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【用語解説】

注1)キラーT細胞:
 T細胞はその機能によって、ウイルス感染細胞などを直接認識してこれを破壊する細胞傷害性T細胞(通称キラーT細胞、CD8+ T細胞)と、認識した細胞を活性化するT細胞(通称ヘルパーT細胞、CD4+ T細胞)とに大別される。キラーT細胞はMHCクラスI上に提示されたペプチド断片を認識することにより自己と非自己とを判別する。

注2)自己免疫疾患:
 自分の身体の成分を異物として認識してしまい、自己に反応するリンパ球や抗体をつくり、自分の身体を攻撃する病気。慢性関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病が代表例。

注3)MHC:
 主要組織適合性遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex)。もともと臓器移植の際に拒絶される主要な分子であることから名付けられた。MHCはクラスIとクラスIIに大別でき、クラスIはすべての細胞表面に発現し、プロテアソームによる分解産物を提示し、CD8+ T細胞により認識される。クラスIIは限られた細胞集団に発現し、ライソソーム酵素による分解物を提示し、CD4+ T細胞により認識される。

注4)プロテアソーム:
 酵母からヒトに至るすべての真核細胞に普遍的に存在する総サブユニット数約80からなる巨大な複合体型たんぱく質分解酵素。本来は分解の目印であるポリユビキチン鎖を付加されたたんぱく質を分解することにより、細胞周期や転写をはじめとした細胞の必須機能に働いている酵素であるが、脊椎動物に進化した際にその分解副産物がMHCクラスI(注3参照)に結合するペプチド断片として利用されるようになり、自己と非自己の識別に必須の役割を果たすようになった。