補足説明

 神経系をつくる細胞のうちニューロンでないものの総称。脳神経系にはアストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアなどが含まれる。それぞれの細胞種に特徴的な突起を伸ばしてニューロンがつくる神経回路を取り囲み、神経組織の支柱、ニューロンへの栄養供給と環境整備、信号伝達の修飾などの機能を担う。

 外界の刺激に応じて様々な種類の細胞へ分化する多分化能を有し、また未分化な状態の幹細胞をつくる自己複製能を有する細胞のこと。神経幹細胞は、ニューロン(神経細胞)とグリア細胞へ分化する能力を有している状態の細胞のこと。外傷や疾病で損傷した組織を修復させる再生医療の材料として注目されている。

 動物界で広く発生中の様々な細胞分化を制御する細胞間シグナル。幹細胞分化の重要な制御因子である。Notch遺伝子は細胞膜を貫通する受容体型膜タンパク質をコードする。Notchタンパク質の細胞外領域領域が特定の基質タンパク質と結合すると構造変化を起こし、細胞内のタンパク質を連鎖的に活性化して、細胞分化の引き金となる転写を引き起こす。これまで同定されたNotchと結合する基質は全て膜タンパク質で、細胞の接触によりシグナルが活性化する。

 ほ乳動物の脳神経系ニューロンにおいて、信号を受信する樹状突起膜に特異的に発現する膜タンパク質をコードする遺伝子として当研究チームが2002年に発見した。DNERタンパク質の分子量は約90 kDa(キロダルトン)。Delta/Notch-like EGF-related Receptorの略称。

※5 小脳
 脊椎動物で姿勢や運動を制御する中枢。主要ニューロンのプルキンエ細胞はアストロサイトの一種であるバーグマングリアの突起に覆われ、細胞形態の分化と維持、信号伝達の修飾を受けている。