参考

社会技術研究システムについて

 社会技術研究は、我が国社会が抱える様々な問題を解決し、社会における新たなシステムの構築に寄与する技術(技術的根拠/知識体系)を確立することを目的とし、自然科学と人文・社会科学の複数領域の知識を統合し、個別分野を越えた幅広い視点から研究開発を行うものです。これは、文部科学省の主導のもとに独立行政法人科学技術振興機構が設置した「社会技術研究システム」によって運営されています。

■設立経緯
 平成12年4月、科学技術庁(当時)は、社会技術研究に関する構想を具体化するため、吉川弘之日本学術会議会長(当時)を座長とする「社会技術の研究開発の進め方に関する研究会」を設けて検討を行いました。そして平成12年12月に「自然科学と人文・社会科学の複数領域の知見を統合して新たな社会システムを構築していくための技術」を「社会技術」としてとらえ、その理念、推進の重要性と研究体制、研究領域等についての提言を取りまとめました。
 この構想のもと、平成13年7月に「社会技術研究システム」が設置され、日本原子力研究所と科学技術振興事業団(現(独)科学技術振興機構)の連携協力で運営されることになりました。平成15年4月からは、日本原子力研究所が推進してきたミッション・プログラム等が科学技術振興事業団に移管され、「社会技術研究フォーラム」、「ミッション・プログラム」及び「公募型プログラム」の3つのプログラムが一体的に推進されています。

■実施体制
 社会技術研究は、「システム統括」のもとに、「社会技術研究フォーラム」、「ミッション・プログラム」、「公募型プログラム」の3つのプログラムによって実施されています。

1)社会技術研究フォーラム
 社会問題の本質を認識し、その解決を図る研究のあり方を継続的に議論するとともに、社会技術の体系化及び社会技術研究のあり方に関する調査研究を行います(フォーラム統括:中島尚正 放送大学教授、システム研究センター長:小林信一)。フォーラムは、年2回定期的に開催される「フォーラム」会議と、継続的な研究を行う「フォーラム研究」からなり、社会に対し情報発信・問題提起をするとともに、社会からの評価・意見を社会技術研究に取り入れます。

2)ミッション・プログラム
 社会問題の解決を図るために重要と考えられるミッションを設定し、その目標達成のために必要な研究チームを組織して研究を実施します。現在、ミッション1「安全性に係わる社会問題解決のための知識体系の構築」(研究統括:小宮山宏 東京大学教授)、ミッション2「高度情報社会の脆弱性の解明と解決」(研究統括:土居範久 中央大学教授)、ミッション3「日本における子供の認知・行動発達に影響を与える要因の解明」(研究統括:小泉英明 (株)日立製作所フェロー)が実施されています。

3)公募型プログラム
 社会問題の解決を図るために重要と考えられる着眼点を踏まえて推進すべき研究領域を設定し、領域ごとに研究提案を公募して研究を実施します。現在、「社会システム/社会技術論」(研究総括:村上陽一郎 国際基督教大学大学院教授)、「循環型社会」(研究総括:山本良一 東京大学教授)、「脳科学と教育」(研究総括:小泉英明 (株)日立製作所フェロー)の3研究領域が実施されています。
■フォーラム会議
 社会技術研究フォーラムでは、フォーラム会議を年2回定期的に開催しています。フォーラム会議では、社会技術として解決すべき重要問題を取り上げ、各方面の識者および一般社会からの参加者よりなるフォーラムの場で幅広く議論します。ここで議論された内容は、必要に応じミッション・プログラムや公募型プログラムに反映させます。

[過去開催実績]
第1回社会技術研究フォーラム(平成13年9月20日)
    「社会技術研究への期待」
第2回社会技術研究フォーラム(平成14年3月12・13日)
    「社会技術研究の構想」
第3回社会技術研究フォーラム(平成14年10月24日)
    「21世紀社会における科学研究:フォーラム委員と考える基礎研究のこれから」
第4回社会技術研究フォーラム(平成15年3月12・13日)
    「リスク論は日本に根づくか:リスク研究の現場から」
第5回社会技術研究フォーラム(平成15年11月14日)
    「安全・安心な社会の構築と社会技術」
第6回社会技術研究フォーラム(平成16年3月13日)
    「社会技術の試行(デモンストレーション)と活用(インプリメンテーション)」
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This page updated on September 6, 2004

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