お知らせ

平成17年7月4日

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東北大学 教授、科学技術振興機構 研究総括
大野英男博士が欧州物理学会賞を受賞


 東北大学電気通信研究所教授、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業総括実施型研究(ERATO) 大野半導体スピントロニクスプロジェクト研究総括、文部科学省ITプログラム「高機能・超低消費電力メモリの開発」プロジェクトリーダーの大野英男博士が、2005年度の欧州物理学会のアジレント欧州物理学賞を受賞することになりました。同賞は、欧州の物理学賞(固体物理学)として最も権威のあるものです。
 2005年7月11日からスイス・ベルンで開催予定の第13回欧州物理学会総会(EPS 13)で行われる受賞式において、Tomasz Dietl(トーマス・ディートル)教授(ポーランド科学アカデミー)、David Awschalom(デービッド・オーシャロム)教授(米カリフォルニア大サンタバーバラ校)と共に受賞の予定です。なお、Dietl教授は大野半導体スピントロニクスプロジェクトに参加して大野博士と協力して研究をしています。

 本受賞は、磁気と電気の性質を合わせもつ新しい磁性半導体材料を開発し、その磁気的性質の電気的制御などを実験的、理論的に実証してきたこと、および固体中のスピンコヒーレンス制御などの研究により、スピントロニクスという新しい技術領域を開拓し、発展させてきたことが高く評価されたものです。スピントロニクス技術は将来の超大容量記憶デバイスへのブレークスルーとして、さらには量子コンピュータ実現のための礎としても期待されています。

 「アジレント欧州物理学賞」は、1975年に始まり、毎年凝縮系物理、とりわけエレクトロニクスおよびその材料技術分野で世界的に重要な成果を挙げた研究者に与えられています。これまで、走査型顕微鏡開発のG.K. Binnig、H. Rohrer両博士、カーボン60発見のH.W. Kroto、R.E. Smalley 両博士など著名な研究者が受賞しており、8人の受賞者が本賞受賞に前後してノーベル賞を受賞しています。今回の大野博士の受賞は、日本人として飯島澄男名城大教授(2001年)、中村泰信博士(NEC)(2004年)に次いで3人目の受賞になります。

スピントロニクス:
これまで、エレクトロニクスは、電子の持つ電荷とスピンという二つの性質の内、電荷の性質を用いたトランジスタなど半導体デバイス、およびスピンを利用した磁気ディスクなどの磁気デバイスが車の両輪のように発展してきました。しかし、将来さらなる発展のためには電子の電荷とスピン双方の性質を利用した新しい技術、スピントロニクス技術の進展が期待されています。スピントロニクス技術は、将来の磁気記憶デバイスの超大容量化に対応したブレークスルー技術として、量子コンピュータ実現に向けた基礎技術として期待されています。

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本件問い合わせ先

松倉 文礼(まつくら ふみひろ)
東北大学 電気通信研究所 附属ナノ・スピン実験施設
〒980-8577 宮城県仙台市青葉区片平2-1-1
TEL, FAX:022-217-5555
E-mail:

松寺 久雄(まつてら ひさお)
科学技術振興機構 大野半導体スピントロニクスプロジェクト
〒980-0023 仙台市青葉区北目町1-18ピースビル北目町5F
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Fax: 022-224-5102
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