研究課題別研究評価
研究のねらい: | ||||||||
ホメオボックス遺伝子は、特定のDNA 配列に結合して標的遺伝子の発現を制御する転写因子をコードする。このうち、Hox 、Pbx、Meisファミリーにはヒトやマウスの白血病原因遺伝子であるものが存在する。Hox 遺伝子は、一般に幼若な骨髄細胞で一過性に発現がON/OFFされるが、Hox 遺伝子の発現異常が生じると、標的遺伝子の発現制御が乱れて血液細胞が幼若な状態で増殖して白血病化する可能性が考えられる。また、Hox はPbx/Meisと相互作用を示す可能性も考えられた。Hox 蛋白の血液細胞における標的遺伝子を同定し、どのような仕組みで血液細胞の分化と増殖に関与しているかを解明する。 | ||||||||
研究結果及び自己評価: | ||||||||
さきがけ研究を始めるに当たって、既にマウスとヒトの白血病におけるHox/Meis遺伝子の構造異常を明らかにしていたので、これらの構造異常の生物学的医学的意義を明らかにするため、以下のようなアプローチで研究を進めた。
ホメオボックス遺伝子のような転写因子の機能を考えると、必然的に標的遺伝子の問題に直面せざるを得ない。このような標的遺伝子を多く同定することによってホメオボックス遺伝子の機能の本質に迫るというのがさきがけ研究に提案した時の大きな目標の一つであった。この点については、予想通り試行錯誤を繰り返しながら研究を進めたが、3年間で充分な成果を出すには至らなかった。しかしながら、この研究期間中に新しい方法を開発し、少数ながら候補遺伝子を同定できた。現在も引き続き作業を進めている。この方法による標的遺伝子の同定は、白血病とホメオボックス遺伝子に限らず、様々な転写因子に対象を広げることが可能なので、転写因子の生物学的役割をより大きな観点から捉えるのに役立つのではないかと考えている。 | ||||||||
領域総括の見解: | ||||||||
がんの病理学における分子生物学研究者として実績をつんでおり、分化制御因子をコードする遺伝子の組換えによる発癌、特に白血病原因遺伝子の異常発現について生物学的意義の解明に関して成果をあげている。今後、がんの分子病理学の発展に重要な役割を果たして行くと期待している。 | ||||||||
主な論文等: | ||||||||
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This page updated on March 30, 2000
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