低炭素社会戦略センター

教科学習で推進する低炭素教育

低炭素社会戦略センター (LCS) 特任研究員  寺木 秀一

2011年6月30日 教育新聞掲載

小学校及び中学校の学習指導要領は、2011年4月に本実施をむかえ、以後10年間の適用となります。改訂に先駆けて出された中央教育審議会答申(2008年)では、理数教育の充実を掲げ、「環境問題やエネルギー問題といった地球規模での課題については、次世代へ負の財産を残さず、人類社会の持続可能な発展のために科学技術に何ができるかが問われている。」としています。

中学校理科第1分野及び第2分野では、環境の保全と科学技術の利用について考察し、持続可能な社会実現の重要性を認識することをねらいとしています。
 同様に、低炭素社会の実現を目指す教育という視点でみれば、理科、社会に限っても、

  • 自然環境と人のかかわり、電気の利用とエネルギー(発電、送電、蓄電)(小学校学習指導要領の内容項目)
  • エネルギー資源(原子力を含む)、科学技術の発展、自然環境の保全と技術の利用(同中学校)
  • 地域の人々にとって必要な飲料水、電気、ガスの確保、廃棄物(ゴミ、下水)の抑制と破棄、地域社会における災害及び事故の防止、我が国の産業の発展(同小学校社会)
  • 自然エネルギーと産業、環境問題や環境保全を中核とした考察(同中学校)

などがあります。

また、改訂の背景とされるESD(持続可能な開発のための教育)では、これまでは別々に検討されていた日本の伝統的な文化・自然遺産と環境問題等、地域コミュニティーレベルを含めた国内的な課題と国際的な課題のそれぞれを結びつけて、持続可能な未来の構築と現実的な社会転換に必要な価値観・実践力の育成をねらいとしています。

小学校における低炭素教育

かつて筆者が、小学校における低炭素教育として構成した単元事例を紹介します。これは、「身近な生活を振り返り、省エネルギー・省資源の意味や意義を問い、関心を高め、その活動に参加し、低炭素社会実現のための基礎的な知識や実践力を身につけること」及び、「地球の気候変動に対応するために、再生可能エネルギーの開発と省資源に必要な科学リテラシー素養を身につけさせる」ことをねらいとしました。

小学校6学年の理科「電気の利用」の体験学習として、水再生センター行きました。
 まず、センター内の太陽光発電装置を見学します。下水処理場での年間発電量は、一般家庭の約160世帯分であることを認識させて、実際の生活での利用(実用化)についても関心をもたせます。また、水処理工程で使用する電力の約40%は反応タンク内での微生物の曝気に使用されていることや、太陽光発電パネルの下は下水処理施設になっていることなどの学習を実施します。
 これにより、電気は創り出せるものとして、「エネルギーの変換と保存」を学べます。そして、太陽光発電パネルから創られたエネルギーを下水処理にも利用できるとして、「エネルギー資源の有効利用」についても理解を深められます。
 以上の学習から、日常生活と電力利用は密接に関係することを実感させられます。さらに、従来の化石燃料を使った火力発電に加え、太陽光発電、バイオマス発電、小規模水力発電などの再生可能エネルギー発電についても児童の関心を向けることができるでしょう。

この記事は教育新聞に掲載されました。