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用語解説

*1 走査トンネル顕微鏡
先端の鋭い針(探針)を試料表面に近づけ、探針試料間に流れるトンネル電流が一定になるように探針の高さを調整しつつ表面をなぞることにより、表面の凹凸像・原子像を得る顕微鏡。英語でscanning tunneling microscope、STMと略記される。

*2 走査トンネル分光
STMにおいて、探針試料間に印加する電圧を変化させた際のトンネル電流の変化を測定することにより、試料表面の電子状態のエネルギー準位を測定する手法。英語でscanning tunneling spectroscopy、STSと略記される。

*3 金属的な表面層を持つシリコン基板
本研究では、表面に銀(Ag)を1原子層の厚さに蒸着したシリコン(Si)基板を用いた。この表面は、三角形状に並んだAg原子のクラスターが基板のSiの原子配列周期の√3倍の周期で規則正しく配列された構造(Si(111)-√3x√3Ag表面)を持つ。この表面層は金属的な電子状態を示すことから、半導体基板上に原子1層分の金属層が実現されている系として広く研究がなされている。

*4 フェルミ波長
金属中の電子は、密度が増えるに伴い、波長の長くエネルギーの低い状態から徐々に波長の短い高いエネルギーの状態を持つようになる。フェルミ波長とは、電子の持つ状態のうち、最もエネルギーの高い状態での波長をいう。