1.研究課題名 |
都市ヒートアイランドの計測制御システム
2.研究代表者名 |
久保幸夫 慶応義塾大学環境情報学部
3.研究概要 |
ヒートアイランドは、都市の気温が周辺に比べて高くなる現象であり、都市人口比率が50%を超える現在、地球温暖化に大きな影響を与えている。この現象は、従来、中緯度地方の冬季に顕著に観察されてきたが、夏季あるいは低緯度地方でも発生していることがわかってきた。
本研究は、東京、上海、バンコックの東アジアの巨大都市を選定し、リモートセンシングと気象観測からヒートアイランドの発生メカニズムを探るとともに、ヒートアイランドの緩和方法の研究を課題としている。
4.中間評価結果 |
4-1. | 研究の進捗状況と今後の見込み |
本研究においては、東京、上海、バンコックの3大都市のヒートアイランド実態解明のために観測ネットワークの設置を行ってきた。東京においては、23ヶ所に風向、風速、気温、湿度の自動計測装置を設置し、電話回線を利用してデータ回収を実施するシステムを構築した。このほか80ヶ所に温湿度計測のデータロガーを設置している。上海の観測は華東師範大学、バンコックはAIT、チュラロンコン大学などを観測拠点としてヒートアイランド現象の実態解明を行ってきた。 今後、これら東京、上海、バンコックにおいて実測したデータの解析、モデル化などに研究の重点を移して予定である。 主な課題としては、データの整理・解析、特に3次元的ヒートアイランドデータの解析、土地利用データ、建物データのデータベースの構築、ヒートアイランドモデルの精緻化、シミュレーションなどを予定している。 | |
4-2. | 研究成果の現状と今後の見込み |
研究期間の前半において、東京、上海、バンコック3大都市のヒートアイランド現象実態調査を行ってきた。その結果、これらの都市におけるヒートアイランド実態が明らかにされつつある。 後半において、ヒートアイランド緩和の方策をまとめ、提言の形に纏め上げる予定である。緩和策の具体的策としては、建物配置の効果、風の道の効果、水域の効果、緑地の効果などを予定している。 本研究は、都市環境改善に貢献できる提言を目指している。 | |
4-3. | 総合的評価 |
大都市ヒートアイランド現象について、観測、計測結果が纏りつつある。 しかし、ヒートアイランド緩和策についてはまだ十分な取り組みは行われておらず、この面で一層の検討を進めることが要請される。 |
This page updated on Feburary 3, 2000
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