大学教員の声

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インターンシップを経験する事で自分の進みたい道が開けます。

奈良女子大学
高橋 智彦氏 (奈良女子大学研究院・自然科学系・物理学領域 准教授)

 私が指導した博士人材2名が学位取得後、PDキャリア開発事業の養成者(CDPD)となり、長期インターンシップを経験して、インターンシップ先に就職しました。お二人とも複合現象科学専攻で素粒子論の研究に没頭していたため、通常の就職活動での就職が難しかったのですが、本事業のマッチング会等で博士人材を求める企業を見つけ、互いの希望条件が合致したインターンシップを行うことができたため、うまく就職できたのだと思います。
 最初の人は学位取得後の5年目に、キャリアアップを目指して郷里のソフトウェア開発会社で7ヶ月間のインターンシップを経験しました。就職後にはプログラミングやシステム開発の業務に従事し、その後、地元の私立高等学校の教員に転職することとなりました。もう一人は、大手銀行系の研究開発を行う会社で3ヶ月間のインターンシップを行い、金融工学やプログラミングについて学びました。現在はデリバティブモデリング等の業務で活躍しています。素粒子論の研究も金融工学を用いた商品開発も、数理科学技術を用いる点が似ており、分野は違っても考え方やスキルは同じなのだと思います。専門分野とは異なる企業のインターンシップに行っても、博士人材としての優れた考察力、コミュニケーション能力、数理科学技術などのスキルを活かせる業務や就職先が見つかると思います。
 アカデミアだけでなく広く社会での貢献を考えているPDや院生は、積極的にPDキャリア開発事業に応募して長期インターンシップを経験する事をお勧めします。

優れた博士人材は、異業種の企業でも活躍しています。

筑波大学
白岩 善博氏 (筑波大学 生命環境系・系長)

 PDキャリア開発事業で住友電気工業に長期インターンシップに行き、そのまま2013年10月に採用された馬場将人さんは、大学院生時代からとても優秀な学生でした。前期課程院生時代には、第1回日中韓大学院生フォーラムの初代リーダーとして、抜群の英語力と統率力でこの国際的な学生主体のフォーラムを成功に導きました。また、住友電気工業にインターンシップ中の2013年6月末から1週間、日本学術振興会(JSPS)から第63回リンダウ・ノーベル賞受賞者会議(化学分野)に派遣されています。
 このリンダウ・ノーベル賞受賞者会議は日本では、あまり知られていませんが、世界的な若手研究者の会議です。毎年世界中から550人(内、ドイツ人が約200人、日本人は約10人)の若手研究者、ノーベル賞受賞者(35名)など選ばれた人だけがドイツのリンダウに集うものです。そこでは、ノーベル賞受賞者の講演や若手研究者同士の討論会、若手研究者の発表に対するノーベル賞受賞者の評価や討論会などの学術企画を約1週間にわたり開催しています。
 馬場さんは日本学術振興会とドイツ本部での選考の両方を勝ち抜いたわけですから、本人のキャリア・アップに繋がる高いレベルの経験になったと思います。このリンダウ会議に参加し、ノーベル賞受賞者と身近に接する事が出来、参加後の報告では、「ノーベル賞受賞者は本当に研究者の鑑のような方々だった。彼らの原動力は、研究(対象)が好きで理解したくてたまらないという、知的好奇心に他ならなかった。私も、一生をかけて愛せる研究対象と出会いたいと切実に思う。そして、長期目標は、ノーベル賞を獲り、リンダウ会議への参加がきっかけであったと発言する予定」と書いています。
 さらに、企業へのインターンシップ中の参加だったことから、以下のような言葉も残しています。「日本の大学ではアカデミアに残らない(=社会に出る)研究者を「負け組」と見なす風潮が厳然と残っている。しかし優れた研究者が皆アカデミックに流れたら、誰が社会の知的活動を執り行えるのか?日本の大学で(民間企業における)即戦力人材の育成が叫ばれるようになって久しい。しかし、業務研究からノーベル賞研究に見られるような熱意と執着に塗れた革命的な成果が誕生するだろうか?これからの大学の役割とは、アカデミアの研究者と社会に生きる研究者という両輪をバランス良く教育することではないか――社会進出のキャリア・パスを希望している我が身には、大変興味深い議論だった。」
 馬場さんは、論文を書くのがとても早く、DCから1年のPD期間で著書、論文、総説を12報も発表したという能力の高さがあります。また、PD時に中国人留学生を上手に指導してもらった経験から、私は彼には大学の研究室に残ってアカデミアでの職を目標に頑張って欲しいと思っていました。しかし、本人が早く定職を得たいとの希望が強く、インターンシップを希望し、住友電気工業という異業種でスタートしたトマトの砂地栽培の研究を進めています。今の仕事においても、大学院時代の藻類の研究がしっかりと役立っていると思います。

