研究課題別中間評価結果(環境2)


1.研究課題名

 自立型都市をめざした都市代謝システムの開発

2.研究代表者名

 柏木孝夫 東京農工大学工学部

3.研究概要

 本プロジェクトは、資源のリサイクルやエネルギーの有効活用などにより環境負荷を抑えた都市の形成をめざし、それに必要な要素技術・システムの開発および都市シミュレータの開発を目的とする。
 この目的のため、これまでの前半において、主として要素技術の開発やデータの収集を行うとともに、都市シミュレーターのプロトタイプの試作を行ってきた。研究期間の後半において、成果を取りまとめた都市シミュレータの開発を行う計画である。

4.中間評価結果
4-1. 研究の進捗状況と今後の見込み
 本研究は、自立型都市を目指して、都市の多様な環境側面を支えている要素を再評価すると共に、それらの技術的な解決策を最終的に都市シミュレーターとして完成させ、環境負荷を最小限とする社会システムを提言しようとするものである。
 現在までの前半3年間において、北海道大学構内にローエネルギーハウス(延べ192m2)の建設とその省エネルギー性の評価、廃プラスッチックの選別技術の開発、都市構造物LCA解析、都市集合住宅のエネルギー消費の実態調査などの要素を開発、データ調査してきた。
 また、これらの要素技術の開発、調査と並行して、エネルギー、交通、水利用などについて個別モデル化およびシミュレーターのプロトタイプ開発を押し進めた。同時に、シミュレーターの初期データとして必要な都市基礎データの収集を行ってきた。
 今後、ケーススタディー都市としては、すでに各種年情報、交通データ、GISデータベースなどの都市データの充実している八王子市を選定し、構想を具体化する予定である。
4-2. 研究成果の現状と今後の見込み
 本研究の目的は、個別テーマを取りまとめて都市シミュレーターを作り上げることにある。
 都市シミュレーターに関しては、これまでの個別の要素技術開発などの要素の情報をスムースに取りこむために、プロトタイプの開発を行った。プロトタイプは、GISデータを操作する機能、画面表示機能などを作成するとともに、エネルギーシステムサブモデルを組み込み、対象地域の指定、負荷推定、システム最適化、省エネルギー可能性などの一連の操作性を確かめることができるシステムをパソコン上で実現した。これらのモデルは、現状では機能的に独立しているが、今後研究期間の後半にかけて統合化し、サブモデル間相互の干渉などを考慮できるシステムとして完成させて行く予定である。
本研究で開発した都市シミュレーターが、都市環境政策検討の際などの有効に使用されることが大いに期待される。
4-3. 総合的評価
 交通面、エネルギー気象面のモデル化等は、まだ不十分で今後の努力を必要とする。
また、今後のまとめ方においては、本研究の成果が具体的な都市への適用にとどまるのか、一般化できるものかなどのポイントについて十分な検討が必要である。

This page updated on Feburary 3, 2000

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