筋収縮を調節する分子メカニズムの一端を解明
4.今後の展開
(1) メカニズムの全体を知ること:
 今回のトロポニンの結晶構造の解明は大きな成果ですが、「筋収縮のカルシウム調節」のメカニズムを理解する、という大きな目標へ向かって第一歩を記したに過ぎません。今回解明した構造では、スイッチの全体はまだ見えてきていません。筋のスイッチの実体はトロポニンだけではなく、トロポニン、トロポミオシン、アクチンから構成される「細い繊維」という複合体ですので、この複合体全体の構造を知る必要があります。他方、今回解明した構造はいわば静止写真であって、スイッチの動き、すなわちタンパク質の構造変化について推測しているだけです。さまざまな測定手法を使って「細い繊維」の構造変化を知る必要があります。これらの研究は、すでに当研究チームが中心になって組織した科学技術振興調整費研究グループが世界に先んじて取組んでいます。

(2) 心疾患の原因の研究と心不全治療薬の開発研究:
 またトロポニンの結晶構造の知識は、今後病気の原因の研究と、心不全治療薬の開発研究に役立つであろうと期待されます。この点は補足説明で多少突っ込んだ説明を試みます。

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This page updated on July 3, 2003

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