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●用語説明

*1.出芽酵母:出芽により増殖する酵母のこと。遺伝学の研究に主として使われている酵母には、出芽により増殖する出芽酵母と、分裂により増殖する分裂酵母の2種類があります。私たちが、パン、ビール、酒などの醗酵に用いているのは、出芽酵母です。

*2.遺伝子破壊株:ある遺伝子の機能が破壊された変異体。出芽酵母は生物の設計図である遺伝子をコードする全DNA配列の解析結果から、約6,000個の遺伝子からなっていることが10年ほど前からわかっており、6,000個の遺伝子をそれぞれ一つ一つ破壊した変異体コレクションが構築されています。このコレクションを使って興味のある事柄(私たちの場合は「かたち」)について全ての変異体について情報を集め、解析することができます。

*3.細胞壁:酵母細胞の外側にみられる堅牢な構造。多糖類であるグルカン、マンナン、キチンや、タンパク質などから出来ています。細胞壁によって細胞内部は温度や浸透圧、圧力などの外的環境の変動に対して守られています。

*4.アクチン:細胞内部での骨組みとして働き、酵母のかたちを作るのに重要なタンパク質。球形の単量体が数珠つなぎのようになって繊維状の構造を作り細胞骨格と呼ばれています。骨格でありながら、出芽の初期、核分裂中、細胞質分裂時など、細胞の状態に応じて細胞内での構造が大きく、しかもダイナミックに変化しています。

*5.DNA損傷:遺伝子をコードするDNAが、切断されたり変化してしまうこと。紫外線や放射線、化学物質などの外的要因の他、培養時間の経過や異常なDNA複製などの内的要因で発生することもあります。DNA損傷は遺伝情報に変化をもたらし、生物にとって有害なことが多いため、生物はその修復システムをいくつも持っています。図3で示したように、そのシステムに障害があると出芽酵母では核分裂前に芽のサイズが大きくなることが多いのですが、DNA損傷によって正常に核分裂が行われず、芽の成長だけが進むためと考えられています。