JSTは、日本の大学や公的研究機関などとの広範なネットワークを有し、課題解決型の基礎研究から、実用化を見据えた本格的な研究開発までを支援し、その動向に通じています。また、その特許情報などの技術シーズについても膨大なデータベースを構築し、広く提供しています。一方INCJは、オープンイノベーションの推進を通じて次世代の国富を担う産業を創出すべく、投資活動などにより、国際的な市場動向などを見据えた技術の事業化などを支援しています。
イノベーションの実現には、技術のみならず、経営や市場という視点を踏まえた取り組みが必要です。JSTとINCJは、両者の強みを最大限に生かし、相互に連携・協力することで、日本の大学や公的研究機関などが推進する科学技術を、イノベーション創出につなげていきます。
JSTの大学、公的研究機関などとの広範なネットワークや知的財産と、INCJが投資または運営する「知財ファンド」を連携させます。具体的には、JSTは、その保有する知的財産を、INCJの知財ファンドに提供することなどを検討します。これにより、大学、公的研究機関などの知的財産ポートフォリオを形成して、知的財産の活用を図る新たな「知の活用の仕組み」を構築します。
JSTとINCJは、JSTが事業化を前提として支援している研究課題について、INCJのファイナンス機能・事業化機能とのマッチングを行います。またINCJはJSTに対して、JSTが支援を行う研究開発が、より事業化を見据えたものとなるよう、国際的な市場動向などを踏まえた技術ニーズや技術を事業化するにあたって想定される課題について、情報提供や助言を行います。こうした取り組みにより、JSTの支援措置とINCJの投資機能の双方を活用した具体的な事業化プロジェクトの実現を目指すことで、大学などの優れた研究成果を迅速に社会還元する「事業化促進の仕組み」を構築します。
JSTとINCJは、両者の知見やノウハウを結集し、科学技術の振興およびオープンイノベーションの推進に向け、その他産学連携および事業育成などで相互に連携協力を行います。
協定締結日: | 平成22年8月31日(火) |
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協定の内容: | 知的財産などの活用に関する事項 研究成果の事業化促進などに関する事項 その他産学連携を通じた事業育成などに関する事項 |
JSTの知的財産戦略委員会において、産業界、大学、特許庁などの有識者に議論していただき、JSTおよび大学などの未利用特許の活用促進を含めた各種の方策について、提言としてまとめています。今回のJSTとINCJとの連携に向けた協定締結も、その提言の方向性に沿ったものです。
詳細資料 JSTトピックス
「知的財産戦略委員会提言 ~特許の効率的管理と特許群による活用に向けて~」:
https://www.jst.go.jp/report/2010/100706_1.html
INCJの「知財ファンド」は、大学・研究機関などの垣根を超えて知的財産を集約し、価値を高めたうえでライセンスし、革新的な技術の実用化などにつなげるものです。
平成22年8月6日(金)には、ライフサイエンス分野を投資対象とする「LSIP(エルシップ)」*)の設立と、JSTがLSIPに協力する旨が発表されています。当該協力は、今回のJSTとINCJとの協定に基づき行われるものです。