【用語の説明】

*1 ヘム、ヘム蛋白質:環状化合物のポルフィリンの中心に鉄イオンが配位した錯化合物。分子中にヘムを持つ蛋白質はヘム蛋白質と呼ぶ。ヘムや蛋白質部分の種類によって異なるが、普通着色(主に赤色)しており、代表的な色素蛋白質とされる。グロビンという蛋白質と結合すると、脊椎動物の赤血球中に含まれ酸素運搬を行うヘモグロビンになる。
*2 ユビキチン:76アミノ酸からなる分子量8,500の小さい蛋白質で真核細胞に普遍的に見出されるのでこの名が付けられた。ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、ユビキチンリガーゼ*3(E3)の3種の酵素群の働きで、他の蛋白質を修飾することにより、それら蛋白質の機能を制御することで細胞周期、DNA修復、シグナル伝達などの様々な生命活動に関わる。多くの場合は他の蛋白質を修飾したユビキチンにユビキチンが付加され、ポリユビキチン鎖が形成され、そのポリユビキチン鎖はプロテアソームの認識シグナルとして機能し、ユビキチンが付加された蛋白質が分解される。ユビキチン修飾系は非常に多くの生命現象の制御系として機能するばかりか、その阻害剤がすでにある種の癌の治療薬として米国で認可されている。大阪市立大学客員教授である、アーロン・チカノバー教授らユビキチン依存性蛋白質分解系の発見者3人に2004年のノーベル化学賞が授与された。
*3 ユビキチンリガーゼは、時空間的に選択的かつ特異的に標的蛋白質を識別して、E2からのユビキチン付加を触媒する、ユビキチン系の中核をなす分子である。ヒトゲノムには約1000種にも及ぶユビキチンリガーゼの存在が推定されている。