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<補足説明>

※1 低スピン状態・高スピン状態
プラス2価の鉄イオンの場合では、6個のd 電子(物性を担う最外殻電子)とエネルギーの異なる5種類のd 軌道(d 電子が占有する軌道)を持っている。その6個の電子が、エネルギーの低い軌道から順に2個ずつ、スピンが互いに反対向きになるような電子配置を低スピン状態という。一方、高スピン状態は、5個の電子が同じスピンの向きで5種類の軌道に1個ずつ入り、残り1個の電子が一番エネルギーの低い軌道に反対向きに配置された状態のことをいう。

※2 マキシマムエントロピー法(MEM)
MEMは、いわば、X線回折データに対する仮想的な結像レンズの役割をコンピューター解析で果たすものである。従来の方法(フーリエ変換による解析法)とは異なり、実験で得られた回折強度とその誤差をもとに未測定の回折強度についても推定する。打ち切り効果が無いため、結合電子の分布などの情報を含む精密な電子密度分布を得ることができる。

※3 eÅ-3
一辺の長さが1.0Åの立方体の中に存在する電子の数、つまり、電子密度の高さを表す単位。(eはエレクトロン、Åはオングストロームと呼ぶ。)