補足説明


 平成12年度に開始されたミレニアムプロジェクトとは、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むプロジェクトである。具体的には、今後の我が国経済社会にとって重要性や緊要性の高い情報化、高齢化、環境対応の三つの分野があげられている。(参照: http://www.kantei.go.jp/jp/mille/991020millpro.pdf ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)の基本的な枠組みと構築方針について)
 多型情報データベースは、関係省庁との連携のもとに、ミレニアム・プロジェクトの高齢化分野において、「高齢化社会に対応し、個人の特徴に応じた革新的医療の実現(ヒトゲノム)」を目指したプロジェクトに位置付けられている一事業の成果を公開するものである。この事業では、ヒトゲノムの中で個人間で異なる部分(一塩基多型(SNPs*))15万ヶ所を目標に、特に遺伝子部分に焦点をあてて探索、解析を実施している。このデータについては、多様性頻度の解析が引き続き実施され、これら情報は、研究の基盤情報として活用されることになっている。また、このデータベースは速やかに一般に公開し、広く成果を民間に還元する。
 今後は、この情報を活用し、有用遺伝子部分のSNPsについて疾患関連遺伝子の探索、疾患とSNPsとの関連性、さらに、薬剤感受性とSNPsとの関連性について、体系的に研究を実施し、特に、痴呆、がん、糖尿病、高血圧等の高齢者の主要な疾患の遺伝子の解明に基づく、"必要な患者に、必要な量の、必要な薬剤を"といったアプローチからなるオーダーメード医療を実現し、新しい治療法と創薬に結びつく研究が展開される。
 この度公開されるSNPsデータに関連するヒトゲノム公開情報は,科学技術振興事業団の高機能基盤生体データベース開発事業の一環として開発しているHOWDY*(ヒトゲノム情報統合データベース)より取得できるようリンクを付与している。

【SNPs】Single Nucleotide Polymorphisms(一塩基多型)の略。ゲノム上の塩基配列の中で人種や個人(例えば健康な人と病気の人)間で異なる塩基を持っている現象及びゲノム上のその部位。

【HOWDY】Human Organized Whole genome databaseの略。 HOWDYとは,一次元の情報であるゲノム塩基配列情報を,公共データベースに蓄積されている既知の生物学的情報と結び付け,機能情報と一体化することで,ヒト設計図としてのゲノムの理解を容易にすることを目指したデータベース。今回公開を開始したリリースでは,NCBI(米国バイオテクノロジー情報センター)のヒトゲノムリソース,OMIM(遺伝性疾患のカタログ),GDB(ヒト遺伝子地図)等のデータベースの情報を横断的に検索し,データベース相互の関係情報から,データを総括的に獲得する機能を実現している。1995年から、高機能基盤生体データベース開発事業では国際的ヒトゲノム解析プロジェクトの進展とともに増加する情報を,研究に活用するための,ゲノム解析ツールの開発提供と計算機環境を整備している。


This page updated on July 7, 2000

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