幅広く実社会に貢献できる道

東京海洋大学
北出 裕二郎氏 (海洋科学技術研究科 准教授)

 王さんは、4年生の時に交換留学生で東京海洋大の水産系学科で学び、修士課程で相模湾観測を開始し、海洋物理学を研究するようになりました。主に、中層・深層の循環に興味を持ち、相模湾深層水と親潮系水塊の挙動について研究していました。博士課程から私の研究室に来て博士号取得まで指導していました。王さんは南極観測(1ヶ月程度)には2度参加していますが、現地では3000mの深海に係留系を1年間設置する観測を行った際の係の作成を担当してもらいました。王さんはとても器用でエイトロープの端末処理が早く上手に丈夫に仕上げてくれたので、翌年には無事係留系を回収できました。
 当初、王さんは研究者になりたかったようで、出身大学の上海海洋大学の海洋物理学を強化したいと言っていました。しかし、研究を続けて国内外で研究成果を発表し、多くの方々と交流を深めていくなかで、アカデミアだけでなく幅広く実社会に貢献できる道に進む事を考えたようです。学位取得後にPDになっていましたが、本事業に申し込み、環境コンサルタント会社を希望して、いであ鰍ナインターンシップを開始しました。とても負けず嫌いで、努力家だけどその事を外に見せないタイプで、日本語が抜群にうまいのですが、これも人一倍練習した結果だと思います。王さんが、これからさらに飛躍するには国際的に展開している会社が最適であると思い進路変更にも賛成しました。
 東京海洋大学では博士課程終了者は公的研究機関などにも就職する人が多いので、もっとPDに残って欲しいと思います。 このPDキャリア開発事業による長期インターンシップ制度はとても良いと思うので、適したPD、DC学生がいれば、推薦したいと思います。

インターンシップ中に多くの人々と交流しコミュニケーション力が向上します。

群馬大学
粕谷 健一氏 (高度人材育成センター センター長 :理工学研究院 教授)

 群馬大学でPDインターンシップ推進事業がスタートした2011年10月に指導教員から紹介があった小内さん(当時はPDで事務局技術補佐員として勤務)と面接し、最初の養成者として採用しました。本人はアカデミア以外の道も考えているとの話だったので、協力企業開拓専門のコーディネーターが県内企業中心に博士人材を必要としている会社を探し、長期インターンシップ受入をお願いし、現在の就職先である(株)ミツバにて2011年11月中旬からインターンシップを実施しました。小内さんは、高分子の合成および分光学的解析が専門で蛋白質の溶液中での立体構造解析を研究テーマとしていました。ミツバではDC時代に身に着けた分光学等の知識・技術を応用してQCを担当し活躍しています。
 DCやPD時代は閉鎖的環境なので社交性が乏しい人もいますが、インターンシップ期間中に色々な人々と交流する事で、コミュニケーション力が高まる事が多いと聞いています。博士号を取得した人は、物事の解決の仕方を理解しているので、社会性を身につけさえすれば民間企業での活躍も大いに期待できます。
 協力企業は、日本各地の有力企業が多く、現在90社にのぼっています。PDのキャリアパスを最大化するために、これらの情報を、他大学とも相互に共有するように努めています。登録済みの養成者や就職希望PD、DCの情報は匿名にして、協力企業各位に配信し、毎年4月には、協力企業と養成者間でのマッチング会を実施しています。
 本事業の終了後もこの制度は維持していきたいと考えており、理工(生命科学含む)系で毎年20名程度を養成していきたいと思っています。また、外国人養成者については、専任チューターをつけて日本語能力の向上を図り、インターンシップ機関や就職後に言葉の壁で困らないように指導しています。
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もっとインターンシップの良い所を学生に宣伝します。

金沢大学
生越 友樹氏 (理工研究域 准教授)

 本事業の長期インターンシップについては、事業開始当初はあまり関心を持っていなかったですが、イノ若オフィスの先生方が研究室に本事業の説明に来られた際に研究室の説明したりして懇意になり、協力していきたいと考えるようになりました。
 青木さんがD1の後半の頃にアカデミアだけでなく、産業界にも興味があるとの相談があり、イノ若オフィスを紹介しました。 DC時代は研究を続けて欲しかったが、3ヶ月程度のインターンシップであれば、研究の大きな障害にならないと考えて後押しをしました。
 青木さんのDIC入社が決まった時、本当に良かったと思いました。 これからも研究室の学生に本事業、特に長期インターンシップの良い所を宣伝して行きたいと思います。

