東北大学災害科学国際研究所による東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝(しんろくでん)」注1)では、東日本大震災の被災地において、震災や被災地の生活の記録をはじめ、住民の方々の現在の暮らしや日頃の考え、未来への想いなど、地域の様々な「残したい、伝えたい」情報を収集する活動を2012年2月から実施しています。
本プロジェクトの賛同・協力機関である独立行政法人 科学技術振興機構(JST)および株式会社サーベイリサーチセンターは、宮城県内の沿岸被災15市町において現地調査員によるフィールドワークに協力しました。現地被災者の一般公募および、仙台市消防局を紹介の窓口とした宮城県内の消防ネットワークの連携のもと、消防OBの参画による15名以上の「情報収集活動員(みちのく・いまをつたえ隊)」を組織し、2~3月下旬までの約2ヵ月にわたり、現地でのヒアリング活動や写真撮影等を通じて様々な現地情報を収集しました。
約2ヶ月間の収集活動では、813人の被災された方に体験や教訓をうかがい、約2万枚もの被災地の風景をデジタル写真におさめ、被災地にあるチラシや掲示物などの震災記録を1,000枚収集しました。被災者の方からの話(ヒアリング結果)と被災地の写真は、現在、一次的な整理作業を行なっており、被災地の様子をおさめた写真はウェブ上で7月上旬に公開する予定です。また、震災記録は東北大学附属図書館を中心とする「図書館共同キャンペーン:震災記録を図書館に」注2)へ移管しました。
なお、今後は沿岸部のみならず内陸部へ活動範囲を拡大するとともに、これまで集めた情報の整理を踏まえ、収集の対象や内容を補完し、収集情報の重層化を図ります。