「生理活性脂質データベース」事後評価結果


1.課題名

 生理活性脂質データベース

2.開発(運用)責任者

 国立国際医療センター研究所
  開発責任者 大島 美恵子
  運用責任者 湯尾 明

3.課題概要

 生理活性脂質は多種・多伎にわたるため、これらの脂質をきちんと整理し、分かりやすいデータとして人々に開放することを目的としたデータベースである。このデータベースは、研究者のみならず、これから薬剤を開発しようとしている企業の研究者などからも注目されており、世界で初めて公開される「生理活性脂質データベース」である。データベースの構造は、27種類の脂質に関して、その名称、物理化学的データ、生理活性などに関するデータをまとめたデータベース、化学構造のデータベース、IRスペクトルや MSのスペクトル,クロマトグラフなどを含む画像データベース、および文献データベースをリレーショナルに結合した複合データベースである。

〈データ項目とデータ件数〉

アシルグリセロール 574 ビタミンA 20 リポ多糖 35
胆汁酸(コラノイド) 550 ビタミンD 699 リポ蛋白 12
脂肪酸 695 ビタミンE 76 ミコール酸 203
長鎖アルコール 57 ビタミンK 31 グリセロ燐脂質 159
長鎖アルデヒド 108 スフィンゴ糖脂質 580 血小板活性化因子 123
長鎖塩基とセラミド 138 グリセロ糖脂質他 112 スフィンゴ燐脂質 26
エーテル型脂質 489 ホパノイド 1 プロスタノイド 221
カロテノイド 80 イソプレノイド 111 ステロイド 479
COENZYME Q 30 リポアミノ酸 5 ワックス 14

(データ件数は平成12年11月現在)

4.アクセス状況

 公開時(平成11年10月)~平成12年11月 : 5,027件
               (平成13年6月現在 : 10,867件)

5.外部発表

*開発中
年  度 件   数 備    考
平成 9 年度 第39回日本脂質生化学研究会
平成10年度 第40回日本脂質生化学研究会
平成11年度 東大脂質懇話会他

*開発終了後
年  度 件   数 備    考
平成11年度 大阪大学 蛋白質研
平成12年度 日本脂質栄養学会第9回大会他

6.事後評価結果

6-1. 当初計画の達成度
 データ収集目標数(6,000件)の約90%のデータ(5,300件)を収集出来たことは当初の目標をほぼ達成したと言える。
6-2. データベース自体の評価
 国際脂質生化学会のホームページとリンク出来たことにより国際間の情報交換が可能となり、国内のみならず国外からのアクセス件数も増え、国際的にも高い評価を受けている。
 今後、インターネット上での画像と検索システムを構築、他の公開情報と相互リンクをはる等の事により更に幅広い活用が可能になる。
6-3. データベース化終了後の公開運用体制及び運用状況
 データベース構築委員会を始めとする各種委員会を中心にして運営がなされているが、当該施設でのデータ収集やデータベースを維持管理する体制が未整備で、データベース化終了後における安定運用の面で若干の不安が残る。開発当事者は、データベースの維持管理費用やマンパワー等について、今後の見通しを早急に立て、対処する必要がある(脂質生化学研究会への移行等も検討されている)。
6-4. 運用の今後の展開
 データの更新・追加・修正・集積の促進、内容の充実を図るために継続的な費用とスタッフの確保が必要であり、科学技術振興事業団の継続支援等の関与が望まれる。また、収集情報のセキュリテイ対策について担当者自らが責任を持って対応すべきで、この面での検討も必要である。
6-5. その他
 リンク数の増加を図るために各種関連学会等を通じて教宣活動を行うことが必要である。また、公開情報の著作権確保、出版社への使用許可申請等への対応策について検討する必要があると思う。

7.総合評価

 収集情報数、国際間利用(収集情報の英訳化、国際脂質生化学会のホームページとのリンク等)等の面では当初の目標を達成出来たと判断する。
 また、データベースを長期的視点で捉え、データ追加等を積極的に実行し、発展させようとの前向きな姿勢が明確である点は評価できる。


This page updated on July 19, 2001

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