「生き方」は実験を伴わない「研究」です。

(独)物質・材料研究機構
森 利之氏 (環境・エネルギー材料部門 グループリーダー、北海道大学 理学院 連携教授)

 DC進学に悩んでいた学生に、「本当にやりたいこと」を聴き、進学を勧めました。勿論、学位をとってアカデミアに残ることを勧めたのではなく、マインドを変えて、また、企業で活躍できるための基礎学力を持ってから仕事をすることを勧めたのです。
 例えて言えば、私の研究室では「合成」、「物性」、「キャラクタリゼーション」の3つを行っていますが、このうちの1つができるだけでは企業で仕事はできません。3つとも高めた上で1つをさらに磨いて専門になる必要があります。プロ野球選手が走攻守とも身体能力が高くて1つが特に磨かれているのと同じです。先の学生には、進学の条件として、好きなスキーを進学後も続けて国体で成績を残すことを求めました。その意味は、研究者には何事に対しても真剣にとことんやる姿勢が必要で、「やりたいこと=好きなこと」と「生き方」は実験を伴わない研究という意味で同じだからです。
 つまり、「研究」と「好きなこと」とを両立するエネルギーのない人に、短期間において優れた研究成果を期待することは難しいと考えたからです。なお、この学生は、スキーの条件を満たし、国内外の学会で表彰をうけるという成果をあげて学位を取得し、さらに企業でのインターンシップで視野を広げた上で、専門性が生かせる他の企業に就職しました。
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コーディネーターの役割が重要です。

東京農工大学
三浦 豊氏 (農学研究院 応用生命化学部門 教授)

 「イノベーション創出若手研究人材養成」のシステムは、DC学生が、学位論文に集中できるとともに、深刻にならずに企業就職ができるというメリットがあります。DC学生、特に、論文が出ていない学生にとっては、在学時にインターンシップに出ることは難しいと思います。
 ここで力を発揮するのはコーディネーターです。学生がコーディネーターを信頼して綿密に相談できれば、3年間は安心して論文に集中できますし、学位取得後就職することもできます。「指導教員や企業が博士人材のインターンシップや就職に理解を示さない」との意見をよく聞きますが、成功例を示さずに話しだけするからではないでしょうか。例えば、「3年間で学位論文を完成させ、その後インターンシップを経て企業で活躍する」という成功例が続けば、指導教授はインターンシップを勧めるようになり、企業からも引く手あまたになるでしょう。
 本学のシステムである「アグロイノベーション研究高度人材養成事業」は全国の農学部を対象としたものでしたが、このサイクルがうまく回りだしたように思います。まず「質」の高いコーディネーターによってマッチングの成功を積み、博士人材、指導教員、企業と業界の三者に信頼されるようにならなければならないと考えています。
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インターンシップ成功例を積んで、企業と博士人材とのマッチングの可能性を示します。

兵庫県立大学
馬越 健次氏 (物質理学研究科 教授、学長特別補佐)

 研究にこだわらずに企業に出なさい。基礎は身についているので企業でも活躍できる。理論物理では、我々の学生時代からオーバードクター問題が存在し、さらに1990年代から始まった大学院重点化計画で博士号取得者が増えることにより、この問題はますます大きくなりました。学位を取った者の処遇をどうするか、という問題意識はずっと持っており、学生には「研究にこだわらずに企業に出なさい。基礎は身についているので企業でも活躍できる。アカデミックポジションにこだわる必要はない。」と言い続けてきました。
 こんな中、平成24年度の「ポストドクター・キャリア開発事業」では大学間でチームを組んで事業推進できることになり、つまり、DC学生・PDが多くない大学でも事業推進できるようになり、大阪市立大学、並びに、大阪府立大学と一緒に活動を始めました。「先ず隗より始めよ」でもありませんが、かつて指導し他大学でPDをしている研究者に本事業に参加して新たなキャリアパスを見つけることも考えるよう勧めました。
 その者は、化学会社でのインターンシップ経験により「突き詰めていけば最後は理論にたどり着く」と就職を決めました。企業、特に中小規模の企業では、理論の学生を採用いただくには高い壁があります。また、企業が念頭にない理論の学生を企業に向かわせるにも高い壁があります。「ポストドクター・キャリア開発事業」で成功例を積むことにより、企業と学生に、マッチングの可能性があることを示していきたいと考えています。
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三者にとってのwin-win-win。本人(キャリアパスの入手)、企業(人材の確保と事業展開)、大学(共同研究による研究の発展)

大阪府立大学
松岡 雅也氏 (工学研究科 物質・化学系専攻 教授)

