JST(理事長 中村 道治) 低炭素社会戦略センター注1)(以下、「LCS」という。センター長 小宮山 宏)およびプラチナ構想ネットワーク注2)(会長 小宮山 宏)は、今夏より停電予防連絡ネットワーク(以下、「本ネットワーク」という)をこれまでの東京電力管内に加え関西電力管内へ展開して運用を開始します。
2011年、LCSとプラチナ構想ネットワークは、夏場および冬場の電力需給が厳しくなるなかで、経済活動を停滞させずに大規模停電を回避するには家庭での節電が極めて重要と考え、東京電力管内における自治体と協力して、家庭における節電を呼びかけてきました。LCSが一部の自治体の協力を得て実施した実証試験の結果では、電力需要ピーク時間における参加家庭全体の電力消費量の約1割が削減されたことが確認されました。
今夏は、関西電力管内におけるピークカット・停電回避も目的として、東京電力管内に加えて関西電力管内でも本ネットワークの運用を開始します。関西電力管内への展開にあたっては、すでにプラチナ構想ネットワーク会員自治体である京都市、堺市、神戸市、生駒市に加え、大阪大学 下田吉之研究室の協力により吹田市での運用が予定されています。今後も参加自治体を募ります。
本ネットワークは、LCSが開発した電力需給予測モデルを用いて注3)、電力供給・使用データ、気象予報データ、国と協力して得られる電力需給に関する情報などから翌日の電力需給を予測し、電力需給がひっ迫に近づくと判断された場合に「節電予報注4)」を自治体の保有する緊急連絡網(メール配信システムやSNSなど)を通じて住民に配信し、家庭での省エネ・節電行動を促すものです。このシステムでは、電力ひっ迫度に応じて3つの節電レベル注5)を設定し、各レベルに応じて家庭でできる具体的な節電方法を提示します。「節電予報」では電力ひっ迫度に応じて節電レベルと、過度な我慢を伴う節電を強いることなく電力需要のピーク値を低く抑えることを目指します。また、数時間後に電力需給が著しくひっ迫してくると予測した場合(節電レベル3)は当日に「緊急節電警報注6)」を発します。日常的に心がける節電行動については、LCSやプラチナ構想ネットワーク、自治体などのWebサイトやSNSなどにより普及啓発を図ります。
昨年は、プラチナ構想ネットワーク会員自治体をはじめ多くの周辺自治体に参加を呼びかけた結果、東京電力管内の約50の自治体注7)が参加しました。今夏は、さらに参加自治体を増やすことにより、確実なピークカット・停電回避につながることが期待できます。
今夏の本ネットワークの運用期間は、東京電力管内および関西電力管内いずれも7月2日(月)から9月28日(金)までの予定です。