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<用語解説>

(注1)神経突起:
脳の構成単位である神経細胞は、神経回路を形成するために多数の神経突起とよばれる突起を出しています。神経突起には樹状突起と軸索とがあり、それぞれ情報の入力側、出力側として働いています。

(注2)遺伝性痙性対麻痺:
Autosomal Dominant form of Hereditary Spastic Paraplegia (AD-HSP)。皮質脊髄路(注3参照)の神経変性による進行性の下肢部の麻痺を特徴的な病状とします。反射が過大になり、脚の痙攣、ひきつけがおこり、徐々に歩行困難になります。1~3万人に1人の割合で発症しています。

(注3)皮質脊髄路:
体を動かすための刺激は、脳から脊髄を通って筋肉へ伝えられ、神経突起の束である神経線維群がその伝導路となっています。皮質脊髄路は、大脳の皮質と呼ばれる部位から脊髄に連絡する伝導路で、手・足などの運動をコントロールしています。

(注4)細胞骨格:
細胞の形態維持や運動などに必要な物理的力を発生させる細胞内の繊維状構造です。細胞内での各種膜系の変形や移動、細胞内小器官の配置、細胞自身の変形を行います。細胞骨格にはアクチンフィラメント、中間径フィラメント、微小管があります。

(注5)細胞膜成分の輸送システム:
ここでいう細胞膜成分の輸送システムは、メンブレン・トラフィックと呼ばれるものを指します。細胞内のいろいろな膜成分を小胞に乗せて選択的に輸送するシステムです。

(注6)神経成長因子:
Nerve growth factor(NGF)。神経細胞の生存維持や分化に重要なタンパク質です。NGFによって神経細胞内のリン酸化酵素が活性化し、神経突起の伸長が促進されることが知られています。

(注7)Rab11:
細胞内にはさまざまな小胞輸送があり各種膜系の変形や移動などを行っていますが、それらはRabというGTPaseタンパク質ファミリーによって厳密に制御されています。哺乳類では60種以上のRabが存在しますが、そのうちのRab11は膜のリサイクル輸送を制御している分子です。