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図1 「臨界期」における視覚野の神経回路網再構築

図1 「臨界期」における視覚野の神経回路網再構築
脳の右半球の第一次視覚野両眼性領域(左目、右目、両方からの視覚入力を統合する神経細胞が存在している領域)からの電気信号を記録し、左目、右目からの視覚入力に対して反応する神経細胞の割合をヒストグラムで示したもの。グループ4はどちらの目にも同じ程度に反応する細胞群を表す。1、7に近づくにつれて、それぞれ左目、右目からの視覚入力に強く反応する細胞の割合が増加し、最終的に1は左目だけに、7は右目だけに反応する細胞群を意味する。

左図:無処置の場合、左側のヒストグラムに見られるように、左目からの視覚入力に多くの細胞が反応する。

右図:次に、「臨界期」中で、左目のまぶたを縫い4日間視覚入力を遮ってやり、記録する寸前に閉じていたまぶたを再び開けて記録をとる。すると、右目からの視覚入力に反応する細胞の数が多くなることがヒストグラムからわかる。

マウスの場合、この現象は生まれてから約1ヶ月の頃がピークで、生涯において一度しか起こらない。なおこれまでの研究では、生後1ヶ月の頃に見られるはずの臨界期が、生まれてからずっと暗闇の中で飼育したマウス、そして、GAD65欠損変異型マウス(研究チームの以前の成果(Hensch, T.K. et al. Science 282 vol.1504 (1998))では、起こらないとされていた。