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【用語説明】

注1.pH
溶液の酸性度を示す一般的な尺度です。動脈血液のpHの標準値は7.4であり正常域は7.36から7.44の範囲になります。7が中性で、それより小さいと酸性、大きいとアルカリ性になります。

注2.イノシトール三リン酸レセプター(IP3R)
細胞内のカルシウム貯蔵庫の一つである小胞体膜上に存在するカルシウム放出チャネル(カルシウムの流れを調節するコック(栓))です。IP3(イノシトール三リン酸)と結合することでチャネルが開き、小胞体内のカルシウムを細胞質に放出します。IP3Rのカルシウム放出活性は低濃度のカルシウムで活性化され、高濃度で抑制されます。

注3.IRBIT
マウス小脳において、IP3Rの結合分子としてIP3が結合する時に放出される新規なタンパク質に対し、本研究グループが命名(IP3 Receptor Binding Protein released with Inositol 1,4,5-Trisphosphate)しました。530残基のアミノ酸からなる新規の可溶化タンパク質です。リン酸化された状態でIP3Rと結合しており、セカンドメッセンジャーのIP3がくると置き換わって遊離されます。

注4.重炭酸ナトリウム共輸送体(NBC)
細胞膜に存在するイオン輸送タンパク質。腎臓では1:3、膵臓では1:2の割合でナトリウムイオンと重炭酸イオン(炭酸水素イオン)を同方向に輸送します。人においては重炭酸イオンの輸送により尿のアルカリ化や全身の制酸を行っています。同遺伝子からスプライシングにより数種類のタンパク質がつくられます。

注5.サイクリックAMP
ATP(アデノシン三リン酸)から合成される細胞内の情報伝達物質です。その濃度は、細胞の増殖、分化、栄養、適応状態に左右され敏感に変動します。また、各種のホルモンやプロスタグランジンなどの生理活性物質により濃度が増加することも分かっています。生体情報はサイクリックAMPを介したアデニル酸シクラーゼとプロテインキナーゼの2段階のカスケード反応により増幅され伝達されます。

注6.アシドーシス
酸性血症とも言います。通常、人の血液の酸塩基バランスには常に一定のpH7.4になるように保たれています。しかし、動脈血のpHが7以下になると、シナプス伝達が抑えられ中枢神経の活動が抑制され、錯乱から昏睡状態になり死に至ります。その症状のことを指します。

注7.ホメオスタシス
外界の環境の変化に対して、生体を安定した恒常的状態に保とうとする仕組みのことです。生物が生物である必要条件の一つであり、健康を定義する重要な要素となっています。この作用を主に自律神経系や内分泌系、それに免疫系が行っています。