(補足説明資料(2))


1.原子波増幅過程
 図中のカラー写真は、原子集団を20msほど自由落下させて撮影したもので、赤い部分ほど原子の密度が高く、青い部分の密度は低い。
i) 操作A。BEC原子(図の楕円形)に左側から原子の共鳴周波数に対して2GHzほどの離調をとったレーザー光を照射する。この操作だけでは全ての原子が元の状態にとどまったままであることが分かる。
ii) 操作B。BEC原子の両側から周波数の異なるレーザー光を照射することでブラッグ散乱を起こし、一部の原子を別の運動量状態(光の持っている運動量の2倍の運動量2hkを持つ状態)へ移す。ここでは、約6.5%の原子が移動している。
iii) 操作Bに引き続いて操作Aを行ったとき。両者の単純な足しあわせ(重ね合わせ)にはならず、約66%の原子が移動している。これは、操作Bにより生み出された原子の運動量状態に対してAという操作を行うことで、その状態を占有する原子数が大きく増加したことを示す。すなわち原子波の振幅が光レーザーにより増幅された。


図1 原子波増幅過程

2.光照射時間と増幅された原子数との関係
 操作Aの光照射時間を変えて移動した原子数を測定している。赤丸:操作Bを行った場合。すなわち最初に原子の種を入れた場合。青四角:操作Bを行わなかった場合。図中の実線は、レート方程式によるシミュレーション結果。Lj(損失レート)とR(レイリー散乱レート)をパラメーターとして使用しており、他の実験から推測される値を入れることで実験結果をほぼ説明することができる。


図2 光照射時間と増幅された原子数との関係

3.増幅された原子波のコヒーレンス測定
 BECマッハツェンダー干渉計(左図)を用いて原子波の干渉性(コヒーレンス)を測定する。約71%のコントラストで干渉縞が測定でき、これは最初の入力原子波と位相を揃えて原子波の振幅が増幅されていることを示す。すなわち、今回の増幅過程がコヒーレント過程であることを示す。なお、コントラストが100%になっていないのは、干渉させる原子波の形状が同一ではないため、完璧には重ね合わせることができないためである。


図3 増幅された原子波のコヒーレンス測定

This page updated on December 17, 1999

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