日本の企業に就職し基礎研究に携わりたいとの思いを胸に来日したイラン出身のPDを、本学の「地域・産業牽引型高度人材育成プログラム」を通して、堺市の企業に派遣しました。特に採用を前提としないインターンシップでしたが、企業側が研究開発において求めていた人材ニーズと、PDの経験とスキルがうまくマッチングし、結果として採用となりました。このインターンシップは、本人・企業・大学の三者にとって、win-win-winの関係であったと思います。すなわち、本人(キャリアパスの入手)、企業(人材確保と事業展開)、大学(共同研究による研究の発展)です。就職後の研究成果により、企業側において既に目標値の20倍の性能を有する素材が開発され、特許の取得はもちろんのこと、学際的な領域における産学官共同研究の種も出てきています。また、共同研究によって私自身の研究に関する視野も大きく広がりました。さらには、元PDが活躍している姿を見て「自分も」とインターシップを希望するPDや学生も出てきています。インターンシップなどで実際に企業に入ってみないと、企業側にもPD・DC学生の良さや本当の能力はわからないでしょうし、本人も企業で自身が活躍できる場があるかどうか実感できません。インターンシップは、企業と研究者が互いに真の姿を理解しイノベーションを育むのに非常に有効であると今更ながら実感しました。是非三者で門戸を開き、新たな事業展開への道を拓いていただきたいと思います。
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自分の多様性を高めよう!

大阪府立大学
森 直樹氏 (工学研究科 知能情報工学科 准教授)

多様性とは大雑把にいえば雑多にいろいろなモノがある状態のことで、効率性とか専門性などとは相反する概念です。PDやDCは専門性を高め、ある分野の知識と研究能力を効率的に尖らせることが目的なので多様性を高めることは時間の無駄に見えるかもしれません。けれども工学的にも生物学的にも多様性は進化に必須な原動力です。すぐには役に立たない知識、自分の分野とは直接には関係しない人々との交流、研究とは関係ない経験といったことが非常に大切だと考えています。だからこそ本学の産学協同高度人材育成センターから、研究室のDC学生に当研究室とは関連が薄いアパレルメーカーのインターンシップをご紹介頂いたときは是非にと積極的に賛同いたしました。結果としては本人の視野を広げる意味でも研究室として研究の幅を広げるという意味でも大きな成果がありました。私も研究者として、専門性という尖った武器と多様性という懐の広さの重要性を忘れずに新しい何かに挑戦してきたいと思っています。
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インターンシップ先で博士力を十二分に発揮してくれました。

東北大学
田中 真美氏 (東北大学 大学院医工学研究科教授)

土見君が修士学生の時から将来起業したいとの相談を受けており、そのために役立つものを修得する機会になればと思い、高度技術経営塾への入塾を勧めました。博士号取得後は、彼の意図を考慮した弘進ゴム鰍ナのインターンシップをコーディネートしていただき感謝しております。東日本大震災の影響は大学及び個人にもありましたが、土見君は焦らず熱意をもって一つ一つ着実にこなしていくタイプですので、震災直後の大変な時期ではありましたが、インターンシップを行う事について特に心配はしていませんでした。インターンシップ先でも持っている博士力を十二分に発揮して活躍してくれたので、大変嬉しく思います。終了後は私の研究室のPDポストに空きが出来たので、3年間の予定で研究を継続してもらっています。

インターンシップ先は自分のテーマと異なる分野の企業を勧めています。

東北大学
松木 英敏氏 (東北大学 大学院医工学研究科長・教授)

研究室のDC学生には、インターンシップに参加する事を勧めています。インターンシップ先は自分のテーマと異なる分野の企業の方が視野を広げる為にもよいと思っているので、DC学生にはそのように勧めています。自分自身も理学部出身で素粒子論が専門でしたが、今は全く違う医学と工学(電気系)の融合分野を専門に研究しています。 また、DC後期課程3年間で3ヶ月程度のインターシップであれば、研究が遅滞する事はなく、かえってメリハリがついて効率良く研究が進む場合が多いと思っています。太田君の場合も、DC1年の最後の3ヶ月にインターンシップに参加した事で、インターンシップ先での研究内容や電磁波に関する研究が進み、良い経験をしたと思っています。
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多くの博士人材がインターンシップを経験できるための制度創りが必要です。

信州大学
樽田 誠一氏 (工学部 物質工学科 教授)

