用語の説明
◆ 強相関酸化物
 通常の半導体や金属では電子はまるで真空にいるかのように「自由に」振舞う。しかし電子の密度が十分に高い場合、電子同士がお互いに反発しあい、結果として電子集団が動けないか、かろうじて動ける状態が出現する。このような電子系を強相関電子系と呼ぶ。マンガンをベースとする酸化物は典型的な強相関電子系(強相関酸化物)である。
◆ スピントンネル接合
 非常に薄い絶縁体層(トンネル障壁)を二つの金属強磁性体(電極)で挟み、二つの電極間の電子のトンネル確率が、磁化の相対角度により異なることを利用した素子。二つの電極の磁化の向きが平行なときはトンネル確率が高く、接合の抵抗が低い。反平行のときはトンネル確率が低く、接合の抵抗が高い。この現象をトンネル磁気抵抗と呼ぶ。磁気センサや大規模磁気メモリとして応用できる。
◆ スピン偏極率
 電子集団のもつスピン(電子の小さな磁石としての性質)の向きのそろい具合のこと。通常の物質は上向きのものと下向きのものが同数存在するが(スピン偏極率0%)、金属強磁性体(磁石としての性質を示す金属)では両者の数が異なる。マンガンをベースとする強相関酸化物金属強磁性体はスピン偏極率が100%であり、上向きのスピンのみをもつ。
◆ 磁化誘起第二高調波発生
 強磁性体界面に光を照射すると二倍の振動数をもつ光(第二高調波)が発生し、その偏光面が磁化により回転する(非線形磁気光学カー効果)。その回転を与える成分(磁化誘起第二高調波発生)は界面磁性の大きさに比例する。界面以外の強磁性体内部はこのような現象は全く起こさない。
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This page updated on July 30, 2004

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