放射能分析用土壌認証標準物質の供給を2012年6月1日に開始しました。さらに被災地や行政などの社会ニーズに応えた放射能標準物質を開発するため、JST 先端計測分析技術・機器開発プログラム「放射線計測領域」の採択課題で食品関連の標準物質開発を継続・促進しています。その一環として開発した玄米認証標準物質(粒状)は2012年8月27日から頒布を行っており、農協などで広く活用されています。

今回、同プログラムの一環として、放射能分析用牛肉認証標準物質を開発しました。放射性物質で汚染した牛肉を、ミートチョッパーを用いてミンチ状にした後、凍結乾燥、粉砕、篩分けしました。それらの牛肉を合わせて縦型ミキサーで140rpm、1時間の条件で混合して32kgのフレーク状試料を作製しました。この候補標準物質を約50g入り;320袋及び約500g入り;29袋のポリエチレン袋にそれぞれ入れた後シールし、電子線による滅菌を行っています。

この中からランダムに選んだ12試料の134Cs、137Cs及び40Kを放射能測定して均質性試験を行いました。その結果、作製した候補標準物質は十分均質であることが示され、評価された均質性の値は合成標準不確かさに含んでいます。

革新技術タイプ(要素技術型)平成24年度採択課題「放射能環境標準物質の開発」(チームリーダー:武蔵大学 教授 薬袋 佳孝)

放射能濃度の認証値は、国内の信頼ある12機関の共同分析により決定しました。12機関は、東京都市大学 原子力研究所、明治大学 理工学部、東京大学 アイソトープ総合センター、(財)日本食品分析センター、(財)日本分析センター、(公社)日本アイソトープ協会、(独)放射線医学総合研究所、(独)日本原子力研究開発機構、(独)農業環境技術研究所、エヌエス環境株式会社、株式会社環境総合テクノス、日本ハム株式会社 中央研究所です。

全ての機関からの報告値を統計処理し、認証値と拡張不確かさ(包含係数k=2)を以下のように決定しました。

134Cs放射能濃度:  (174±12)Bq/kg
137Cs放射能濃度:  (297±20)Bq/kg
40K放射能濃度:    (276±46)Bq/kg

以上の知見を基に、2種類の牛肉放射能標準物質(放射能分析用牛肉認証標準物質JSAC 0751(100mL容器用、約50g)及びJSAC 0752(1L容器用、約500g))を作製し、2013年3月29日からJSAC 0751:21,000円及びJSAC 0752:105,000円(消費税を含む)で頒布を開始します。

さらに2013年度は、大豆、しいたけの放射能分析用認証標準物質の開発・頒布を予定しています。

写真

写真 開発した2種類の放射能分析用牛肉認証標準物質(フレーク状)

(左;JSAC 0751、右;JSAC 0752、ポリエチレン袋にパックされ滅菌されている。) 

<お問い合わせ先>

<標準物質に関する問い合わせ先>

公益社団法人 日本分析化学会
担当 阿部 健一
〒141-0031 東京都品川区西五反田1−26−2 五反田サンハイツ304
Tel:03-3490-3351 Fax:03-3490-3572

<先端計測分析技術・機器開発プログラムに関する問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構 産学基礎基盤推進部 先端計測室
〒102-0076 東京都千代田区五番町7番地 K’s五番町
Tel:03-3512-3529