事前評価

バイオインフォマティクス推進センター事業における継続研究開発課題の選定について

平成21年3月31日
イノベーション推進本部
研究基盤情報部

バイオインフォマティクス推進センター事業において、継続研究開発課題を3件選定しました。
情報科学と生物科学との融合型アプローチによる研究開発および情報生物科学に関する創造的な研究開発の推進に当たっては、平成18年度に研究開発課題を募集し、5課題を採択して研究開発を進めてきました。今回は、平成21年度に終了予定のこれらの課題を対象として、極めて優れた成果が得られ、かつ、発展の見込まれる課題については2年間継続して研究開発を実施できるように、継続研究開発課題の募集および選考を行いました。
 今回の課題選考には5件の応募があり、選考基準に従って、統括がバイオインフォマティクス委員会の協力を得て課題の書類および面接による総合審査を進めました。
 今後、当初の研究開発が終了する平成21年10月以降引き続き研究開発を実施する予定です。

1.継続研究開発課題一覧

研究開発課題名 メタゲノム統合解析システムの開発
代表研究者
(所属)
黒川 顕
(東京工業大学大学院生命理工学研究科 教授)
概要 これまでの研究開発で、メタゲノムデータから遺伝子配列を予測、クラスタリングし、それらを機能別にデータベース化および可視化する、統合解析システムの開発を実施してきた。本課題では、これまでのシステムを発展させ、メタゲノム解析ワークフローを確立するとともに、メタゲノムを研究する際に重要な情報となる、細菌叢を取り巻く環境因子の各要素を記述したメタデータと、メタゲノムデータを統合し、メタ比較解析を可能とするシステム開発を目指す。さらにヒトメタゲノム研究における細菌叢とヒト免疫系との関係の解明に資するシステムの開発を目指す。

研究開発課題名 タンパク質化合物相互作用の網羅的予測手法とデータベースの開発
代表研究者
(所属)
榊原 康文
(慶應義塾大学理工学部 教授)
概要 これまでの研究開発で、タンパク質化合物相互作用予測システムの開発を行い、wet検証実験を利用したフィードバック戦略を確立し、それを応用することでアンドロゲンアンタゴニストの新規リード化合物を発見した。本課題では、これを発展させて、さらに、予測の機能だけを取り出して化合物探索に特化したChemical BLASTを構築する。また、新たに2つのがん関連タンパク質に対するリード化合物の探索とその機能解析を目指す。

研究開発課題名 高精度タンパク質間相互作用予測システムの開発
代表研究者
(所属)
清水 謙多郎
(東京大学大学院農学生命科学研究科 教授)
概要 これまでの研究開発で、独自の手法によるタンパク質間相互作用予測・解析システムを構築してきた。本課題では、これを発展させて、より精度の高い統合的な相互作用予測・解析システム(相互作用予測、相互作用部位予測、ドッキングシミュレーション)を開発し、その予測・解析結果を利用して相互作用データベースを構築する。また、多様な電子伝達系を有する芳香環二原子酸素添加酵素について、実験的手法と開発するシステムの両方を用いて解析し、電子伝達時の相互作用の解明・体系化を図る。

2.研究開発実施期間

平成21年10月1日から平成23年9月30日まで(2年間)

3.バイオインフォマティクス委員会 選考分科会委員

主査
勝木 元也* (大学共同利用機関法人自然科学研究機構基礎生物学研究所 名誉教授)
委員
田畑 哲之* (財団法人 かずさディー・エヌ・エー研究所 副所長)
深海 薫* (独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 情報解析技術室 室長)
藤山 秋佐夫* (大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所 教授)
松田 秀雄* (国立大学法人大阪大学大学院情報科学研究科 教授)
吉田 光昭* (国立大学法人東京大学 名誉教授)
藤 博幸 (国立大学法人九州大学生体防御医学研究所 教授)
*バイオインフォマティクス委員会委員