補足説明

 一つのリンパ球からは一種類の抗体分子しか生産されない事を利用し、リンパ球とリンパ球がん細胞とを融合して得られるハイブリドーマを作製して得られる単一分子種の特異抗体。特定の性質を持つ抗体を大量開発する事ができるため、診断薬や抗ガン剤などへの利用価値が高い。発明者であるKohler と Milsteinは1984年にノーベル賞を受賞。

 獲得免疫を担うY字型の糖タンパク質。可変領域は抗体ごとに異なり、抗原に特異的に結合し、他の免疫細胞の捕食を助けたり、病原体の毒素や働きを中和したり、補体系の活性化を行う。定常領域にはヒトでは5種類が存在し、その構造によってIgG、IgM、IgD、IgE、IgAの抗体クラスが決定される。

 モノクローナル抗体を利用した分子標的医薬品。最近の代表例としては、一部の乳ガン患者に対する抗ガン剤である「ハーセプチン」が知られている。

 大腸菌に感染する病原体であるファージの粒子タンパク質遺伝子に、多様性を持った抗体遺伝子ライブラリーを組み込み、目的抗原に結合するファージを回収して、擬似的なモノクローナル抗体を得る手法。実用には得られた遺伝子を改変して、完全抗体にする必要がある。

 ニワトリBリンパ球細胞由来の培養細胞株であり、無限増殖能力を有する。低頻度ながら抗体遺伝子座での組換えが観察されるほか、条件によっては抗体遺伝子座の体細胞突然変異が誘発可能である。表面レセプター型と分泌型のIgMを産生することが出来る。体細胞相同DNA組換え頻度が高いと言う特性があり、実験室レベルの遺伝子ターゲティング実験に多用される。京都大学・武田俊一教授と独GSF(Gesellschaft fur Strahlenforschung)のJean-Marie Buerstedde教授が共同研究の中で1991年に発見・報告した。

 真核生物の染色体はヒストンや非ヒストンタンパク質がDNAと結合し、階層的で高次な構造を作り上げている。このような構造をクロマチン構造と呼ぶ。クロマチン構造の変化、とりわけその基本単位であるヌクレオソームの配置は遺伝子発現に重要な役割を果たすことが知られているが、最近ではその他のDNA代謝反応の制御にも重要であることが示されつつある。

 ヒストンH3もしくはH4のN末端部分のリジン残基のアセチル化を除去する酵素(ヒストン脱アセチル化酵素)の阻害剤。結果的にヒストンのアセチル化を昂進する働きがある。理化学研究所の吉田稔主任研究員が発見者。