研究室のDC学生を3か月間のインターンシップに送り出しました。当該学生については、インターンシップを決めた時点で学位取得要件をほぼ満たす目途がついていましたので、研究の遅れに関する心配はありませんでした。今回のインターシップで、当該学生が自分の進路を決定することができ、さらには、大学では得ることができない多くのことを体験できたのは、今回のインターンシップの大きなメリットです。しかし、学位取得に必要な論文が出ていない学生の場合はどうでしょうか。指導教員としては、参加させにくいのではないでしょうか。このようなインターンシップのメリットは、論文が出ていない学生にも可能な限り提供されるべきです。一方、私を含めて多くの指導教員は、3年間で学位を取らせたい気持ちを強く持っています。そこで、提案です。インターンシップで研究が遅れることがDC学生に不利にならないような制度を大学と企業とが共同で創り上げていくことはできないか、例えば、インターンシップによって半年 or 1年遅れても学位を取れるように、大学は授業料を免除し、企業は採用の時期を配慮する。そうなれば、本人も指導教員も安心して、博士人材がインターンシップの益を受けることができると思います。
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インターンシップはあなたのチャンスを広げます。

長崎大学
柴田 裕一郎氏 (工学研究科 電気・情報科学部門 准教授)

研究室のD2学生を、九州大学の「革新的研究開発リーダー養成システムの構築」に参加させ、ロンドンのソフト開発企業にインターンシップ派遣しました。その学生は、インターンシップでの経験から、研究成果を高めるとともに自分の進路を決定しました。私自身も、博士課程時に3か月間、国内企業でインターンシップを経験していますので、インターンシップはチャンスが広がることを経験しています。一方、3年間で学位を取得することも大事です。学位論文の目途もつかない状況でインターンシップに行くことはリスクがあります。博士課程に進学したら、将来の進路を決める上でも、3年間の計画を策定しその中にインターンシップを組み込むことをお勧めします。そして、できることなら早期に研究を軌道に乗せ、チャンスを広げてください。
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インターンシップは企業と博士人材との相補理解に有効ですが、そのためには周到な準備が必要です。

大阪産業大学
津野 洋氏 (人間環境学部 生活環境学科 教授、京都大学名誉教授)

インターンシップは、企業と博士人材とが互いによく理解しあうために有効なシステムです。博士人材が民間企業に就職して、そのミスマッチ(仕事のミスマッチとセンスのミスマッチ)が原因で、その後の博士人材の企業就職が難しくしてなっては、お互いに好ましくありません。つまり、博士人材に対して企業も選択肢に入れろ、企業に対して博士人材を採用してほしい、と言うだけでは無責任です。長年研究に専念してきた博士人材が、そのまま企業に入って、ミスマッチが発覚するのは必然だと思います。私は、京都大学教授の時には、企業就職を希望するDC学生は、インターンシップに出すことが重要だと考えていました。インターンシップの時期は学位取得のあと。学生時に行くと中途半端になり、区切りをつけることが必要です。しかし、インターシップに行く準備は、企業探しなど半年ほどかけて周到に進める必要があります。そして、採用を前提としないインターンシップを半年以上、できれば一年。こうして準備したインターンシップだとミスマッチがあっても企業との関係は悪くなりません。闇雲なインターンシップのミスマッチは関係悪化を引き起こします。日本中で博士人材の企業就職が進むためには、地道な活動が必要なのです。
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インターンシップ生通しの交流から、学部間・研究科間の流動化への発展を期待して。

京都大学
奥野 恭史氏 (薬学研究科 総合薬学教育開発センター 特定教授)

本学の「先端技術グローバルリーダー養成プログラム」に立ち上げ時から参画しました。博士人材が、異分野を亘って広い視野を持ち、グローバル的発想をし、産業界も視野に入れる。このような「基礎的でない」取組の重要性を感じていたからです。例えば、大学から見た応用と企業から見た応用との違いは、企業を知ることによってしか分かりません。学生は、本事業に参加し企業でのインターンシップを経験することによって、大学と企業の考え方の違いを認識してください。指導教員は、本事業に参加し成長した博士人材を見て、教育者の立場から「基礎的でない」取組の重要性を感じていただけると思います。本学事業は工学研究科と薬学研究科とで推進しましたが、本事業を通じて学生間の横通しの交流もできました。これを更に発展させて、学部間、研究科間の流動化を推進することは如何でしょうか。例えば、企業就職の難しい分野の研究者が博士課程で薬学部に移り企業へ就職する。異分野融合による新しい発展も期待できます。
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大学教員、若手研究者と企業とがwin-winになるインターンシップ。それを、企業と一緒に考えていくつもりです。

京都大学
長谷部 伸治氏 (工学研究科 教授)

