ホヤプロテイン統合データベースの構築

代表研究者: 稲葉 一男 (筑波大学下田臨海実験センター 教授)

①目的

ホヤは海産の無脊椎動物で、海の中の岩などに付着しプランクトンを餌にして生きています。外見からは想像できませんが、ホヤは我々ヒトと同じ「脊索動物」という動物に分類され、ヒトへの進化の道筋を研究する上でたいへん重要な生物です。また、幼生はカエルの幼生であるオタマジャクシにそっくりで、脳、眼、脊索、神経管、筋肉をもっています。幼生の細胞数は約2,600とシンプルな構造であり、脊索動物の体作りのメカニズムを研究する上で、たいへん適した生物です。本プロジェクトでは、ホヤの胚や幼生、さまざまな成体の組織で発現しているタンパク質に関する情報をデータベースとしてまとめ、ホヤの研究はもとより、我々ヒトへの進化のメカニズムや細胞の分化のメカニズムに関する研究に役立てることを目的としています。

②研究概要

本プロジェクトで開発しているデータベースでは、ホヤの胚や幼生、成体の器官に発現しているタンパク質の基本情報をはじめ、それらがどのような量比で存在しているのか、どの組織のどこに多く存在しているのかといった、タンパク質の機能を知る上でも重要となってくる情報を得ることができます。タンパク質の発現場所やその量については、タンパク質をスポットとして分離する二次元電気泳動の像により見ることができます。また、他の生物に存在するタンパク質のホヤにおける発現パターンの検索、ヒト疾患に関係するタンパク質の検索、キーワード検索など、さまざまな検索画面があります。さらに、胚の発生を三次元的に見ることができるデータベースや、研究に役立つホヤリソースデータベースなど、複数のデータベースとのリンクも充実しています。

③研究概要図

稲葉一男ホヤプロテイン統合データベースの構築

④成果

ホヤプロテイン統合データベース(CIPRO)の開発は平成18年に開始し、平成19年11月に公開しました。含まれるデータに関しては少なく、まだ開発途中ですが、平成20年1月の総アクセス数が20万を超えました。また、ホヤの様々なデータベースやソースのプラットホームとなっている「ホヤウェブポータル」(フランスCNRS)[外部リンク]では、CIPROにリンクが貼られており、ホヤタンパク質データベースの国際基準と認識されつつあります。ホヤ発生の三次元データベースであるFABAは、公表後、国際科学誌のハイライト研究として、CIPROとともに紹介されました。

【関連リンク】

ホヤプロテイン統合データベース(CIPRO サイプロ)[外部リンク]
ホヤウェブポータル(フランスCNRS管理)[外部リンク]
ホヤ三次元データベース(FABA)[外部リンク]