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平成20年11月20日

科学技術振興機構(JST)
Tel:03-5214-8404(広報課)

国立教育政策研究所
Tel:03-6733-6833

「平成20年度小学校理科教育実態調査」
集計結果(速報)について

 JST(理事長 北澤 宏一)と国立教育政策研究所(所長 近藤 信司)は、本年8月に、公立小学校の理科を教える教員を対象とした理科の教育環境や研修の状況などに関する全国的なアンケート調査を共同で実施しました。
 その結果、学級担任として理科を教える教員の約9割が理科全般の内容が「好き」と感じており、6割以上は児童による観察や実験を週に1回以上実施している一方で、約7割は「準備や片づけの時間の不足」が、約4〜5割は「設備備品」や「消耗品」の不足が観察や実験を行う上での障害となっていると回答しています。さらに、学級担任として理科を教える教員の約半数は理科の内容の指導に苦手意識を感じているにもかかわらず、約3分の2の学校では、校内での理科の研修会が年間一度も開かれないなど、時間不足や、研修機会の不足によって、苦手意識の克服が難しい状況にあることがわかりました。今後の支援策として、「身近に理科教育をサポートしてくれる場の設置や充実」や「優れた教材情報」、「優れた指導法に関する情報」の提供などへの期待が特に高いことも分かりました。
 以下にアンケートの目的と集計概要を記します。また、集計結果(抜粋)は、別紙をご覧ください。集計結果(速報)は、下記のアドレスからダウンロードできます。
ホームページURL:http://www.jst.go.jp/cpse/risushien/elementary/cpse_report_004.pdf

【調査の背景・目的など】

○子どもたちに良質の科学的リテラシーを育むとともに、未来の優れた科学者技術者を育てることは国の重要課題であり、学校において理科を教える教員を含めた教育環境の充実に努める必要がある。

○理科については、来年度から新学習指導要領に段階的に移行し、小学校では平成23年度、中学校では平成24年度の完全実施までに、時間数と内容増に対応した教育環境の整備と教員の研修などの条件整備を行う必要がある。

○政府の科学技術基本計画実施の基礎資料として、初等中等教育段階での理科教育の現状と課題の把握、とりわけ理科教員に関する実態把握が必要とされている。

○JSTでは、これまで小学校への「理科支援員」の派遣など、さまざまな支援策を実施してきたが、上の状況を踏まえ新たな支援策の検討のため、小・中学校における理科の教育環境と理科を教える教員の意識と研修の実態および課題の把握のため、国立教育政策研究所と協力して理科を教える教員を対象とした全国調査を実施することとした。

○公立中学校の理科教員を対象とした調査を本年6〜7月に、公立小学校で理科を教える教員を対象とした調査を本年8〜9月にそれぞれ実施。

○今回は、小学校で理科を教える教員を対象とした調査結果の速報。PDFにてホームページ(URLは末尾に記載)で公開。中学校の理科教員を対象とした調査結果の速報についてはすでに9月に公開。調査結果のより詳細な分析結果については、今後作成する調査報告書に掲載(平成21年1月を予定)。なお、本調査は今回が初めてであり、将来の再調査によって経年変化を把握する予定。

【実施方法など】

・実施主体:JST 理科教育支援センター、国立教育政策研究所 教育課程研究センター

・調査対象:全国の公立小学校のうち無作為に選んだ500校から380校の協力を得て、協力校で理科を教える以下の14 の教員計935人から得られた回答を集計した。「学級担任として理科を教える教員」という表現は、このうち2 を示す。また、2 は小学校で理科を教えている教員の大多数を代表する集団である。

1 学級担任として理科を教え理科主任を務める教員・・・・・・・・・276人
集計結果表中の略称:「学級担・主任」
2 学級担任として理科を教える教員(理科主任(1)を除く)
(各校2名を無作為抽出)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・545人
集計結果表中の略称:「学級担・一般」
3 理科専科として理科を教え理科主任を務める教員・・・・・・・・・・60人
集計結果表中の略称:「理科専・主任」
4 理科専科として理科を教える教員(理科主任(3)を除く) ・・・・・・54人
集計結果表中の略称:「理科専・一般」

・調査方法:所管教育委員会に協力依頼のうえ、調査対象校に調査票を送付。無記名式で、調査校から直接郵送により回収。

【主な調査結果の概要】

 小学校で学級担任として理科を教える教員の約9割が理科全般の内容について「好き」と感じている。また、6割以上が児童による観察や実験を週に1回以上行っている。そして、理科の授業において、6割以上は科学が日常生活に密接に関わっていることをよく解説していると感じており、8割以上は児童に自分の考えを発表する機会をよく与えていると感じている。
 しかし、学級担任として理科を教える教員の約5割は、理科の指導を「苦手」または「やや苦手」と感じている。教職経験年数が10年未満の若手教員ではその割合が6割を超えている。また、約7割は理科の指導法についての知識・技能が「低い」または「やや低い」と感じている。この割合も、教職経験10年未満の教員で特に高くなっている。さらに、4割以上が理科の指導法についての知識・技能を大学時代にもっと学んでおいた方がよかったかに対して「そう思う」と答えており、やはり教職経験10年未満の教員で特にその割合が高い。
 苦手意識を克服する方策の1つとして理科の校内研修・研究会、他教員の理科授業の参観などが考えられるが、約3分の2の学校では理科の校内研修・研究会が年間一度も行われていない。また、学級担任として理科を教える教員の約7割は、年間一度も他教員の理科の授業を参観する機会がない。学級担任として理科を教える教員の過半数が、身近に理科教育をサポートしてくれる「場」の設置や充実を「大変期待する」としているが、サポートしてくれる場が身近にない学校が約半数ある。今後の支援の内容について、学級担任として理科を教えている教員の約3人に2人が、すぐに使える優れた教材情報や優れた指導法に関する情報の入手機会の拡大を「大変期待する」と答えている。
 理科の観察や実験を行うにあたって障害となっていることとして、学級担任として理科を教える教員の約7割が「準備や片付けの時間不足」、約5割が「設備備品の不足」、約4割が「消耗品の不足」を挙げている。また、理科の設備備品費は児童一人あたりの全国平均で年間約391円、消耗品費は年間約316円であり、設備備品費が0円の学校も約3割あるなど、厳しい予算状況が窺われる。
 人的配置に関わる環境としては、理科専科教員(約27%の学校に配置)は児童による観察や実験を行う頻度が学級担任として理科を教える教員よりも高い傾向が見られる。また、理科支援員(約15%の学校に配置)がいる学校では、学級担任として理科を教える教員が児童による観察や実験を行う頻度がより高い傾向が見られる。さらに、理科専科教員や理科支援員を配置している学校では、児童が行った理科の自由研究作品の発表会や掲示を行う学校が多い傾向が見られる。
 (詳細は別紙「平成20年度小学校理科教育実態調査」【集計結果(抜粋)】を参照。)

<添付資料>

別紙:「平成20年度小学校理科教育実態調査」【集計結果(抜粋)】

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 理科教育支援センター
〒102-8666 東京都千代田区四番町5番地3
担当:長谷川 奈治(ハセガワ タイジ)、下条 徹(シモジョウ トオル)
Tel:03-5214-8425 Fax:03-5214-8497 E-mail:

国立教育政策研究所 教育課程研究センター 基礎研究部
〒100-8951 東京都千代田区霞が関3−2−2
担当:小倉 康(オグラ ヤスシ)
Tel:03-6733-6862 Fax:03-6733-6975 E-mail: