JSTは、平成26年9月に国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(大学)から提出を受けた調査報告書等に基づき、その内容を精査した結果、大学に研究委託したJST事業に係る研究費の執行において一部で不適正な経理処理があったことを確認しました。
このため、JSTは、大学と大学の研究者に対して、以下の措置を講じることとしました。
1.不適正な経理処理の内容
調査の結果、大学の研究者1名が、次に掲げるJST事業に参画し、不適正な経理処理に関与していました。なお、私的流用はありませんでした。
(1)革新的エネルギー研究開発拠点形成事業
革新的エネルギー研究開発拠点形成事業の委託研究費において、大学の研究者1名が、平成24年度~25年度で旅行命令と実際の旅行日程や経路とが異なるにも拘わらず旅費を精算せずに不当に請求することにより、研究費の不適正な使用を行っていたことを確認しました。不適正な研究費総額は、676,400円(直接経費)でした。
研究者 | 事業名 | 不適正研究費 |
---|---|---|
大学院物質創成科学研究科 教授 | 革新的エネルギー研究開発拠点形成事業 | 676,400 円 |
(2)大学の研究者1名に対しJSTが直接支払った旅費において、同研究者が平成25年度~26年度で実際の旅行日程が異なったにも拘わらず、精算せずに旅費を請求していたことを確認しました。不適正な旅費総額は、28,670円でした。
2.措置の内容
- (1)研究費等の返還
- 大学に対し、不適正な経理処理により支払われた研究費について、当該研究費(直接経費)、当該研究費に係る間接経費及び遅延損害金(年5%)の合計金額の返還をそれぞれに求め、全額返還されました。
- また、研究者1名に対して、精算せずに支払われた旅費と遅延損害金(年5%)との合計金額の返還を求め、全額返還されました。
- (2)申請等資格停止
- 大学の研究者1名に対して、JSTの全事業への申請資格及び新たに共同研究者として参加する資格を平成27年度から3年間停止することとし、研究者等に通知しました。
- (3)厳重注意と再発防止策の徹底
- 本件は遺憾であり、こうした事態を招いたことにつき厳重注意するとともに、かかる事態が再発しないよう大学の研究者等への周知徹底を図るなど再発防止策を確実に実施するよう大学に対し要請することとし、文書により通知しました。
- (4)その他
- 本件で措置された上記(2)の応募等の申請及び参加制限については、文部科学省に文書により通知しました。