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<用語解説>

注1)古細菌:
 リボソームの小サブユニットRNAの相同性により、真核生物とも真正細菌とも根本的に区別される。古細菌は系統的には真正細菌よりも真核生物に近い。生育環境の異常性、生化学的独自性、系統樹上の位置などから、生命誕生直後の起源の古い生物であると考えられている。

注2)転移RNA(tRNA):
 特定のアミノ酸を結合・運搬するRNA。20種類のアミノ酸にそれぞれ相応するtRNAが存在する。

注3)アミノアシルtRNA合成酵素:
 アミノ酸とtRNAを正しい組み合わせで結合させる酵素で、アミノ酸の数だけ20種類存在する。たとえばグルタミン酸(Glu)に特異的なグルタミルtRNA合成酵素(GluRS)は、グルタミン酸をグルタミン酸tRNA(tRNAGlu)に結合させ、グルタミルtRNAGlu(Glu-tRNAGlu)を合成する。一方、グルタミン(Gln)に特異的なグルタミニルtRNA合成酵素(GlnRS)は、グルタミンをグルタミンtRNA(tRNAGln)に結合させ、グルタミニルtRNAGln(Gln-tRNAGln)を合成する。(しかし、このGlnRSの遺伝子が、古細菌や多くの真性細菌、ミトコンドリア、葉緑体には存在しない、というのが本研究のきっかけとなっている。)

注4)リボソーム:
 mRNAから遺伝情報を読み取ってタンパク質を合成する細胞内小器官で「タンパク質合成装置」。数種類のリボソームRNA(rRNA)と多数のリボソーム蛋白質からできている。タンパク質の設計図はDNAにあるが、直接DNAからタンパク質を合成することはできない。DNA上の情報は、いったんメッセンジャーRNA(mRNA)に転写され、翻訳という過程を経てアミノ酸がたくさん連なったタンパク質を合成する。この翻訳で重要な働きをするのがリボソームとトランスファーRNA(tRNA)である。リボソームはmRNAをくわえ込み、tRNA(運び屋)によって運ばれたアミノ酸がリボソームの酵素作用によって次々と結合し、最終的にタンパク質となる。

注5)グルタミン(Gln)とグルタミン酸(Glu):
 20種類のアミノ酸のうちの2種類である。グルタミン(Gln)は側鎖にアミドを有し、酸加水分解によりグルタミン酸(Gln)となる。グルタミン酸(Glu)は、化学調味料として用いられことでも有名で、小麦グルテンの加水分解物から初めて発見され、この名がついた。

注6)GatCAB:
 真性細菌やミトコンドリア、葉緑体では、GatDEでなくGatCABという3量体からなるtRNA依存性アミド基転移酵素が働いている。