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【用語解説】

注1:従来の理論
「光と音」を一定の時間差で繰り返し提示すると、だんだん光と音が同時と感じられるようになることが知られています(Fujisakiら, 2004)。この現象は「ラグアダプテーション」と呼ばれています。この「ラグアダプテーション」は光と音のように、距離に応じて時間差が変わるような組み合わせの刺激ではたいへん有利な機能です。しかし、時間差が変化しない右手と左手の刺激については不利になります。実際、本研究によって右手の左手の刺激については「ラグアダプテーション」の予測と正反対の結果が得られることがわかったのです。

注2:ベイズ推定
18世紀にイギリスのトーマス・ベイズが提案した確率論の定理「ベイズの定理」に基づく推定方法です。手持ちの情報で現在の状況の推定を行うときに、今までの物事の発生確率(事前確率=経験)を最大限に活かす推定方法です。医療の分野では、検査データから病気であるかどうかを判断するときに用いられています。通信、機械学習など情報工学のフィルタリングにも幅広く用いられています。
脳科学の分野では、空間的な情報の推定(テニスボールがコートのどこに落ちるか)に使われていることが2004年に示されて(Koerding & Wolpert, 2004)注目を集めました。本研究は「いつ落ちるか」についても脳がベイズ推定を使っていることを示しています。