各   位

平成11年9月
科学技術振興事業団

技術説明会のご案内について


拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 平素より、当事業団の業務に対し、多大なご支援ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、当事業団では別添のリーフレットにあります事業団主催の「新技術フェア」におきまして、下記のとおり技術説明会を開催いたします。技術説明会は、実用化が期待される研究成果につきまして、積極的に活用していただくことを目指し、研究者が直接技術内容の説明を行い理解を深めることを目的として開催するものです。
 つきましては、ご多用中とは存じますが関係各位にお誘い合わせのうえ、多数ご来場賜りますようお願い申し上げます。

敬  具

1. 開催場所:東京ファッションタウン ホール1000
2. 開催日時:平成11年10月13日〜14日
3. 技術説明会内容
(1)
薄膜光プロセッサ作製のための高機能有機薄膜形成法
(平賀 隆:通商産業省 工業技術院 大阪工業技術研究所 材料物理部長)
(科学技術振興事業団 個人研究推進事業の研究成果)
講演日時 : 10月13日(水)11:00〜12:00
主な特許等: 特許第2599569号、特願平11-201113、特願平11-61380
技術の概要: 薄膜光プロセッサの実現を目指して、既存のキャスト法やスピンコーティング法の代替法であり、高純度環境が容易に得られる真空プロセスを駆使した極薄・高濃度・高品質の有機薄膜形成法を開発した。
1つは溶媒可溶の有機化合物群に対して適用可能な「溶媒の真空中直接噴霧法」であり、2つ目は昇華性の有機化合物群に対して適用可能な「色素蒸気輸送法」であり、薄膜光プロセッサのみならず広い応用が期待される新しい手法である。
(2)
超高密度光メモリー
(平尾 一之:科学技術振興事業団 平尾誘起構造プロジェクト 総括責任者)
(科学技術振興事業団 創造科学技術推進事業の研究成果))
講演日時 : 10月13日(水)13:00〜14:00
主な特許等: 特願平10-004416、特開平11-197498
技術の概要: 3価のサマリウムイオンを含むガラス中に、フェムト秒パルスレーザー光を集光照射することにより、集光点でのイオンの価数を2価に変化させる。この集光点を3次元的に配列するとともに、各点で2価サマリウムイオンのホールバーニング現象に基づく波長多重記録を利用することにより、超高密度の4次元光メモリーが実現可能であり、その記録容量は、1cm3あたり10TB(DVD光ディスク2000枚相当)に及ぶ。
(3)
無電解メッキによる有機顔料薄膜の製造
(佐治 哲夫:東京工業大学大学院総合理工学研究科 教授)
講演日時 : 10月13日(水)14:00〜15:00
主な特許等: 特開平7-238382、特開平7-292478、特願平10-215928
技術の概要: 本法は、アゾベンゼン修飾界面活性剤の水溶液に有機顔料を分散させ、金属基板により界面活性剤を還元して分散能を失わせ、有機顔料薄膜を作製する。従って、顔料分散液への金属基板の浸せきのみで薄膜を作製できる。薄膜化できる有機顔料は化学構造にかかわらず、サブミクロンで疎水性であればよい。また、得られる薄膜は96%以上の顔料から構成され、透明なので、金属の着色、カラーフィルターなどへの応用が期待される。
(4)
有機ゼオライト
(青山 安宏:九州大学有機化学基礎研究センター 教授)
(科学技術振興事業団 戦略的基礎研究推進事業の研究成果)
講演日時 : 10月14日(木)11:00〜12:00
主な特許等: 特願平10-56702、特願平10-56701
技術の概要: 固体触媒は、従来全てと言ってよいほど無機物であった。これに対して有機触媒、有機金属触媒は可溶性のものを対象とする研究が多い。省資源、省エネルギー、廃棄物レスの新しい触媒プロセスを開発するには、デザインが容易な有機系触媒を固体として使用することが重要な道である。有機ゼオライトとも言える多孔質有機固体触媒は、容易に製造でき、高い触媒活性・選択性と完全な不溶性を有し、容易に回収でき、繰り返し利用ができるなどの特性をもち、物質製造プロセスを根底から改革できる可能性を秘めている。
(5)
高吸着性架橋シクロデキストリン高分子
(小宮山 真:東京大学大学院 工学系研究科 教授)
講演日時 : 10月14日(木)13:00〜14:00
主な特許等: 特開平10-195108
技術の概要: 分子認識化学の進歩により、有機溶媒中で小さな分子を認識するホストの合成は、完成の域に達している。しかし実用的に意味のある大きな分子を、水中で認識するようなホストの設計・構築法は、ほとんど知られていない。我々はこのために、複数のシクロデキストリン分子を目的とするゲストに対して正確に配向・固定化する技術を開発した。本講演ではこの技術をステロイド類やタンパク質の選択的認識に応用した例について紹介する。
(6)
カリックスアレン誘導体を硬化剤とした高性能エポキシ樹脂硬化技術
(西久保 忠臣:神奈川大学工学部応用化学科 教授)
講演日時 : 10月14日(木)14:00〜15:00
主な特許等: 特許第1721432号、特開平10-101775、特願平11-65706
技術の概要: 薄エポキシ樹脂は電子材料分野では、プリント回路基板、封止剤、層間絶縁材料などに使用されている。しかし、電子部品の高密度化に伴い使用材料に対して一層の耐熱性、ガラス転移温度(Tg)、電気絶縁特性などの向上が求められている。カリックスアレン(CA)類は、1)分子内に多数の反応性基を有する、2)耐熱性に優れている、3)高いTgを有するなどの特徴を持っている。本技術は、架橋剤にCA誘導体を用いたエポキシ樹脂の新しい硬化システムを提案するものであり、今後の電子材料分野への応用が期待される。

This page updated on September 22, 1999

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