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センチメートル級測位可能な携帯型キネマティックGPS受信機の開発

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背景と目的

小型軽量で携帯可能なキネマティックGPS受信機開発には以下の大きな課題があります。高度20,200kmのGPS衛星から来る微弱な1.57GHz高周波信号の位相情報を扱うため計算負荷が大きいこと、また小型ケースにアンテナやレシーバやCPU等を詰込むと、互いに干渉し合って電磁波障害(EMI)を引き起こし、その結果、GPSレシーバの受信感度(Carrier-to-Noise Ratio:CNR)が劣化し測位精度が低下する問題がありました。本課題を解決し、受信機の大きさを携帯サイズ(80x40x20mm3)に小型化しながら、受信感度(CNR)40dB以上を目指します。

課題の解決

EMIノイズ可視化ソフトウエアを開発し、ノイズ発生場所の特定、その周波数成分やノイズ強度からEMIノイズ対策を定量的かつシステマテックに実施することが可能となりました。電磁界シミュレーションによる電子回路基板設計を行い、空間伝導ノイズにはEMIシールド、基板伝搬ノイズには高周波遮断フィルタによりノイズ対策を施した回路基板を作製しました。この結果、EMI対策後の回路基板は、電磁波ノイズを-60dBm(1nW)以下に抑えることができました。CNRは最大52dBHzとなり、一般的なキネマティック測位基準40dBHzを大幅に上回りました。

成果と今後の展開

高精度測位社会の実現に不可欠な、携帯型高精度キネマティックGPS受信機を開発しました。このGPS受信機は、アンテナやメモリを内蔵し、外付け部品なしで動作することが出来ます。また、後処理キネマティック法によるセンチメートル級の高精度測位に対応し、さらに、携帯可能なサイズ(80x40x20 mm3)と軽量化(69g)を実現しました。10Hzサンプリング時のバッテリー連続動作は8時間まで可能です。

すでに幾つかのフィールドテストで実用性検証しており、日常の歩行移動のみならず、競技者の負担を最小限にしたいスキー等の屋外スポーツでも問題なく利用可能です。既に製品化・実用化されており、スポーツ用品販売会社にライセンシングし、販売しています。

本研究の今後の展開として、日本や海外の大学・研究機関と共同研究し、スポーツにおける携帯型高精度キネマティックGPSの有用性を立証中です。また、スキージャンプ等のより高速なスポーツ競技に対応するために、20Hzサンプリングを目指します。さらに、建造物や森林等の近くの電波遮蔽物が多い環境でも計測できるように多周波Global Navigation Satellite System(GNSS)を実現します。

研究開発機関情報

機関名:国立大学法人 東北大学

部署名:未来科学技術共同研究センター

研究責任者:准教授 宮本 直人

支援プログラム

事業名:マッチングプランナープログラム企業ニーズ解決試験

研究課題名:携帯型キネマティックGPS受信機の開発

支援期間:平成28年6月~平成29年3月

研究開発に関するお問い合わせ

国立大学法人 東北大学

未来科学技術共同研究センター 宮本研究室

(担当:宮本)TEL:022-795-7233

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