補足説明

※1 遺伝的組換え
広義ではDNA間で起きるDNA切断・再結合反応。本研究では減数分裂期に活性化される2分子の配列の類似したDNA間で起きる組換え(減数分裂期相同組換え)を指す。有性生殖を行う真核生物では、配偶子形成や子孫の遺伝的多様性確保に主要な役割を果たす。
※2 クロマチン
真核生物の染色体はヒストンや非ヒストンタンパク質がDNAと結合し、階層的で高次な構造を作り上げている。このような構造をクロマチン構造と呼ぶ。クロマチン構造の変化、とりわけその基本単位であるヌクレオソームの配置は遺伝子発現に重要な役割を果たすことが知られているが、最近ではその他のDNA代謝反応の制御にも重要であることが示されつつある。
※3 シグナル伝達経路SAPK経路
紫外線照射や乾燥、高浸透圧、化学物質、活性酸素、高温などの様々な細胞ストレスが細胞に加わると、一群のタンパク質リン酸化酵素(キナーゼ)によるリン酸化反応の連鎖反応が起き、最終的にストレス耐性や細胞死(アポトーシス)に関わる遺伝子群の発現に結びつく。この際重要な役割を演じるのが、ストレス応答キナーゼシグナル伝達経路(Stress-activated protein kinase pathway)であるが、この経路においてどのような機構で特定遺伝子の発現が誘導されるかについては、依然として謎が多い。この経路およびそれを構成するキナーゼは種を越えて良く保存されており、ヒトなどの高等生物では、ストレス応答以外にも炎症発生やアポトーシスにも関わっており、創薬ターゲットとしても昨今注目を浴びている。

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