私自身、日頃から、博士後期課程が研究中心であり教育が形式的になっているとの問題意識を持っており、研究を通しての教育以外の教育システムを作りたいと思っていました。幸い、平成20年度に「イノベーション創出若手研究人材養成」プログラムに本学提案の「先端技術グローバルリーダー養成プログラム」事業が採択され、ユニット立ち上げ当初から本事業に参画し、3年目からはユニット長として推進して参りました。本学工学研究科には博士課程前後期連携教育プログラムがあります。そこでこの連携プログラムを活用し、4年半で早期に博士の学位を取得した学生が、最後の半年を学外の企業や海外での研修を行うことに本事業のインターンシップを活用し、国内企業あるいは海外の企業や研究機関を肌で経験することが、学生自身が将来のキャリアを考える上で非常に役立つとの考えで本事業を始めました。具体的には、学生が大学院5年目(DC3年目相当)の初めに本事業の1年間の養成対象者として参加し、前半の半年を学内研修、後半の半年をインターンシップとするという計画です。実際には、博士論文のまとめのために最後の半年にインターンシップへの参加がなかなか難しいという現実もあり、連携コース4年目(DC2年相当)からの参加へ広げました。特にインターンシップと就職との連携は考えませんでしたが、アカデミア志向で進学した者がインターンシップによって視野が広がり、インターンシップ先企業あるいは他の企業に就職した方もいますし、また、インターンシップ先での成功体験からアカデミアポストを得た方もおり、「研究以外の教育」の重要性を確信しました。最後に、日本企業は専門性の高い博士人材のインターンシップ受入れ体制がまだ整っていないと感じています。企業での長期インターンシップを継続するためには、インターンシップ実施により大学教員、若手研究者と企業とがwin-winの関係になることが不可欠です。どうしたら、実務の中からインターンシップテーマをうまく切り出しwin-winの関係を築けるか、今後、企業と一緒にそのやり方を考えていくつもりです。
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問題意識を持って人と接触するといろんなアイデアが湧いてきます。

宇都宮大学
村井 保氏 (農学部 生物生産科学科 教授)

研究室にDC学生が二人いて、ともに学位取得後の進路が決まっていないときに本学での「ポストドクター・キャリア開発事業」が始まり、二人とも、学位取得後すぐにインターンシップを経験し、インターンシップ先に就職することができました。かつては、学位を取得してすぐに就職できない場合、PDをやらせてもらって優秀ならポストが与えられるということもありましたが、今ではそれは期待薄と思います。それに代わるものとして、インターンシップを考えればどうでしょうか。インターンシップは双方とも互いを見る期間にできます。そして、双方が「意中の人」になればいい。また、インターンシップ先に就職しない場合でも、新しい環境で人と接することで自分を広げることができます。私の研究の性格上、企業の人や農家の人と付き合うことが多くあります。また、経歴上、研究職以外を多く経験しています。それらの経験から、問題意識を持って人と接触するといろんなアイデアが湧いてきます。
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指導教員の役割は博士人材が動きやすいようにバックアップすること。

岐阜大学
室 政和氏 (工学部 応用情報学科 教授)

博士人材には全てを自分で行うことが求められます。その最低限の必要条件は、積極的で、真面目で、きちんと仕事ができるかどうか。私の研究室のD2学生から、本学が推進している「産業牽引型イノベーション創出若手人材養成」への参加を相談されたとき、その学生がその条件を満たしていたため参加を勧めました。この事業の中心的プログラムであるインターンシップによって3か月間離れることによる研究の遅れの心配はありましたが、本人が自分の将来を本気で考えて決めたこと、自分で決めたことは熱心になれると判断しました。博士人材の指導教員の役割は何でしょうか。決して自分の研究の下請けをやらせることではありません。私は、研究を含めて全て面で、博士人材が動きやすいようにバックアップすることだと考えています。予算面の配慮は勿論、安心して研究できるように、また、集中して時間がとれるようにと。
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「実務」を知らないで「研究」成果を出しても絵に描いた餅

岐阜大学
社会資本アセットマネジメント技術研究センター 准教授
村上 茂之

「研究」と「実務(現場=企業)」は密接に関係しており、「実務」を知らないで「研究」しても、その成果は絵に描いた餅のようなものだと感じています。と言って、私の専門の橋梁工学の分野では、安全面などの理由から学生が実務に接する機会は限られています。研究室のDC学生が実務に接することができないのではないかと心配し、費用を捻出してでも企業経験をさせたいと思っていたとき、本人からインターンシップの相談を受け背中を押しました。「実務」につながった「研究」を念頭に置くと、研究とインターンシップとは分けて考えるものではなく、両者を教育の一環として考えるべきです。インターシップ先で、例えば「何が課題か?」などを抽出することによって、自分の研究が「現場」と繋がります。このような研究は大学だけでは行うことはできません。インターンシップに行くなら長い方が良いと考えています。
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学位論文作成後の就職活動には有効な制度

