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平成20年2月15日

京都大学
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成体マウスの肝および胃細胞からの多能性幹細胞樹立

 山中伸弥 教授(京都大学物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)らは、成体マウスの肝および胃細胞からの多能性幹細胞樹立に成功しました。

 この研究成果は、2008年2月14日(米国東部時間)に米国科学雑誌「Science」のオンライン速報版「Science Express」で発表されます。

※本研究は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の「免疫難病・感染症等の先進医療技術」研究領域(研究総括:岸本忠三大阪大学大学院生命機能研究科 教授)における研究課題「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」(研究代表者:山中伸弥 京都大学物質−細胞統合システム拠点/再生医科学研究所 教授)、およびNIBIOの「保健医療分野における基礎研究推進事業」における研究課題「人工万能幹細胞の創薬および再生医療への応用」(総括研究代表者 山中伸弥 同上)の一環として得られました。


お問い合わせ先
京都大学物質−細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長/
再生医科学研究所 教授
 山中 伸弥(やまなか しんや)
 電話:075-751-3839 FAX:075-751-4632
 E-mail:

研究成果の概要

成体マウスの肝および胃細胞からの多能性幹細胞樹立

 iPS細胞はマウスやヒトの皮膚細胞に4つあるいは3つの転写因子をレトロウイルスにより導入して樹立される多能性幹細胞であり、胚性幹(ES)細胞と同様に、ほぼ無限に増殖すると共に、神経や心筋などの様々な細胞に分化できる。iPS細胞は患者自身の体細胞から樹立することができるため、倫理的問題や移植後の拒絶反応を回避でき、再生医療への応用が期待される。さらにiPS細胞は、病態解明や、有効で安全な薬物の探索などにも利用できると期待されている。
 しかし、iPS細胞の由来や成立の機序は不明である。因子を導入した細胞の中でiPS細胞となるのは0.1%以下であることから、皮膚細胞にわずかに混在する未分化細胞が由来である可能性がある。また因子の導入に用いるレトロウイルスが、染色体上の特定の場所に挿入され、原ガン遺伝子などを活性化することがiPS細胞樹立に必要である可能性もある。
 今回我々は、成体マウスの肝および胃の細胞に、皮膚細胞と同じ転写因子を導入することにより、iPS細胞を樹立することに成功した。遺伝学的な解析により、肝細胞または肝前駆細胞がiPS細胞に変化したことを確認した。また肝や胃由来iPS細胞においては、レトロウイルスの染色体への挿入数が皮膚由来iPS細胞に比べて少なく、染色体特定部位への挿入は認められなかった。
 本研究により、iPS細胞は分化細胞の時計を巻き戻すことによりできることが証明された。また、レトロウイルスの染色体特定部位への挿入が認められなかったことから、今後、染色体への組み込みを伴わない、より安全なiPS細胞樹立が可能であることが示唆された。

iPS-Hep103C-1(P16)
肝臓由来iPS細胞

iPS-Hep103C-1(P16) 肝臓由来iPS細胞
 
iPS-Stm99-2(P16)
胃由来iPS細胞

iPS-Stm99-2(P16) 胃由来iPS細胞

解禁日
2:00 PM, U.S. Eastern Time, Thursday 14 February 2008

日本語タイトル
成体マウスの肝および胃細胞からの多能性幹細胞樹立