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[用語解説]

(注1)酸化ストレス
酸素や電子を好む性質のある物質(親電子性物質)は、DNA、タンパク質、脂質などの生体物質を酸化させて傷害を与える有害性を持ち、その機能異常が最終的にはがん・動脈硬化・糖尿病などの発症要因となると考えられています。これら物質による有害性を総称して、酸化ストレスと呼びます。
(注2)Keap1
酸化ストレスを感知するセンサーであり、また、転写因子Nrf2の安定性を制御する因子としても機能します。Keap1はNrf2のユビキチン化を促すことで、最終的にプロテアソームによる蛋白質分解に至らしめます。一方、細胞が酸化ストレスに暴露されると、Keap1がそのシグナルを感知してNrf2分解が抑制され、結果的に安定化して自由になったNrf2が核へ移行し、酸化ストレス防御酵素群の遺伝子発現をオンにして、酸化ストレスに対する生体防御応答が活性化します。ヒトでは特にKEAP1と表記さます。
(注3)Nrf2
酸化ストレス応答系酵素群の遺伝子発現を活性化する転写因子。Nrf2はその標的遺伝子が持っている特定のDNA配列(MARE配列)に結合する際に、パートナー因子(小Maf群因子)との2量体を形成します。
(注4)DGRドメイン
Keap1のNrf2結合部位として機能します。名前の由来は、その部位(ドメイン)が2回繰り返されたグリシン残基を6個保持することによります。Kelch(ケルチ)ドメインとも呼ばれます。
(注5)Neh2ドメイン
タンパク質における機能的に重要なアミノ酸配列(ドメイン)は、異なる動物種間でも保存されると考えられています。マウスとニワトリのNrf2間で保存されたドメインを、Neh(Nrf2-ECH-homology, ECH: ニワトリNrf2の別名)と名付けており、Neh1からNeh6まで存在します。Neh2ドメインは、Nrf2のアミノ末端に位置し、Keap1と直接結合します.また本研究におけるNrf2部分アミノ酸との複合体解析では、このドメインの一部を用いています。