金沢大学
理工研究域・数物科学系
教授 末松 大二郎

金沢大学数物科学専攻の理論物理学研究室には、比較的博士後期課程の学生が多く在籍していますが、その中で学位取得後に企業への就職を目指す学生は、企業がどのようなところなのか、自分の研究内容が就職後の担当業務にどのように活用できるのか、不安に感じています。専攻分野や研究テーマによって状況は随分異なるとは思いますが、基礎物理の理論分野などでは、3年間の限られた時間で学位論文を仕上げなければならない中で、企業への就職を考えてはいるが就職活動を行う機会を逸してしまう、或いは、研究に没頭した状態から就職活動へと頭の切り替えが中々出来ないことは十分にあり得る事態だと思います。本プログラムは、学位取得後からでも、企業での実務を体験することができ、企業を知りながら、時間的余裕を持って就職活動が出来ることから、企業研究者を目指す学生たちにとっては、このシステムは有効だと思います。
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学生が企業を見るきっかけを作るには指導教員の責務です。

立命館大学
防災フロンティア研究センター センター長
深川 良一

毎年、DC学生を企業にインターンシップ派遣
本学のMC学生を対象としたコーオプ研修で、企業でのインターンシップ経験後に大きく成長する学生がいることを見て、DC学生にも重要と実感するようになりました。そんな中、「イノベーション創出若手研究人材養成」への提案段階から係わり、H22年度に「産学連携コーオプ型高度人材育成プログラム」が採択されて以降、私の研究室に来たDC学生の全員に参加を勧め、毎年、一人ずつ、企業へインターンシップに派遣しました。指導教員の中には、学位論文の観点などから、インターシップ中の時間ロスを心配される方もいると思いますが、それ以上に、学生に「企業でバリバリと仕事できることを知る」きっかけを与えること、また、学生を「親元(指導教員)から離して自分で考えて自分で解決させる」きっかけを与える方が重要で、そのために、学生の背中を押すのが教員の責務だと思っています。今後は、広く海外企業にも派遣したいと準備を進めています。
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若手研究者が適性を生かして人生を送れるような進路選択を支援

大阪大学・大学院理学研究科・宇宙地球科学専攻 教授
芝井 広

現在の所謂「ポスドク問題」は、大学院定員の大幅増員にもかかわらず教育の中身を変えてこなかった大学院教育(及び拙速に定員増員を推進した政府)に責任の一端があると考えています。大学院教育の中で、後継者や大学教員を育てることに固執していないか、研究と教育を両立させることによって社会で役立つ人材を育てるように、教員は意識を変えていくべきだと思います。このような考えから私は、DC学生に本学のCLIC(協働育成型イノベーション創出リーダー養成)を紹介し、時には企業への就職を勧めます。私の研究プロジェクトでは、ポスドクに研究を任せるのではなく、なるべく多くの大学院生と一緒に研究を進めることにしています。これが大学院生の実力の向上にたいへん役に立っています。このようにして、大学院生本人にとって充実した人生を送れるように支援することが大学院教員の責務の一つであると考えています。
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若手研究者との信頼関係構築が一番大切です。

北海道大学大学院 獣医学研究科 教授
昆 泰ェ氏

韓国で獣医師資格を取得後、将来において研究者を希望する留学生が私の研究室に所属しました。指導教員として日常の大学院教育および研究指導だけではなく、大学院修了後の進路相談も行っているのですが、欧米あるいは自国での就労より日本での就職を強く希望するようになりました。また、我が国の獣医師免許の取得も大きな目標となりました。日本の獣医師資格を取得すれば就職には困りませんが、製薬系企業に深い興味を抱くようになったことから、我が国の企業を知るためにHoP-Station(北大パイオニア人材育成ステーション)に登録させました。本人のやりたいことが明確であったため、製薬企業のニーズと一致してインターンシップを経て就職が内定しました。教員が親身になってPD/DCと接して信頼関係が構築できれば、優秀な若手研究者は力を発揮できる場を得ることができると思っています。
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行動力と人脈、そして人間性

北海道大学大学院 環境科学院 助教
星野洋一郎氏
海外青年協力隊での活動後に、私の研究室に来たMC学生がいました。海外での専門経験から組織培養の研究を深めようとする意志が明確で、そのため、将来進路については早い段階から相談できました。MC後半になると、将来、国際協力の仕事がしたいことを明確にし、そのステップとしてDCに進みました。3年間で学位を取らせたいとの教員としても思いもありましたが、本人の希望を尊重し、将来、役に立つであろうスキルをDC時代に身につけて欲しいと考え、二つのことを実践しました。一つはCoSTEP(科学技術コミュニケーション教育研究部門)の受講、もう一つは国際学会への参加です。インターンシップに関しては、自分自身で、国際学会で知り合った人脈を活かしてオランダの会社を決めてきました。行動力と人脈、そしてこの間に養った人間性が信頼されたことを示しているのだと思っています。
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インターンシップはDCと企業がお互いを知るチャンスです。

信州大学 工学部 環境機能工学科 准教授
牛 立斌氏
DC学生をD2後期に地元のオリオン機械株式会社に3か月間のインターンシップに派遣。
D2後期に機械メーカーに3か月間のインターンシップに派遣しました。博士論文を書くのに非常に忙しい時期でしたが、このインターンシップ終了直後に就職内定し、結果的には、D3は博士論文に没頭でき、本人にとっては、研究面、並びに、就職面の両方において非常に効率よく進めることができました。今回のインターンシップでは2つの幸運がありました。一つは、インターンシップ先が地元の企業であり、平日は会社の研究、土日と夜間は学校の研究と、両立することができました。もう一つは、この学生が一度社会人の経験があり、3か月で学生と企業の双方がお互いに「良い」ことを確認できたことです。インターンシップはDCと企業がお互いを知るチャンスです。
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インターンシップで企業が熱意を持って求める情報を得ることができました。

北海道大学大学院 農学研究院 教授
増田 税 氏
D2学生を大手ゼネコンに6か月間のインターンシップに派遣
植物バイオ分野からの企業就職は農業関連が中心ですが、修士卒に比べDCでは難しく、特に女性では更に難しいのが現状です。そんな中、当大学の「北大パイオニア人材協働育成システムの構築」に、通常の就職活動では見つけることのできない企業、それも「○○分野の学生がほしい」との真剣なオファーがありました。しかし、インターンシップに出すには博士論文をまとめることへの不安もあり、1年間の期限を設けて博士論文の目処を立てることを「縛り」として、当時DC1にいた学生の背中を押してみました。その後、学生が学術論文を短期間で書き上げたのを評価して、半年間のインターンシップに思い切って出しました。そしてその学生は見違えるように成長し、就職内定も取りました。繰り返します。インターンシップの良さは、@普通では入ってこない企業情報が入り、A更に企業もマッチすれば採用するとの熱意を持っており、Bそれを目指すことにより学生のモチベーションが上がります。
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インターンシップは進路を真剣に考えさせる高い教育効果があります。

北海道大学大学院 水産科学研究院 教授
佐伯 宏樹 氏
D1学生を企業に3か月間のインターンシップに派遣
博士課程学生を対象としたインターンシップは、一定の期間が設定されているので、研究や生産現場などの日常に触れることができます。そのため、イメージと実際の相違を様々な観点から実感できる良い機会となり、進路を真剣に考える大きなきかっけとなります。当研究室から参加した大学院生の場合、企業と大学間の研究に対する取組の違いが理解できて進路選択の幅が広がったようです。このようにインターンシップは、就職活動としてだけでなく、キャリア教育の一環とも位置づけることができます。「D1で参加する場合はキャリア教育の位置づけ、D2以降では具体的な就職活動の一環」と大枠で理解すると、参加目的に応じたタイミングと期間を考慮することが重要です。今回はD1生が3か月間インターンシップに参加しましたが、事前に不在期間を年間計画に盛り込むことで、学位取得研究への影響を避けることができました。研究の進捗に不安を持つことでインターンシップ参加に消極的な学生には、指導教官の後押しが必要と思います。また結果の副産物ではありますが、インターンシップ後に企業との新しい共同研究が始まり、研究室の活動にとってもプラスとなりました。今後もD1からD2前半での参加を奨励したいと考えています。
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学生を社会に送り出すことが教員の義務。インターンシップはそのためにすばらしいものです。

北海道大学大学院 水産科学研究院 教授
宮下 和夫 氏
D1、D2の二人の学生を企業に3か月間のインターンシップに派遣
私の研究室では学位を取得後、大学教員や研究機関へ就職していますが、このままでは間口が狭いと考えていたとき、「北大パイオニア人材協働育成システムの構築」が始まりました。まず、二人のD1学生に勧め、二人ともインターンシップに行かせました。インターンシップによる3か月や半年の研究の遅れは何とも思いませんでしたが、インターンシップに行ってそのまま企業に就職することを「可」とする覚悟が必要でした。つまり、「DC学生は3年間で学位をとることがまずありき」ではなく、学生を社会に送り出すことが教員の義務と考えています。インターンシップはその考えにはすばらしいものです。今後も、積極的に学生の背中を押していくつもりです。
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文部科学省 科学技術振興機構